第28話

雨の降る日に【虎、狗、七、夏】
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2021/05/16 10:51
虎杖

高専に帰る途中、雨が降っていたので傘をさしながら歩く二人。

通りに出ると、急に虎杖くんに手を引っ張られる。


「水かかって無い!?大丈夫!?」
慌てながら叫ぶ虎杖くん。

後ろを振り返ると、大型トラックの姿が。
あなたが水に濡れないようにと歩道側に引っ張ってくれたようです。



大丈夫、ありがとうとお礼を言うと、嬉しそうな顔をする虎杖くん。






だけど、トラックは通り過ぎたのにも関わらず、何故か手を離しません。

どうしたのと聞くと、人差し指で頬を掻きながら









「えっと....もうちょっとこのままがいいです...」



照れながらそう言ってきます。

手を握り返すと、恥ずかしがりながらもとっても喜んでくれました。



























狗巻

共同任務の帰り、急な雨に降られてしまいます。

傘を持っていなかったので、手持ちのタオルを被り、屋根があるところまで一気に駆け抜ける二人。



雨が降らない所まで着くと、狗巻くんはチャックを下におろし、水で濡れてしまった口元を拭いています。



戦う時でしか見られないその口元と、濡れた髪の所為でか、不思議と色っぽく見えてしまう。
見入ってしまうのも当たり前。

視線にもすぐに気付かれてしまいました。




「明太子?」
どうしたの?と聞く狗巻くん。

なんでもないと答えましたが、胸の鼓動は暫くは速いままでした。


















七海

今日は雨が降るからと言われていたのに、傘を忘れてきてしまったあなた。

帰り道、七海さんから傘に入るようにと言われます。

信頼がある人といえど、流石に異性とこういう事をするのは戸惑ってしまう。

「さっさと入って下さい。あなたを濡らしたら私が怒られますので」

そう言われ、オドオドしながらも同じ傘に入ります。


「あなたさん、大丈夫ですか」

いつもなら遠い場所にいたはずの人が、急に距離が近くなってしまったので、声や動作の一つ一つに緊張してしまい、無意識に顔が赤くなってしまう。


さっきも普通に傘入るようにって誘ってきたし、こういう事慣れてるのかな、と不安に思うあなたでしたが大丈夫。











「(....あなたさんに手を出せるまであと二年ですか...正直我慢出来るか不安です....)」

当の本人は、あなたへの感情を抑えるのに必死なようですので。




















夏油

デートの帰りに偶然にも雨に降られてしまいます。
このままだと風邪をひいてしまうという事で、髪を乾かす為に夏油くんの家に寄ることに。



リビングに入ると、夏油くんは棚の上からドライヤーを出して、プラグを挿す。



「私がやるから、あなたはここに座って」


恥ずかしいので最初は断ったものの、いざ乾かしてもらうと手つきも優しく、いつもの疲れから頭がカクッとなってしまうあなた。




「...眠そうなあなたも可愛いね」



急にそんな事を言ってくるので、びっくりして上を向くあなた。











目が合うと、首元を優しく抑えられ、唇が触れる。





















「.....びっくりした?」


急にドキドキする事をして来るので、まだ慣れないあなたは当たり前でしょ!と真っ赤になりながら叫ぶ。







すると、何かを思いついたかのように笑みを浮かべる夏油くん。










「.......今親居ないんだけど、どうしたい?」



この人は、あなたを一生独占したくてたまらないようです。

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