前の話
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まるで嘲るような余裕の笑み
堂々とした立ち振舞い
女性らしさの溢れる長い髪
こちらと目が合う度に、またも自分の立場を勘違いしているような笑みを浮かべる
その女の名前は、Kalmia
名前の意味はなんともまあ表裏一体といえるような意味だ
僕が言えたことじゃないけれど
冷たい縦縞の奥へと軽く入っていく
その度に長い髪が揺れる
その姿を眺め、はっとして、看守としての役割を果たす
最後にはいつも違和感が残っている
この女に対する違和感
女は誘惑するような顔を近づけ、まるで相手の何もかもを破滅させるような甘い言葉を吐く
この女は、ジュースを煽るような夜を軽々しく過ごすような女である
火遊びのような、いたずら心でできるような夜を過ごす
でも、なんだろうか
なんらかの違和感がずっとぽつんと残っている
こんな僕とは話したくない、話すこともない
それは、僕が看守と囚人という立場の上で会話しているからだろうか
僕だって……いやいや、何を考えているんだ
"それ"を認めてしまうのは看守として最も堕ちたことだ
立つ瀬がなくなる選択肢を自ら選ぶほどバカではない
やはりこの女のことはよく分からない
分からないけど、女の言うこと全てが引っ掛かってしまう
翌朝、他の囚人たちの騒がしい声から始まったのは身体検査だ
上着のポケット、それから腰辺りにあるポケットを手で触って確認していく
手から伝わる女性らしい骨格は過去を思い出させるような感覚がした
そして、このときに感じる、頭がぼやっとするような熱に襲われる原因が分かった
いや、元から分かっていた
僕は彼女に恋しているのだ
彼女は小声で僕に交渉を持ちかける
彼女の甘い声を聞くと、感情に流されてしまう
もう看守という立場を考えられないほどに流されてしまう
彼女によって、デキャンタの道を選んでしまった
目の前の快楽を選び、先日まで踏み留まっていたラインの一歩先を行ってしまった
その先に布石を置いてしまった
言葉は止まった
というか、止められた
口に伝わる柔らかい感触、じわっと伝わる人肌
気付かないなんて、そんなわけないだろう
彼女の言う「協力」は脱走の協力のことだ
それに僕は利用されろということだ
まったく、なんという堂々具合だろうか
彼女の隘路の犠牲になるのなら、それが僕の存在意義だ
そうすることでやって見出だせる
酒を持ち、仲間の元へ向かう
確実で、確信を持った、まるで親の手伝いをする小さな子どものようなはりきった気持ちで
数十分経って、みんな酔い潰れてしまった
ここからが本番だ
彼女は僕にキスをして、僕もそれを受け入れて
彼女は僕の警官帽を自分に被せる
彼女は自信に溢れたような笑みを浮かべている
彼女は服を脱ぎ始める
そして僕も服を脱ぎ始める
互いの服を交換するために
胸のさらしも、もういいかな
そして僕らは、別々の道を歩き始める
僕は遠くを見る
バカにされている少女がこちらに助けを求めるように見る
それも大勢の子どもから
『Clay kissed me! That's disgustung!』
少女はこちらを見る
小さな十字架を抱えている
僕と同じ目をしている
スカートを履き、髪を伸ばしている
同性に対する気持ちを抑え、疎まれないために髪を切り、カルミアへの想いを否定している
それが今の僕
ヒールを履いて走った
警報が鳴り響いている
ある日のカルミアの言葉が頭に響いている
それは自分のことを話したいとも思っていない、どうでもいい存在であると
私は知ってしまった
違った
自分の立場を勘違いしているのは私だった
カルミアとの上っ面な愛を愛と呼んでしまい、受け止めてしまったためにヒールとなった
きっと私は彼女の今までのうちの些細な一コマになるのだろう
私も騙された
利用された
騙されてやった
利用されてやった
それでも彼女の愛に飢えている
あぁ、こんなところを彼女は犬だと言ったんだ
彼女の言葉にまんまと釣られ、感情を翻弄され、それを受け入れようとしている
なんだ、自分でも分かってたじゃないか
私は結局愚かな犬だったんだ
もう一度言う
自分の立場を勘違いしているのは私だった
こうして私は、カルミアのように縦縞の奥へ入れられ、繋がれた犬になった
結局私は最後までカルミアの手の中で踊らされていた
いいさ、それでも
だって
彼女に対する気持ちは本物で
彼女はそれを最後の最後まで弄び、裏切った
きっとそれをこれからも繰り返していく
彼女と同じようになるほどに
深夜に殴り書きしたものなので物語の順序おかしいことになってるかも~……












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。