対異特務小隊
帝国陸軍の中でも飛び抜けて異質なその隊は帝国内で起こる
怪異に関係するあらゆる案件に設立された隊員はほぼ全員が
見鬼の才ー怪異を見ることのできる力あるいはそれ以上の人
智を超えた能力を操る異能者で構成されているもともと見鬼の才がある者や異能者は数少ないため一般にはあまり知られていない部署でもあったそんな特異な隊を率いる久堂清霞小佐は現在書類の処理に追われてる
ましてや斎森家の娘あの家なら私を葬り久堂家の地位にとって代わろうと画策していて不思議はない
この質素な家を見て嫌悪し帰る者や怒り出す者もいた
ひたすら私に媚びを売り裏でゆり江を虐げる者もいた
食事が気に入らない部屋も変えろと我がままを言う者
もいた名家の当主ありながらこのような場所で暮らす
のは一般的ではないという自覚はあるだが相手を理解
しようとせず己の意見を通そうとする女はまっぴらだ
誇り高いのも気位が高いのも否定するつもりはない
しかし自惚れるなと思いいつも破談になる
無表情に戻っている…か
まるで使用人のようだ普通に名家の令嬢として育てられたのならあのようにはなるまい今回も早々追い出すつもりだったが…斎森家の娘は結婚相手としてかなり良い条件がそろっているしばらく様子を見るか
ただ勝手に警戒して警告しただけー
威圧しているつもりはなかったのだが…
しかしーあらためて見るととても名家の令嬢とは思えないな
古着とも呼べぬ粗末な着物ひどく痩せ細った首許や手首
あかぎれだらけの白い指先傷んで艶もない髪都会に住む娘ならば庶民だってもう少し良い格好をしている
とったならとったと言えばいいだけの話そう言わないということはー
家族やそれを準する関係の人間同士でともに食事をするのは
常識…と認識していたのだが
それは本格的におかしな娘が来てしまった
旦那さまにため息を吐かれてしまった…
いよいよ追い出されるかもしれない追い出されたらもう
帰る場所のない身住み込みで働けるところを探すかあるいはー
食欲がではなく食事を抜かざるをえなかったことが…
すぐに謝ってしまうのは実家でそうしてきたからー
継母や異母妹に目をつけられ文句を言われ初めたら
謝罪以外口にすることを許されなかった即座に謝らなければ
嫌がらせや罵倒がひどくなるので反射的に謝罪が口につくようになってしまったそんなことを話せるわけがないここにいなくても継母や異母妹…父でさえも恐ろしい
正直怖いにこりともせず今朝の冷たい顔と声も思い出すと
震えあがりそうになるあの美貌が余計に恐怖を煽るけれど
わたしの食事を気にするということは今のところ追い出そう
としているわけではないのだろう…
冷たいだけの人でもない…と少しわかった
発火能力ーーわたしには縁のないもの
わたしに異能かないことをおそらく旦那さまはご存じない
やってくる妻候補にいちいち興味を持ってはいないようだし
私が斎森家の娘という時点で異能ないし見鬼の才を持っていると思ったのだろうふさわしくないわたしは久堂家の当主の妻にふさわしくない妻に似合うのは香耶のように何でも持っている女性なのだろう















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!