ステージに出ると観客の歓声が、世界を満たしていた。
「レイちゃーん!!」
「大好きー!」
「こっち向いてーっ!!」
スポットライトの下、私は完壁な笑顔を貼りつける。
ファンサ、投げキス、泣きそうなふり
嘘ばかりの世界。でも、誰もそれに気づかない。
それが、アイドルという存在。
そう、私たちは、偶像という名の仮面を被った嘘つきだ
私達の嘘にファンは喜び嘘を愛する。
このグループが売れるためにできる最善の行動。
それは、アイを目立たせることそして
その次に私が目立っていること、それをファンは望んでいる
だから私はそうなるように動く。
今日も、完璧だな...アイ、、凄く輝いてるよ
こうして何事もなくライブが終わった。
ライブが終わったあと私はメンバーの1人に呼び出された。
狭い非常階段に響く、怒気を含んだ声
楽屋でもない、ステージでもない、
スポットライトの当たらない場所で、
私は、ただ立ち尽くしていた。
よく通る、明るい声。
でも、その瞳は全然笑っていなかった。
相手の女の子は、息を荒げて手が震えていた。
笑うレイ
でもそれは、完壁に作られた笑顔だった。
……こう言えば丸く収まるって、知ってる
でも、この子の場合は逆効果かな
口調は軽い。
けれど、その裏には何もない。
怒られようが、責められようが、
レイの心はただ静かだった。
ほんの少しだけ、唇の端をあげる。
朝笑とも、慈悲とも取れない微笑。
声は震え、瞳は潤んでいた。
嫉妬。絶望。怒り。
でも、それよりも深くにあるのは一
「寂しさ」だった。
レイにはそれが見えていた。
あぁ、またか
誰かの感情に触れたとき、
レイはいつも「わかったふり」をしていた。
それが、一番効率よく人問関係を保つ方法だったから。
理解なんてしてなくても話を合わせて最適な答えを出す
国語の問題は昔は苦手だったな
作者の気持ちを考えろとか特に
昔から感受性のない私には人の気持ちが理解できない。
感情的これが私には1番似合わない言葉
感情演技とかも苦手だ。
それでも何故か相手のほしい言葉は昔からスラスラ出ていた
でも私はファンのためB小町全体の未来のために動く。
だからこの子だけの為に仮面は外さない。
レイは静かに手を伸ばした
手に、軽く触れるように。
笑顔だった。
柔らかく、優しく、完壁に作られたアイドルの顔。
けれど....その“優しさ”は、彼女に届くことは無かった。
拒絶と混乱。
心が爆発したみたいに、
勢いよく振り払われた手が、レイの胸を押した。
少し強めに押されたのは想定外だったよ
階段の縁に立っていたレイの体は、
そのまま重力に引かれた。
彼女の顔が、恐怖に歪む。
逃げなくちゃどうしようそんな顔をしている
レイは、笑った
最後の最後までアイドルで居続けた
私がここで死んだら、、きっとアイはさらに苦しくなる
私が足枷になってしまう。
でも転落の最中、頭の中は静かだった。
恐怖も痛みもなく、ただ
そんな安堵が、胸を満たしている
最後に見たのは、あの子の顔だった。
私のことを恐れている顔だ、それもそうだろう
自分が押した人間が死ぬのに笑っているのだから、
許してあげるとでも言いそうな優しい笑顔。
全て勝てなかったそんなことを、あの子は考えている
嫉妬しても嫌悪しても笑顔ひとつ崩さない
私を嫌うのも分かるよ欠点がある普通の子になら
こんなことにはならなかったんだろうね
そんなあの子の私を憎む言葉も、
徐々に聞こえなくなってくる。
これで、、やっと自由になる
______はずだった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!