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第1話

非凡の訪れは突然に
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2025/03/21 12:55 更新
 





僕はごく普通に学園生活を送るフツーの学生だった。


あの日まではね。





こえ
うわっ、もうかなりやばい!!
鈴木こえはそう声をあげた。


僕は今大疾走中だった。


なんと、学校の完全登校時刻まで残り5分ほどしかないのだ。
れる
もーこえくんのせいやで!
だからこえくんは待たずに行こうでって何回もゆうくんに言ったのにー!!
ゆう
そうだけど、
こえくんをおいていっちゃうわけにもいかなかったからね~…
そう言い僕と一緒に走るのは幼なじみのれるちとゆうくん。


ゆうくんとは小学校からの付き合いで、
れるちに関しては物心つく前からずーっと一緒だ。


高校生になっても僕らは一緒に学校に行くのが日課なのである。



今日は僕が盛大に寝坊したので、2人は待っててくれたから3人で走ることになった。


ゆう
まぁこえくんは頑張って遅刻癖を直していかないとね、
れる
もうゆうくんは優しすぎるんよ!
こえくんにもっと厳しくしてこ!!
こえ
えーやだやだ!
じゃあれるちはゆうくんに2度と課題写させてもらうなよ!
れる
れるはいいんですー!!
そう言い、れるちは僕に向かってあっかんべーをしてきた


こんにゃろ…!!腹立つ…!!!
こえ
調子乗んなよ!あほれる!!
れる
誰があほやねん馬鹿こえ!
ゆう
はいはい2人とも喧嘩しないの!
本当に遅刻しちゃうよ!
そうゆうくんが言って僕らの仲介に入る。


そうだった、僕らは今遅刻寸前なんだった!


遅刻も何回もしちゃうと評価に大分ひびいて、下手したら退学になっちゃうらしいからね…!
こえ
急げーっ!
そう言いとにかく全力で学校へと走った。
こえ
あーつかれたぁ…
僕はそう言い机に突っ伏した。


なんとかギリギリで学校にいれてもらえて遅刻判定にもならずにすんだ。


ゆう
なんとか間に合って良かったね、
れる
こえくんのせいでほんまヒヤヒヤしたわ…
ちなみに、僕ら3人は同じクラスなんだ。


中学も3年間3人で同じクラスだったんだけど、


まさか高校1年生になっても同じクラスになるとはね。
こえ
次の授業なんだっけ~
ゆう
次は物理だから移動教室だね
れる
今度は余裕もって行動しよ!
もう行こうで!
ゆう
それもそうだね、早めに行こっか


そうれるちとゆうくんに言われ、僕らは早めに次の授業部屋へと向かうことにした。


今日も今日とて、なーんにもない平凡な日だなぁ、



そんなことを思いながらぼーっと廊下を歩きながら窓の外を眺める。



高校1年生になったわけだけど僕自身には何も大きな変化はない。



ゆうくんもれるちも一緒だし。



ちょーぜつに平凡な高校生活、だよなぁ



まぁ学園を悪の組織から救うヒーローになっちゃった!みたいな、非凡を求めてる訳じゃないけどね?




これはこれで満足はしてるし。




ぼんやりとそんなことを考えていたそのときだ。



ドンッッ



こえ
うわっ、!?
何かに僕は正面からぶつかったらしい。


反動で後ろにどさっと倒れてしまい、持っていた教科書やらを廊下にぶちまけてしまった。


というかぼーっと歩きすぎてたせいで、ゆうくんとれるちもういないじゃん!
???
わっ、!?ごめんね!
全然前みてなかったよ、
こえ
ほぇ、?
そう言って転んだ僕に手をさしのべてくれたのは男子生徒だった。


名前は分からないけど、たぶん先輩だろう。


紫色の髪に瞳、耳にはひし形のピアスをつけている。

体型はスラッとしたモデル体型で顔は良い方。



うわ、めちゃくちゃイケメンな先輩だ…!
こえ
僕の方こそすみません、先輩はケガしてませんか?
???
俺は大丈夫、はい持ち物。
こえ
あ、ありがとうございます!
そう言い僕は拾ってもらった持ち物を受け取った。


れるちとゆうくんは先行ってるだろうし、僕も早く行かないと、!!



