帰ってきた時、当たりをキョロキョロ
しながら歩く陸奥守さんに遭遇した。
気にせんでくれ、と彼は曖昧に笑って
そそくさとその場を後にしてしまった。
…明らかに挙動不審だけど…まあ
気にしないでくれって言ってたし、
気にしないことにしよう。
お財布とお土産を長谷部さんに渡し、
部屋に戻ろう。
また乱ちゃんが手を握ってきた。
…あったかくて、小さくて、なんだか…
頭が痛い。
まるで少し前に万屋で経験した時みたいな
頭痛が、また襲ってきた。
でも今回は1度経験していたからか、
奇跡的に倒れずにすんだ。
脳裏にまた夢のような映像が映る。
乱ちゃんに手を引かれた、わたしと似た
雰囲気の女審神者。
あの時と、同じ顔をしている。
自信満々ににこっと笑う乱ちゃんの笑顔を
最後に、わたしの意識は現実に戻される。
これ…前世の記憶か何かなのかもな…
乱ちゃんは顔を真っ青にして、
体を震わせている。
後藤くんいわく、わたしがいないことが
トラウマになったって言ってたのに、
こんなのぶり返しちゃうかな…
後藤くんはわたしの肩を揺すって、
今にも泣き出しそう…って泣いてる!!??
信濃くんは誰かを呼びに行こうと足を
一歩踏み出したところだった。
慌てて乱ちゃんに笑顔を見せる。
後藤くんもごめんね、2回もこんなわたしを
見る羽目になっちゃうし。
信濃くんも心配してくれてありがとう。
わたしより少し低い位置にある3つの頭を
順番に撫でてあげる。
みんなに心配かけるわけにはいかない。
3振りに部屋まで送ってもらい一人部屋に入る。
全く、何だこの頭痛と共に流れる
映像みたいなやつ。
自分一人の時に起きるならともかく、
刀剣男士がいる時に起こると迷惑
かけちゃうからやなんだよな…
なにか打開策はないか…と考えてみるものの、
頭痛が収まってすぐだからか頭が回らないのと
頭痛がいつ来るかなんて予想もできないから
諦めることにした。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!