第34話

フィン・エイムズと憧れのひと
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2024/04/02 22:26 更新
 レインの放つ剣の魔法は、容赦なくフード姿の男を襲う。さすがは神覚者、【無邪気な深淵の使い魔】も苦戦しているようだった。
【無邪気な深淵の使い魔】
っ……くそっ。
『サンダーストーム』!
レイン・エイムズ
パルチザン!
 苦し紛れに放った雷魔法も、レインの前では霧のように散っていく。
【無邪気な深淵の使い魔】
……ちっ
 使い魔はその頬に冷や汗を浮かべた。その余裕の無い表情を見て、フィンはハッとする。
フィン・エイムズ
(……さすが兄さま)
 ランスと対峙していたとき、フード姿の男はあんな顔をしていなかった。学年トップクラスのランスと、神覚者――レイン・エイムズ。やはりその間にはかなりの実力差が存在している。
フィン・エイムズ
(ずっと兄さまは、僕の憧れだった)
 強くて、冷たいように見えるけど、実は優しくて。彼が神覚者に選ばれたときも、兄なら当然だと、そう思った。――だけれどそれが、自分を苦しめるものになるとは、想像もしていなくて。
 ――兄のコネで退学せずに済んでるんだろ。
 ――あいつ、兄とは似ても似つかないよな。
 ――才能を全部、兄が持ってっちゃったんじゃね?
フィン・エイムズ
(憧れだった……けど、常に僕と兄さまは比較の対象。辛いわけじゃないと言えば、嘘になる)
 でも。
 やっぱり今、目の前で戦っている兄は。
フィン・エイムズ
かっこよくて、強くて、憧れなんだ……!
レイン・エイムズ
フィン、下がってろ
フィン・エイムズ
えっ?
 気づけば、レインの背中が目の前にあった。
レイン・エイムズ
……何か、来るぞ
フィン・エイムズ
……それは、あいつの攻撃がってこと?
 フィンはフード姿の男を見やる。しかしレインは首を横に振った。
レイン・エイムズ
いや、違う
フィン・エイムズ
……じゃあ、なに?
 フィンが恐る恐る聞いたそのとき。
レイン・エイムズ
ほら、来た
 レインの呟きと共に――――
 ドォォォォォオォォオオオオオン!!
 爆音が耳に鳴り響き、目の前が土煙で遮られる。
フィン・エイムズ
……なっ、何!?
 新たな敵襲――――そう思われたが。
アベル・ウォーカー
すまない。少々大きさを間違えたようだ
フィン・エイムズ
……こっ、この声は
 ようやく、土煙が晴れる。目を開けたレインとフィンの瞳に映ったのは。
アベル・ウォーカー
マリオネス セコンズ
 レアン寮、監督生――アベル・ウォーカーの姿。
アベル・ウォーカー
ハーム•パペット
 そう、彼のセコンズ――――今、目の前には、赤ん坊のような三つの頭と無数の手を持つ気味の悪い巨大な人形が居た。
レイン・エイムズ
……アベル? 何故お前が此処に
アベル・ウォーカー
それはこちらの台詞でもある。
レイン・エイムズ
アビス・レイザー
級硬貨コイン集めを競っているという意味では、寮同士はライバル。しかし今は味方ですよ
フィン・エイムズ
……アビス、さん? なんで
 突如現れたアベルとアビスに驚く二人。そんな彼らの背後から近づく、五つの人影――――フィンは気配に気づいて、振り向く。

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