さて。今日もやってきた。まあ、みんなも知ってるよな?めめがカナダ行ったの。
お見送りしたかった……でもできなくて、ちょっとだけ病んでたら仕事すっぽかしてた。
で、今日からバイト再開なんだけど、多分空気暗そう。ふっかさんからの連絡は事務用のものなので、あれから来てない。多分俺がいかなくなったからだよな〜。
…………行きたいけど、無理だった。精神的にキツかった。誰とも話したくなかった。関わりを持ちたくなかった。たとえそれが推しだとしても。どんな顔して合えばいいかわかんなかったから。
ピーンポーン ガチャ
インターホンを鳴らしてすぐ、舘様がでてきた。いつもはふっかさんだから珍しい。仕事いっちゃったのかな。
今日は本当に珍しく全員揃ってる。めめ以外は。
ちょっとだけ無理をしたように笑う阿部ちゃん。気遣わせたかも。
そう、俺も笑う。でも気のせいじゃなかったら、ふっかさんがこっちすごい睨んでる気がする。
怒ってる……?
少し場所を変え、仕事を始める。そこに、あの男が来た。
深澤辰哉。俺の推し……なんだが、怒ってる。
こわい。正直言ってマジでこええ。目がマジなんだもん。怖いよ、ふっかさん
まあ嘘はつけなねえよな。だって怖いもん
なんとなーく、まだ納得いかない、って顔してるけど解放はしてくれた。ごわがっだ……
ん〜?急にどうした。デレ期?推しのデレ期?
なにそれ最高
きゅーん。かわいすぎ。目が捨てられた子犬なんですけど!?心配いくらでもしたげる…
や、や、やられた!!!
でもなんとなく、無理してるような…?阿部ちゃんもそうだけど、ちょっとやせ我慢してるようにも見える。
今度はみんなこっちを振り向いた。きょとんとしているようか顔。
俺も、元気でいなくちゃ、って思った。この人たちが無理して笑ってんのに、俺が悲しみオーラ満載は可哀想だもん。
俺と……同じか。おんなじようなことで俺とかファンは苦しんでる。それはもちろん、メンバーだって人間だ。めめがいなくて寂しいのはやっぱり…メンバーだよな。
ちょっとだけ、元気がでた気がする。こんなにも自分は求めてもらってるんだ。
同じように苦しんでる人が、推しが、人間が、目の前にいる。だったら、俺は俺ができる最大限をしてあげたい。
それが、こんなとこでこんなことをしてしまっている俺なりの罪滅ぼし。
そう自分に言い聞かせ、俺は足を動かした。固まった表情筋が緩やかになっていくのを感じる。
さあ、また今日も推しのために。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!