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第20話

夜 霧 に 輝 く 鶯 の は な し .
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2026/03/02 10:30 更新





  ▶《 家族の灯火 【 イルーガ 】 》

  解放しますか ?



  ▶はい   いいえ













  今日も今日とてグラスを撫でる 。



  デミアンさんに許可は出されているが

  カクテルを作る気は起きない 。



  フリンズさんに気づかれてから …

  何だか恥ずかしくなってしまった 。







イ ル ー ガ .
 … あの 、 大丈夫ですか ? 
イ ル ー ガ .
 先程からずっとそこで 
 狼狽えていますが …





あなた
 ひあッ !? 





イ ル ー ガ .
 あ … すみません 、 
 驚かせてしまいましたね … 








  カウンターから話しかけてきた彼は

  眉を下げて私を見つめる 。



  私に伸ばされた手は

  残り数cmのまま固まっている 。








あなた
 こ 、 こちらこそすみません ! 
 ご注文はお決まりですか ?





イ ル ー ガ .
 あぁ … えっと …
 強いお酒を三本ください 。 
イ ル ー ガ .
 あと 、 サイダーも1本 。 





あなた
 お酒 … ですか ? 
 ご 、 ご自分で飲まれるんですか ? 





イ ル ー ガ .
 お酒は仲間の分です 。 
イ ル ー ガ .
 僕 、 ライトキーパーの分隊の 
 隊長を務めておりまして 。
イ ル ー ガ .
 隊員を労うために 
 ここへ買いに来たんです 。 





あなた
 ライトキーパー … !? 









  " ライトキーパー " と聞いて

  思わず叫んでしまう 。



  フリンズさんが脳裏を過り 、

  再び羞恥心がもくもくと吹き上がる 。









あなた
 し … 失礼しました … 





イ ル ー ガ .
 ふふ 、 大丈夫ですよ 。 





イ ル ー ガ .
 それにしても 、 驚きました 。 
イ ル ー ガ .
 僕は長らくナシャタウンに 
 来ていなかったので …





イ ル ー ガ .
 こんなに可愛らしいお嬢さんが 
 いるなんて知りませんでした 。 





あなた
 … かっ 、 わ !? 









  手に持っていた瓶を

  落としそうになってしまう 。



  ライトキーパーって皆こうなの !?



  皆こんな … 聞こえのいいこと

  言ってくれるの !?









イ ル ー ガ .
 あっぶない … 
イ ル ー ガ .
 大丈夫ですか ? 怪我は … 





あなた
 なッ 、 ないですないです ! 
 こんなことで怪我しません ! 
あなた
 それに私は生まれつき 
 身体が丈夫なんですよ ! 





イ ル ー ガ .
 … というと ? 





あなた
 えっと … 
 私元々孤児だったんですけど … 
あなた
 石やガラスを投げられても 
 少ししか血が出なかったんです ! 
あなた
 捨てられたのは悲しいですけど … 
 丈夫な身体なのは感謝です ! 





イ ル ー ガ .
 そう 、 ですか … 
 
イ ル ー ガ .
 … 









  それっきりイルーガさんは黙ってしまった 。



  暗いことを話しすぎただろうか ?

  だとしたら … 申し訳ない … 。









あなた
 あ 、 あのぅ … イルーガさん ? 





イ ル ー ガ .
 孤児 … 助ける … 僕 … 家族 …  





イ ル ー ガ .
 家族 ! そうだ家族です ! 





あなた
 えっ ? 









  先程とは真逆で 、 

  心底嬉しそうな顔をした 。



  家族 … ? 何の話 … ?









イ ル ー ガ .
 今一人暮らしですよね ? 





あなた
 え 、 は 、 はい … 





イ ル ー ガ .
 僕と家族になりましょう ! 
イ ル ー ガ .
 もう独りにさせませんし 、 
 僕が貴方を守ります 。





あなた
 あ 、 の … 話が … 









  彼は早口で話し始めた 。

  きっと私の返答が早く聞きたいのだろう 。



  彼も孤児で 、 ライトキーパーの

  偉い人に拾われて 、 それで ──



  私のことが 、 心配になったからだと 。





  直感的に 、 守らなければと 、

  そう強く感じたからだと 。









イ ル ー ガ .
 それで … どうですか ? 





あなた
 え 、 えっと … 
あなた
 か 、 家族って言っても … 
 妹 ? とかですか … ?





イ ル ー ガ .
 妹 … でもいいですよ 、 
 あなたの下の名前さんのお望みならば 。 
イ ル ー ガ .
 ただ … 





イ ル ー ガ .
 ── 別のやり方もありますよ 。 









  聞き返す前に彼はそそくさと

  2本の瓶とサイダーを手に 、 離れていく 。



  入口の前でコツン 、 と止まった足音は

  私の顔を見て微笑んでいた 。









イ ル ー ガ .
 また来ます 。 
イ ル ー ガ .
 返答はその時にでも 、 
 お聞かせくださいね 。 













  ▶おめでとうございます 。

  《 RE:RE:RE 【 ファイノン 】 》を

  創作しました 。



  ▶人物 《 夜霧に輝く鶯 》 を

  記録しました 。





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