おらふくん視点
カツンコツン
足音がする。きっとMENや。もうあれから数日たった。撮影も配信もXも‘いつもどおり’できとる。...正直半分ぐらい諦めとる。ここ数日はできるだけ彼のことを受け入れとった。特に何もされへんかった。だからこそやってしまったときがこわい。ならいっそのことこのまま過ごせば、僕のせいでぼんさんに危害が行くことはないやろう。ならいい。もう、疲れた…
ギイイ
耳を突き刺すような気持ち悪い金属音。いつまでたってもなれる気なんてせぇへんかった。この体の重さも動きにくさも、見張られてる緊張感だってなれるほうがゴメンや。何時かの遠く儚い小さな希望を見て現実逃避してそれを精神を安定させるための糧にしているんや。
M「おらふくん。」
「なんや...」
M「明日1日俺いないんだよね。だから明日1日はこれら外してくから。まあわかってると思うけど逃げないでね。まあ全部見てるけど。」
「わかった。」
きっと監視カメラもあるしGPSもついとる。ここから逃げようなんて、マイクラのセキュリティハウスを現実でやっとるのとおんなじや。スティーブみたいに体が強いわけじゃないから仕方ない。逃げるチャンスだと思えないほどにもう僕は心身ともに疲れ切っとった。
M「全部知ってるから演じる必要なんてないのにね。」
ゾッとした。演じる?誰が。そんな考え事をしてるうちにMENはどこかに行ってしまっていた。
裏おらふくん視点
ふふっ♡そっかぁ知ってたのかぁ...嬉しいなぁでもまだだめだよね。もっとずっと僕を見ててよ、一人にしないで、一緒にいてくれる?MEN♡くだらん演技かもせえへんけど、付き合ってくれとるし。いっそのことそれに流されたってええけど...せっかくならやりきらんと気持ち悪いし。もうちょっとだけまっとってや。嫌いにならんで...捨てたりせんとってな。MEN♡今はもうちょっとこのMENを堪能したいんや。
おらふくん視点
次の日、MENは朝一でもういなかった。外にも出られへんしどないしよう...家の探索でもしようかな。
まずはリビング一辺変わった様子は無かったけど前に来たときもみた綿がまだあった。
「...ヒッ」
そっと手にとってみれば機械が入ってる。カメラや盗聴器の類だ。流石の僕でも想像ができ背中に冷や汗を感じた。近くのゴミ箱にはフェルトみたいな布などが細かく分けて捨てられていた。それはもともとドズル社で出しているぬいぐるみだということが分かる。ぼんさんのなんかは特にズタズタにされていた。そして僕の机に最近見当たらないと思っていたぬいぐるみにも該当した。
「...っ」
ゾッとする...本当にMENがストーカーだってわからされる。僕は、一旦そこから離れた。次入ったのはMENの部屋だった。まぁ、ごく普通の部屋みたいだったけどいくつかアルバムを見つけた。嫌な予感はしてんのやけど、好奇心に打ち負けて開いてしまった。
「っ...」
全部僕の写真で、ほとんどが盗撮のようだった。他のものもみてみると日記のようなものに僕の毎日の行動が秒単位で書かれてる。もう一度、部屋をみてみると、MENと僕のグッツしかおいてなく、そのうち一つの二人の人形が赤い、いや赤黒い糸でぐるぐるまきにされていた。
「ぅ゙...」
匂いは鉄の匂い。人形の中身なんて想像したくも無かった。だってその人形をつくってる糸でさえ白とピンクだ。...あれ、パソコンが立ち上がっとる。そういえば部屋入った時からついてたかもしれない。
軽くいじるとこれまでの会話、日常生活の盗聴記録が出てきた。これも消したって無駄なんやろなぁ...他にも監視カメラの映像や、盗撮した写真や動画、GPSの情報...など沢山あったが多分これはメインコンピュータとかじゃないと完全に消すことは難しそうや。ここで僕が何しとるかも全部めっちゃが見てると思うと気持ち悪さに吐き気がした。
でも、もうここまで来たら諦めて全部知るしかない。倉庫に入った
「...!」
僕とMENグッツだけが大量においてあって、あそこになかった写真も、壁一面に貼られとった。恐怖のあまり声も出ぇへんかった。その他にも、機械とかの部品とかもあったんだとおもう。そんなの見たくなくて、さっと出た。呼吸を整えるのに必死やった。心臓がありえん程にバクバクなっとった。一瞬だけのあの記憶が脳内にこびりついてフラッシュバックする。もう、嫌や。怖い、怖いよ。こんな僕を見てMENは薄気味悪い笑みを浮かべとるんやろ?趣味が悪いにも程がある...
