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第1話

「fool」
177
2025/07/20 15:43 更新


まるで嘲るような余裕の笑み
堂々とした立ち振舞い
女性らしさの溢れる長い髪
こちらと目が合う度に、またも自分の立場を勘違いしているような笑みを浮かべる
その女の名前は、Kalmia
名前の意味はなんともまあ表裏一体といえるような意味だ
僕が言えたことじゃないけれど


Clay Pool
入れ
Kalmia
はーい
冷たい縦縞の奥へと軽く入っていく
その度に長い髪が揺れる
その姿を眺め、はっとして、看守としての役割を果たす
最後にはいつも違和感が残っている
この女に対する違和感
Kalmia
君さぁ……男じゃないでしょ
Clay Pool
……は、
Clay Pool
そんなわけ___
Kalmia
嘘、だって喉仏ないんだもの
Clay Pool
………うるさい
Clay Pool
ほら、早く手を出せ
Kalmia
えー、牢屋の中でも手錠なんて、人権無さすぎじゃない?
Clay Pool
お前だからやるんだよ
Kalmia
ふーん……
Kalmia
じゃあ、
女は誘惑するような顔を近づけ、まるで相手の何もかもを破滅させるような甘い言葉を吐く
Kalmia
こうやって君に四六時中縛られてるのは私だけってことだ
Clay Pool
っ、バカなこと言ってないで早く寝ろ、!
Clay Pool
消灯時間だ
この女は、ジュースを煽るような夜を軽々しく過ごすような女である
火遊びのような、いたずら心でできるような夜を過ごす
でも、なんだろうか
なんらかの違和感がずっとぽつんと残っている
Kalmia
君さ、愚か者だね
Kalmia
あっさり受け入れちゃえばいいのに
Clay Pool
はぁ?
Kalmia
……ま、いいよ
Kalmia
あたしもそんな君とは話したくないし、話すことなんてないから
Clay Pool
……なに言ってるのか分からない
こんな僕とは話したくない、話すこともない
それは、僕が看守と囚人という立場の上で会話しているからだろうか
僕だって……いやいや、何を考えているんだ
"それ"を認めてしまうのは看守として最も堕ちたことだ
立つ瀬がなくなる選択肢を自ら選ぶほどバカではない
Kalmia
……はっ、犬みたいね
Clay Pool
犬……?
やはりこの女のことはよく分からない
分からないけど、女の言うこと全てが引っ掛かってしまう








翌朝、他の囚人たちの騒がしい声から始まったのは身体検査だ
Clay Pool
13番、起きろ
Clay Pool
身体検査だ
Kalmia
んぇ~……めんどくさいなぁ
Clay Pool
そう言うな
Clay Pool
ほら立て
Kalmia
はいはい、
Clay Pool
………っ、///
Kalmia
……
上着のポケット、それから腰辺りにあるポケットを手で触って確認していく
手から伝わる女性らしい骨格は過去を思い出させるような感覚がした
そして、このときに感じる、頭がぼやっとするような熱に襲われる原因が分かった
いや、元から分かっていた
僕は彼女に恋しているのだ
Kalmia
……ねぇ、協力して
彼女は小声で僕に交渉を持ちかける
Kalmia
あたしに利用されてよ
彼女の甘い声を聞くと、感情に流されてしまう
もう看守という立場を考えられないほどに流されてしまう
彼女によって、デキャンタの道を選んでしまった
目の前の快楽を選び、先日まで踏み留まっていたラインの一歩先を行ってしまった
その先に布石を置いてしまった
Clay Pool
……13番、何度も言うけど、僕は___
言葉は止まった
というか、止められた
口に伝わる柔らかい感触、じわっと伝わる人肌
Clay Pool
っ、は……
Clay Pool
……はぁ!?///
Kalmia
ふふっ、かーわいー
Kalmia
あたし、君のこと離したくない
Kalmia
離したいわけがないわ
Clay Pool
………!
Clay Pool
………
気付かないなんて、そんなわけないだろう
彼女の言う「協力」は脱走の協力のことだ
それに僕は利用されろということだ
まったく、なんという堂々具合だろうか
Clay Pool
………いいさ、利用されてやる
彼女の隘路の犠牲になるのなら、それが僕の存在意義だ
そうすることでやって見出だせる




酒を持ち、仲間の元へ向かう
確実で、確信を持った、まるで親の手伝いをする小さな子どものようなはりきった気持ちで
Tate Brown
おっ、お疲れ様~
Aaron Schirmer
え、なになに?どうしたの?お酒なんて珍しいじゃん!
Clay Pool
きょ、今日は身体検査だったし、みんな疲れてるだろうからちょっと飲もう!
Mayra White
珍しいわね
Mayra White
普段参加もしないくせに
Clay Pool
別にいいだろ……ほら、飲もう!


数十分経って、みんな酔い潰れてしまった
ここからが本番だ



Kalmia
上手くいけた?
Clay Pool
あぁ、全員酔わせた
Kalmia
じゃあ、始めましょうか
彼女は僕にキスをして、僕もそれを受け入れて
彼女は僕の警官帽を自分に被せる
彼女は自信に溢れたような笑みを浮かべている
彼女は服を脱ぎ始める
そして僕も服を脱ぎ始める
互いの服を交換するために
Clay Pool
………
胸のさらしも、もういいかな
Kalmia
……じゃあ、君はここを出て
Kalmia
私は看守になりすましておくわ
Clay Pool
……うん
そして僕らは、別々の道を歩き始める
僕は遠くを見る
バカにされている少女がこちらに助けを求めるように見る
それも大勢の子どもから
 

                 『Clay kissed me! That's disgustung!』


少女はこちらを見る
小さな十字架を抱えている
僕と同じ目をしている
スカートを履き、髪を伸ばしている
同性に対する気持ちを抑え、疎まれないために髪を切り、カルミアへの想いを否定している
それが今の僕


Clay Pool
僕が外に出て脱走犯を装うよ
Clay Pool
それで騒ぎが起こるから、その隙に逃げて
Kalmia
っ……
Clay Pool
……じゃあ、またどこかで









ヒールを履いて走った
警報が鳴り響いている
ある日のカルミアの言葉が頭に響いている
Kalmia
『別に、話せないこともないわ』
それは自分のことを話したいとも思っていない、どうでもいい存在であると
私は知ってしまった
違った
自分の立場を勘違いしているのは私だった
カルミアとの上っ面な愛を愛と呼んでしまい、受け止めてしまったためにヒールとなった
きっと私は彼女の今までのうちの些細な一コマになるのだろう
私も騙された
利用された
騙されてやった
利用されてやった
それでも彼女の愛に飢えている
あぁ、こんなところを彼女は犬だと言ったんだ
彼女の言葉にまんまと釣られ、感情を翻弄され、それを受け入れようとしている
なんだ、自分でも分かってたじゃないか
私は結局愚かな犬だったんだ









Tate Brown
はっ、はっ……
Aaron Schirmer
クレイ……なんでっ……
Mayra White
クレイ……あんた……
Clay Pool
………ははっ、
もう一度言う
自分の立場を勘違いしているのは私だった
こうして私は、カルミアのように縦縞の奥へ入れられ、繋がれた犬になった
結局私は最後までカルミアの手の中で踊らされていた
いいさ、それでも
だって
彼女に対する気持ちは本物で
彼女はそれを最後の最後まで弄び、裏切った
きっとそれをこれからも繰り返していく
彼女と同じようになるほどに






深夜に殴り書きしたものなので物語の順序おかしいことになってるかも~……


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