グクside
二人で街を歩いて1時間
少し休憩がてらホットコーヒーを飲む
ベンチに二人で座りながらも
目の前を通る人々を眺める
一応ここは見知らぬ場所
でも、思い出したいという思いと
社長がいてくれるという安心感があるからか
パニックになる気配はない
それに安心しつつも街を眺める
通りすがるカップルを見る度に
心がズキズキと痛くなる
俺も早くあんな風に歩きたいのに
寒いと言いながら女性が男性にくっ付いて
その手を握って温める男性
今あなたの手を温めているのは
俺以外の男なんだろうか
そう考えると苦しくて
コーヒーがいつも以上に苦く感じた
言われてみれば微かにあった記憶に
同じような木を見たことがある
わざわざ似ているところを選んでくれたんだ
俺が少しでも思い出しやすいように
また道をゆっくり歩いて行く
そんな時、目の前からまたカップルが歩いて来て
見ると苦しくなるからと下を向く
でも、二人が通り過ぎた時、歩く足を止めた
女性から香った、あなたの付けていた香水の匂い
それに頭の中に次々と道が浮かんできた
雲掛かって曖昧だった道の全てに
雲がなくなってハッキリと道を思い出す















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!