前の話
一覧へ
次の話

第3話

天使は気づかない
110
2024/06/16 00:35
『僕は綺麗な天使なんかじゃない』
伊作
それって、どういう……
僕は一呼吸置いて話し始める。
あなた
人を魅了してしまう術。
あなた
君は知ってる?
伊作
………"妖術"のこと?
あなた
まあ、そうだね



あなた
…僕の身体は不完全なんだ
あなた
その気がないのに、
いつの間にか、無意識で
あなた
人を惑わす術をかけてしまっている
そんなの、そんなの気持ち悪いだけ。


妖術を使う者なんて、邪魔な存在なんだ。


急にあの子たちが不自然になって気づいた。


こんな奴、誰だって側に置きたくないはず。
伊作
でも僕には効いてないような…
いつもと変わらない声でそう言う伊作。


そこでふと気づく。
あなた
………そうだ、なんで、
伊作には掛かってない。


何故?何で。
伊作
それってさ____



















伊作
____ 僕たちの相性が
良いってことなんじゃない?

にこり。


気味が悪いほどに微笑む。
どこか恐ろしく感じてしまうけど、


何も知らない僕はただ、そうかと納得して。
あなた
相性、、?そうなの…?
つい、聞き返してしまう。
伊作
そうだよ!
伊作
そう、きっとそう!


伊作
ふふ、大丈夫だよ
するり。


僕の頬を滑るひやりとした右手。
伊作
また誰かに妖術がかかったとしても
伊作
僕が側にいてあげる
伊作
その術のせいで
貴方が皆から嫌われても
伊作
僕だけは側にいるって誓うよ
あなた
………ほんとに?
伊作
本当。嘘なんてつかないよ
僕の目には伊作がきらきらして見えた。

全部を肯定してくれる存在みたいで。


この人なら、


僕が何をしたって認めてくれるんじゃないかって。




これは所謂いわゆる、洗脳のようなもの。

それに僕は一生気づかない。

プリ小説オーディオドラマ