レインの放つ剣の魔法は、容赦なくフード姿の男を襲う。さすがは神覚者、【無邪気な深淵の使い魔】も苦戦しているようだった。
苦し紛れに放った雷魔法も、レインの前では霧のように散っていく。
使い魔はその頬に冷や汗を浮かべた。その余裕の無い表情を見て、フィンはハッとする。
ランスと対峙していたとき、フード姿の男はあんな顔をしていなかった。学年トップクラスのランスと、神覚者――レイン・エイムズ。やはりその間にはかなりの実力差が存在している。
強くて、冷たいように見えるけど、実は優しくて。彼が神覚者に選ばれたときも、兄なら当然だと、そう思った。――だけれどそれが、自分を苦しめるものになるとは、想像もしていなくて。
――兄のコネで退学せずに済んでるんだろ。
――あいつ、兄とは似ても似つかないよな。
――才能を全部、兄が持ってっちゃったんじゃね?
でも。
やっぱり今、目の前で戦っている兄は。
気づけば、レインの背中が目の前にあった。
フィンはフード姿の男を見やる。しかしレインは首を横に振った。
フィンが恐る恐る聞いたそのとき。
レインの呟きと共に――――
ドォォォォォオォォオオオオオン!!
爆音が耳に鳴り響き、目の前が土煙で遮られる。
新たな敵襲――――そう思われたが。
ようやく、土煙が晴れる。目を開けたレインとフィンの瞳に映ったのは。
レアン寮、監督生――アベル・ウォーカーの姿。
そう、彼のセコンズ――――今、目の前には、赤ん坊のような三つの頭と無数の手を持つ気味の悪い巨大な人形が居た。
突如現れたアベルとアビスに驚く二人。そんな彼らの背後から近づく、五つの人影――――フィンは気配に気づいて、振り向く。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!