私の婚約者 ____ 王太子が そう 声高に 宣言した瞬間 、
舞踏会の行われていた ホールは 一気にざわついた 。
ありきたりな 展開 。 それでも 私はいいのだ 。
この世界は 所謂 「乙女ゲー」 の世界 。
そして私は 、 聖女である ヒロインを 貶めた罪で 処刑される 悪役令嬢 。
このゲームの ファンの1人だった 私は 、
前世で 事故により 死んだことを きっかけにこの世界へと 転生した 。
即ち 、 生まれた時から 役割を理解していた 。
だから この日 、 ヒロインが 幸せになれるよう 、 私は 懸命に 悪女を 演じてきた 。
そして それが 実ったのだ 。 婚約を破棄された 私は 、
最期まで 傲慢な態度を 崩さないまま 、
王国史上最悪の 悪女として 一生を終える 。
それが 今の私にとって 1番の 幸せなのだ 。
大衆からの視線を感じ 、 王太子からの 罵詈雑言を 浴びながら
ホールの扉に手をかけて そう思う 。
さあ 、 これで あとは 屋敷へ帰れば 全てが終わる 。
そうして 彼女たちは 幸せでいられるのだ 。 そして私も 。
階段を降り 、 従者に 馬車を 手配させる 。
この時の私は 、 人生をかけた 作戦が上手くいって 安心しきっていた 。
もう 残りは 死ぬだけだと思っていた 。
____ 彼に 声をかけられるまでは 。
本当は 見覚えが あったけれど 、 話を ややこしくしないよう
話しかけてきた 彼のことを 知らないふりを してみる 。
デリカシーのない 発言に 眉をひそめていると 、
彼は 美しい お辞儀とともに 名乗った 。
剣持家 と言えば 、 この辺りを中心とした 4つの領地を治める
四大侯爵家のうちの 1つ 。
ヒロインや 私の家は 伯爵 なので 、 それより 位は 上ということになる 。
そして 今現在 この国には 公爵は 年老いた古株の公爵 1人だけだ 。
つまり この国において 剣持家は かなりの 権力者と言える 。
それは よく知っている 。
この世界の 元となった 乙女ゲーの 世界では 、
この 剣持刀也を含む 四大侯爵家の 跡継ぎ 4人が
1番 攻略が 難しいと言われていた 。
その理由は 単純 。 彼らが ヒロイン含め 周りの人間に
全くと言っていいほど 興味が ないからである 。
それは 彼らが 、 無理やり 望まない 跡継ぎの席に つかされ 、
人間不信の ような 状態に 陥っていたから なのだ 。
攻略には 、 とにかく 話しかけて とにかく 優しくするしかない 。
しかも ストーリーの 途中から 攻略を目指すと ほぼ100%で
攻略することは 不可能という 鬼畜仕様 。
その難易度の高さ 故に 、
逆に 高嶺の花感が 強まって 人気が強かった 4人だ 。
そんな 冷酷なイメージのある 彼から
真逆 悪役令嬢の 私に 話しかけてくるとは 、
流石に そこまでは 想定していなかった 。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!