『僕は綺麗な天使なんかじゃない』
僕は一呼吸置いて話し始める。
そんなの、そんなの気持ち悪いだけ。
妖術を使う者なんて、邪魔な存在なんだ。
急にあの子たちが不自然になって気づいた。
こんな奴、誰だって側に置きたくないはず。
いつもと変わらない声でそう言う伊作。
そこでふと気づく。
伊作には掛かってない。
何故?何で。
にこり。
気味が悪いほどに微笑む。
どこか恐ろしく感じてしまうけど、
何も知らない僕はただ、そうかと納得して。
つい、聞き返してしまう。
するり。
僕の頬を滑るひやりとした右手。
僕の目には伊作がきらきらして見えた。
全部を肯定してくれる存在みたいで。
この人なら、
僕が何をしたって認めてくれるんじゃないかって。
これは所謂、洗脳のようなもの。
それに僕は一生気づかない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。