翔くんの手紙を読んでから僕は基本的にみんなを1人にすることがないように気をつけていた。
出来るだけ自然に…みんなにバレないように…。翔くんがあれだけ怖い思いをして、僕たちに危害が加わらないようにしてくれたんだ…。たった1人で抱え込んで、4人を守ろうと…。だから今度は僕がみんなを守る番だ。そう覚悟を決めてた。あの手紙を読んだ日からー
かもめんが刺された事件から1ヶ月が過ぎた。あれからなんの進展もなかった。かもめんも翔くんも目を覚まさないままだった。
唯一変わった点があるとすれば…最近誰かの視線を感じることだ。
翔くんが川に飛び降りて1、2週間は特に何も変わったことはなかった。だけど、3週間ぐらい経ったある時、僕がいつも通りのきぷー、そらちゃん、かいてぃーを家まで送って1人になった時、後ろから誰かにつけられてる気がしたのだ。僕は嫌な予感がしたから近くのコンビニまで走っていった。その後は普通に帰れたけど…それがずっと続いているのだ。それに加え、ここ1週間はみんなといるときにも視線を感じるのだ。
僕は1人でこの問題を抱えていることにストレスを感じていた。そして毎晩家に帰ってから1人で泣いていた。だけど、みんなを傷つけたくないし、翔くんにお願いされたんだ…『みんなを守って欲しい』って…。だから僕は犯人が捕まるまでみんなには話すつもりはなかった。
KAITO視点ー
最近なろっちの様子がおかしい。
かもめの事件から俺らは途中まで一緒に帰ってた。なのに最近ではメンバー全員を家まで送り届けてくれる。始めは翔が川から飛び降りて自殺しようとしたことにショックを受けて寂しい気持ちでやってることなのかと思っていた。だけどそんな感じではない。
ある時ー
いつものなろっちなら「いいの?じゃあ泊まる!」って言うのにそう言わなかった。それに寂しいなら尚更1人で居たくないとなろっちなら言うだろう。
俺はなろっちの事が心配だ。昔から色々1人で抱え込んだり、悩みすぎたり、影で泣いてたりする事があったからだ。
数年前ー
俺らがめろんぱーかーを組んだ当初は今のメンバーではなかった。元々は俺となろっち、翔、そして同じツッコミ系YouTuberのこーくん(こーくさん)と活動していた。みんなで仲良く楽しんで活動していたけど、ある時こーくんと音信不通になってしまった。
俺らはこれからどうするかという会議をする予定にしてた。でも、なろっちは「ちょっと部屋出るね」と言ってからなかなか帰ってこなかった。その時ある部屋から泣き声が聞こえた。
なろっちは影で泣いてたのだ。俺はそのまま翔のいる所に戻った。数分後、なろっちはなんともなかったように「ごめんね!じゃあ会議始めよっか!」と明るい声を無理して出していた。
なろっちは昔から大変な思いを沢山してきた。こーくんの時もそうだけど、なろっちは俺らがめろんぱーかーを組む前はスマイリーさんというツッコミ系YouTuberさんと
仲良くしていた。でも、スマイリーさんも今は無期限の活動休止をすることを公表した。その時もなろっちは影で泣いてた。『自分のせいかも。』って…。
きっと今回も何か俺らに隠していることがある…。また1人で抱え込んでる。そう考えた俺は、かもめと翔の見舞いの後、なろっちと2人きりになったタイミングでなろっちに質問をした。
なろっちは少し驚いた顔をしていた。
こーくんがめろんぱーかーを脱退した時に、なろっちが1人で悩んでる事に気づいた翔が、会議のときに言った言葉だった。
このままいっても喧嘩になるだけかも知れない。でも俺はまたなろっちが影で泣いてると思うとそれが嫌で仕方なかった。
なろっちは俺が1人で帰るのを止めたが俺は構わず病院を出たー














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。