取り敢えず、僕は、元いた部屋に戻った。今はたった一時の自由を噛み締めなあかんと思った。もう、ここからは逃げられへんのや。
ぼんじゅうる視点
あれから数日経った。地雷を踏まないようになんとか過ごせていた。あくまでいつも通りの活動ができた。最近の撮影ではおんりーが助けてくれるようになったり、ちょっかいかけてくるようになった。対照的に俺は避けるようになってしまった。
もう慣れてしまったドアをおんりーちゃんが開けて入れられて枷をつけられる。ここに来てからうっとりした様な、まるできれいな花でも見てるかのような目でおんりーちゃんは俺を見る。ふとずっと気になっていたことを聞きたくなった。
「...なんで、こんな方法取ったの?いくら俺に好きな人がいたからってあんな、騙すような真似...!」
好きなら、どうしょうもなく手に入れたいなら、他にも沢山方法はあったはずだ。わざわざこの方法を取った理由を知りたかった
おん「...あなたを独り占めする為ですよ。貴方が他の人を見てるのがどうしょうもなく許せなくなっちゃって。あと、貴方を...守るため。」
独占欲も行き過ぎると怖いんだと身を持って知った
「守るため...?」
おん「えぇ。大切な人ですから。守りたくなるのは当然でしょう?外の世界には怖いことがいっぱいですから。」
そう言っておんりーちゃんは部屋を出ていった。
俺、おんりーちゃんよりも長く生きてて、それなりに社会にも出てるからその怖いことをのらりくらりかわせるくらいはできる。守られなくたっていいんだけどなぁ
どっちにしろ、俺は今から逃げる。彼奴は、わかってない、何もわかってない。たった短期間で考えた作戦は成功するかなんてわからないけど、とにかく賭けに出よう。
俺は近くのもので時間をかけて手足の枷をうまく外れるようにして、自分のわかる範囲で盗聴器、監視カメラを切ったり見えないようにしたりして内側からドアに鍵をかけた。枷を外して、ご飯の時に拾った針金でなんか昔たまたま見ていた動画を思い出しながら窓の鍵を開けて外に出た。
「彼奴の好きにはさせない。」
取り敢えずおんりーちゃんの家から遠くに遠くにと走った。幸い、ポケットに入ってた財布は無事だったようでなんとか上手くやる。首輪も外し自分の身のGPSとかも全部取ったつもりだが油断はできない。とにかく遠くに、遠くに。どこまで根を張ってるか計り知れないから人には頼れない。どうにかこうにかして離れないと。ドズル社の事は後回し。見つかってからじゃ100%負ける。相手は自分よりも若くて健康なドズル社きってのスピードスターだ。何処かに長く滞在することはしないでとにかく足を動かし続けた自分ちになんて戻れない。
「あっ...ぅ゙」
偏頭痛だ。タイミング悪すぎだろ...ぽつ、ぽつと降ってきてあぁこれは次第に強くなると思った。きっと今日は、運が悪いんだ。あいにくコンビニやお店は近そうじゃない。雨宿りできそうな木もない。駄目だ、頭がぼおっとする...痛い、痛い
「くっそ...」
何処かでちょっと休みたい。でも止まったら見つかるかもしれない。進み続けて、信号で止まる。焦る気持ちだけが募っていきたい、青になった瞬間、急いで走り出した。まわりをちゃんと見てなくて、雨のせいで悪い視界、痛さのあまり鈍った頭、焦りが全てうまい具合に噛み合わさってしまったから。
ブオオオンバシャッ
「!」
ドオオオン
スローモーションのように見えた。あぁ、車にぶつかって飛ばされたんだ。理解するのは飛ばされてからワンテンポ程遅くなってからだった。俺は床に落ちる前に意識を無くした。
おんりー視点
監視カメラ、盗聴器がほぼ切られてる。部屋に行ってみると鍵がかかっていた。持ってる鍵で開けて中に入れば、手足の枷が切られておいてあり、窓が空いていた。まさかピッキングの技術を持ってたなんて。ぼんさんの位置情報を確認すると、1個、とられてないものがあったらしく弱々しく光ってる。それは常に動いていて、とにかく遠くに行こうとしてるんだとわかった。
「チッ...なんで、どうしてわかってくれないの、ぼんさん?」
まだ想定内ではある。何かあってからじゃ遅いから、探しに行かないと。軽い準備を済ませて外に出た。
雨が降ってきた。持ってた折りたたみ傘をさしてぼんさんを探す。偏頭痛持ちだし、きっと傘も持ってないだろうから急がないと。
「あれ...?」
位置情報が消えた。どうして?すごい嫌な予感が走った。だって注射器で体内に入れたGPSが消えるなんて思ってもみなかったからだ。そしてそんな事が出来る方法なんて限りがある。ドズルさんから電話が来た。
「はい...もしもし」
ド『あっおんりー...』
「あの、ぼんさんが逃げて、途中で位置情報が消えたんです。それと関係ありますか?」
ド『うん。ぼんさんが、交通事故に合って意識不明の重体で運ばれたんだ。』
「!...ぼんさんが、事故に」
ド『僕も見に行きたいんだけど今手が離せなくて...病院、行ってみてくれない?そう病院の人に伝えておくからさ』
「はい、」
もう、頭は、破裂しそうだったけど、とにかく走った。守るはずだったのに。なんで、どうして?ぼんさん...実はそんなに俺のことが嫌いだったんですか?
