その日の午後。
アッシュフォード邸の応接間には、重厚な静けさが漂っていた。
大きな暖炉には火が灯り、窓の外では雪が静かに降り続いている。
アレクサンダー・アッシュフォード。
ルシウス・マルフォイ。
英国魔法界を代表する二つの純血名門の当主が、向かい合って腰を下ろしていた。
互いに長年面識はある。
しかし、こうして家同士の未来について話し合うのは初めてだった。
しばらく沈黙が続いたあと、ルシウスが口を開く。
アレクサンダーは静かに頷く。
ルシウスは一度ドラコへ視線を向けた。
ドラコは一歩前へ出る。
リアナの父親であるアレクサンダーを真っ直ぐ見つめた。
部屋の空気が静まり返る。
ドラコは拳を握る。
そして深く頭を下げた。
静寂。
暖炉の薪が弾ける音だけが響く。
アレクサンダーはしばらく何も言わなかった。
やがて静かに立ち上がる。
ドラコの前まで歩み寄ると、その瞳を真っ直ぐ見つめた。
迷う余地などなかった。
ドラコは即座に答える。
アレクサンダーはその言葉を聞き、ゆっくりと目を閉じた。
昨夜、温室で見た景色が脳裏によみがえる。
純白の花。
植物たちの祝福。
そして、倒れた娘を必死に抱きかかえるドラコ。
その姿に偽りはなかった。
ゆっくりと目を開く。
ドラコが頭を上げる。
アレクサンダーは穏やかに微笑んだ。
その一言だった。
ドラコは目を見開く。
ルシウスも静かに息をつく。
思わず漏れたその声は、震えていた。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。