正直まだ頭が追いついていない
同じ学校ならまだしも、同じ学級のクラスメイト……、
しかも、超超人気者
電車に乗って、歩いて、合わせて30分はかかる
なので…、絶対いないと思ってたんだけど
咄嗟に謝って、顔を逸らす
つい、たくさん話してしまった
話が合う人とはあんまり会わないし、自分から話に行かない
なので、気を抜くと自分の話しかしなくなってしまう
ポカンとしながら私を見つめる緋八さん
「 ふっ 」と笑って、口を開ける
「 ふわっ 」と緋八さんの髪が揺れる
風に運ばれた金木犀の匂い
いつまでも見ていたい笑顔に胸が高鳴る
うちの学校は校則がゆるい
そのため、メイクをする女子は大勢いる
私はメガネに長い前髪で、メイクしたって気づかれない
だから、私はしてないんだけど……
緋八さんもメイクしてないんだ……
なのに…すごく肌が綺麗
私の考え事が吹く飛ぶぐらい
哀しそうな声で話を続ける
あぁ…、痛いほど分かる
完全に同じって訳ではないけど……、似てる
下を向く緋八さんの手を握る
ごめんね、急に手を握っちゃて…、
でも、なんかちょっと悔しかったから
本当だ、緋八さんの眼が焼きつくほどの笑顔は忘れられない
きっと…、私も緋八さんに惹かれていたのかもしれない
まだ…、この気持ちは隠しておこう











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!