前の話
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人生で3度目の葬式 。
1度目は 、祖父。 2度目は祖母。
3度目はもうだいぶ先だと思っていたのに 、
こんなにも早く来てしまうとは 。
まさかそれが親友 .... 初恋の人 。
現実なのに 、悪夢を見ているようで 、
信じられない 。 夢から覚めればいいのに 。
そう思っても 、やっぱりどうしても
棺桶に入った死化粧された亡骸をみると、
現実に引き戻されてしまう 。
彼女の両親と会話を交わし 、友人とも少し
雑談をして式も終盤に差し掛かる。
いくら時間が経とうともいつもみたいな悪ふざけな
ドッキリで 、本当は生きてるんじゃないかって 。
ふとした時に起き上がってさ 、ドッキリ大成功って
笑わせてくれるんじゃないかと期待してしまう自分。
受け入れなきゃいけないのに 、受け入れられない。
彼女の頬を 、暖かい手で触れても 。
手を握っても 、体温は伝わらずに冷たいままで 。
いつもはあんなにカイロみたいに暖かくて 、
私の手を握って冷たすぎって笑う無邪気な笑顔も 、
遠くから手を振って私の方へ駆け寄る姿も 、
もう見れないのだと 、さっき止まったはずの涙が
溢れてきて 、あまりにも見苦しい顔に逆戻りに
なってしまった 。冷静になろう 、そう思って
私はその場を離れ 、葬儀場の隅にある喫煙所へ
1人ぽつりと座り込んだ。
タバコを取り出し 、火をつける 。
彼女の好きだったタバコ 、預かっててって
渡されたまま忘れてたことを思い出して吸った。
初めて味わう煙草の味は苦くて 、
苦しくて 、これ程かというほどにむせた 。
甘いって言ってた癖に 、嘘つきだなぁ .... 笑
やばい 、また涙出てきちゃった 。
誰か来る前に拭かないと ....
これが貴方との最初の出会いだった 。
ちょっと長くなっちゃうかもだけど 、
私の大好きな親友 .... 初恋の人の話をしようと思う 。
叶うことのない 、私の最初で最後の恋 。
名前を呼べば 、ふわりと春の風を連想させる
優しい自然の香りと向日葵のように微笑む彼女 。
大好きだった 。この瞬間は彼女は私だけを見て 、
私に向けて笑顔を見せてくれるから 。
私だけの笑顔 。
貴女が喜んでくれるなら 、何も苦痛じゃなかった 。
貴女の喜びが 、私の幸せで 。
無償の愛をあげたくなる 、そんな人 。
思い出すだけで 、愛おしくてつい頬が緩む 。
大学の人にそれでからかわれるぐらいには 、
貴女のことを思い出す 。
君だけだよ 、バカ 。
気づくまで絶対言ってあげないんだから 、
なんて 、思ってたよ 。
.... なんで今思い出したんだろう 。不思議 。
誤魔化しようのないほどに赤く晴れた目 。
彼女は隅へと寄って 、その隣へ俺は座る 。
ずっとここで座って泣いてたんだろうなと 、
乾きつつある濡れたアスファルトをみて思う 。
それほどに大切な人が亡くなったのだと 、
人目見てわかる 。
いや気まず 、俺から話しかけておいて
なんだけどさ 。
話題っつっても 、こんな雰囲気じゃなかなか ....
そう俺が考え込んでるうちに 、
彼女がこの沈黙を破った 。
予想外の出来事でつい動揺してしまった 。
親切に手慣れない手つきで 、火をつける 。
今日初めて吸ったんだろうなっていうのが 、
ここでも伝わってきた 。
なぜ初対面の人にこんな話をし始めたのか 、
俺でもよく分からない 。
何故か話したくなった 、彼女に 。
余計なことを聞いてしまったかも知れないと
焦っていると 、彼女がクスリと笑った 。
少し安心した 。
愛おしさの奥に寂しさと悲しみを感じるような表情で
彼女は言った 。
しばらく話していると 、何度か涙を堪える仕草を
しだす彼女 。
そんな彼女を見ているのが 、初対面ながら
耐えられないぐらいの良心は持ち合わせていた俺は
つい咄嗟に言い放った 。
彼女は少し驚いた様子で反応した 。
俺の自己満だったり 、寂しさを紛らわすもの
だったりするかも知れない 。
だけど 、彼女は即答で答えた 。
ついあまりにも早い返事に驚いて 、
笑ってしまった 。
私の早い返事に笑う彼 。
なんで笑ってるのとは思うが 、でも何より
初対面の私を気遣ってくれる心のある彼に私は
この短期間で珍しく結構好印象を抱いていた 。
彼は私の手を引いて歩き出した 。
それにつられて私も歩幅を合わせる 。
今日出会ったばかりのこの人の明るさのおかげで 、
少しは早く立ち直れそうな気がした 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!