「はぁはぁ」
病院についた。看護師さんに説明を受けてぼんさんの病室に入った。大怪我で一時は命の危険もあったがもう今は処置が終わり安定しているらしい。今は寝ている。
「ぼんさん...」
俺のこと、好きだよね?間違えちゃったの?どこで、何が...?そんなこと、多分ないよ。いや絶対。だって俺はこんなにもぼんさんをアイシテルんだから
ぼ「ん...」
「ぼんさん、!」
ぼんじゅうる視点
知ってる人の声がして安心と恐怖があった。だって正真正銘自分を監禁していた人だから。捕まったと思った。
「おんりーちゃん...」
おん「ぼんさん、怖かった?」
「うん」
あんまり弱さを見られたくなかった。でも、俺はもう限界だった。
おん「ごめんね、ぼんさん。もっと早く見つけられてたらこんなことにならなかったのに。」
「元は、俺が逃げたのがいけないから」
自分でも、何言ってるか分からなかった。人にここまで尽くされて優しさを向けられたから絆されてしまったのか、なんなのか?
おん「ほら、だから言ったでしょ?外の世界は怖いんだよ。一人で勝手に出ていくからそうなるんだよ。でも、もう大丈夫。俺が守ってあげるから。もうこんなことしちゃ駄目だよ?」
「う、ん...」
怖い、ドキドキする。おんりーちゃんが助けてくれる、
守ってくれるからきっともう大丈夫だよね...?こんな怖い目合わないよね。
「いい子です。約束ですから、破っちゃ駄目ですよ。今回は見逃してあげますから。」
そう、幼児をあやすように言った。よかった怖いこと、されない
「うん...」
「ふふ、いい子ですね」
おんりーちゃんに褒められることなんて今までそんな無かったからなんとなく嬉しい。
「ナデナデ」
俺はそのまま眠ってしまった。
起きれば事情聴取された。監禁については上手に隠してしまった。なんでこんな絶好の機会に言わなかった、言えなかったんだろう?流石にメンバーを犯罪者として出すのは良心が痛んだんだろうか。でも、おんりーちゃんの為を思うなら言ったほうがいいんだろうか。ぐるぐるもやもやする
割と俺は早く退院できるらしい。意識不明の重体で運ばれたのに怪我はそこまでじゃ無かったんだろうか?それとも、おんりーちゃんによる計らいなのかもしれない。ただ体中が痛くてまともに動かせないのは確かだし、早く治そう。
おんりー視点
自分はぼんさんが早く退院出来るようにお願いした。ある程度動けるようになったら退院してもいいと許可を取った。ぼんさんを他の人に晒したくない。ぼんさんは自分のだから。ずぅうっと守ってあげるから。ずぅうっと一緒にいてくださいね。
「馬鹿だね、ぼんさん。」
こんな絶好のチャンスを逃すなんて。犯罪をした自分のことをこの場で言わないなんて。逃げれるチャンスだったのに。犯罪者に情けをかけるなんて貴方は何処までも優しすぎるんだ。だから、断れない貴方を守らないと。大丈夫、怖いことしないよ。寝ている貴方を撫で、そっとキスを落とした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!