呼び出せる限り全ての海坊主を使役して
弾幕として手繰る
それと同時に碇も振り回す
いつもなら絶対できない動き
余計な感情が消えてやり易くなった
どんどん密度が高くなりながら
襲いかかる私の自慢の海坊主たち
蝋野は被弾を重ねてコスチュームが破れ
血が流れ続けている
彼女はたった一つのスペルカードを掲げる
単純な弾幕が展開される
だけど
弾幕に込められてる呪力が半端ない
そう思って避けていた
避けているつもりだった
痛い
思いっきり被弾した
立てるか…?
こんなに痛いなんて久しぶりだ
絶対に私は倒れられない
倒れるのは
仇討ちしてからだ
赤黒い液体が私から流れ出る
あたりどころが悪かったのか口からも止まらない
私は感情のこもっていない
ただ殺意だけ込められた笑みを彼女に投げつける
私の持つ全ての霊力をかけて
お姉ちゃんのスペルカードを再現する
もしかしたら超えているのかも
厭,邪念はいらない
私が全力で作った弾幕は
見事蝋野朱美の心臓に当たって
彼女は絶命した
朱い血を吐いて
清々しい
不思議な気持ちになった
それと同時に
飛んでいたのに
何故か地面に叩きつけられた
自分の体が透明になってきているのが見えた
なんでだろう、
天罰かなぁ
わかっているけど認めたくない
わたしはいつのまにか怨霊と化してきているということを
怨みが積もり海坊主という存在から少し逸れてしまったと言うことを
霊力が切れて
怨みが晴れて
わたしの体は消え掛かっている
お姉ちゃん…
わたしはあなたと過ごせて楽しかったよ…
大好きだよ
来世でも…
来世があれば
また姉妹がいいなぁ
星…ナズ…一輪…雲山…響子ちゃん
みんなと会えて良かったなぁ
聖様…
わたしは良い子だったかなぁ
ルールも破ってごめんなさい
あなたみたいな聖人にまた出会えるかなぁ…
ずっと
永遠に尊敬しています
ずっと…もっとみんなといたかったなぁ
ヴィラン連合のみんなも…
あそこの空気は
嫌いじゃなかったなぁ
復讐のためでも
意外と楽しかった
弔…
楽しい生活をありがとう
だんだんと薄れゆく意識の中で
そんなことを考えていた
それが私の最後の記憶だ
肥大化していた海坊主が萎んでゆくのを
弔は見た
彼は
一瞬の動揺を見せた
ヒーローの攻撃は止まない
悲しみを心に隠しながら戦い続けた
「柄杓を貸してよ」END


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!