僕はそう思い授業部屋へと向かった。
れる
あ!こえくんきた!
部屋に入ると案の定れるちとゆうくんは既にいた。


こっちと手招きされたので僕は2人のもとへ行き、近くの席に座った。
こえ
せーふだよね!
ゆう
うん、セーフ!
で、なにしてたの?
こえ
いや~色々あってね…
教師
はい、静かにー
授業始めるぞ

僕が話そうとしたタイミングで先生が入ってきたので、

僕は1度話すのをやめてピシッと姿勢よく座りなおした。

教師
それでは教科書32ページを開いてください
授業が始まり、僕は教科書を手に取った。

この授業かったるいんだよなぁ、



そう思いながらもパラパラっと教科書をめくった。
教師
今日は15日だな、
鈴木、読み上げろ
うげっ、出席番号で指名してきやがった
れる
どんまいw 
こえ
うるせぇ
教師
鈴木、早く起立して読み上げろ
れるちと小声で言いあいっこをしてたら、そう先生に言われた。


僕は仕方なく教科書に目を通し、音読した。
こえ
「世界一、イカしたイカメシになるんだ!」
そう言ってイカメシくんは旅に出ることを決意しました_

…って、は?
教師
…何を言ってる鈴木?
自分で読み上げてから、あきらかにおかしいことに気づいた。


え、なにこれ??、



僕は表紙を見た。
こえ
な、な、なにこれー!?
そこに書かれていた題名は、「イカメシくん」


いや本当になんだこれ!!!
ゆう
え、ちょっw
れる
イカメシくん!?www
なんやそれ!!www
こえ
僕も知らないし!?

だってこんな本持ってないし僕はちゃんと準備してから教室を出たはずだし…

僕はそんな中1つの考えが頭をよぎった。



さっき先輩とぶつかったとき、持ってた教科書とかをぶちまけちゃって、


それで先輩に拾ってもらってそれを受け取って…


つまり、そこで僕らの荷物が入れ替わったのでは!?
教師
鈴木、これは忘れ物ということでいいか?
こえ
違うんです先生!
これにはわけが…
教師
問答無用!
授業点からマイナスしておく
えええ…そんなぁ…!!


くそぅ…厳格教師め…!!
ゆう
こえくん、ゆさんの一緒に見ていいよ
こえ
うん、ありがと…
小声でゆうくんがそう言い僕の近くに教科書をススッと寄せてくれた。



ありがたい…やっぱりゆうくんには感謝だよ…

持つべきはこういうゆうくんみたいな優しい友達だよね。


そうして僕はなんとかその授業を乗り越えた。


キーンコーンカーンコーン



そうお昼を告げるチャイムが校内全体に響き渡る。


れるち、ゆうくん、僕の3人で今学校の屋上に居る。



僕らは屋上で昼食を食べるのが日課なんだよね。



僕は今日、先輩と廊下でぶつかって、

その時に荷物が入れ替わったのではないか、ということを2人に話した。
こえ
_で、そういうことがあってさ…
れる
そうだったんやな!
ってかさ、その先輩長谷部先輩ちゃう?
なーゆうくん?
ゆう
その特徴からすると、ゆさんもそんな気がするかな
こえ
長谷部、先輩?
聞いたことない名前だったので僕は首をかしげた。


れる
え、こえくん知らん!?
有名やん長谷部こったろ先輩!

めちゃイケメンやし!学校の人気者やん!
こえ
あー、確かに顔は良かったなぁ
先輩とあった記憶を思い出しながら、僕は持ってきた苺のジャムパンを頬張った。
ゆう
確か3年生じゃなかったっけ、ゆうさんたちの2こ上だよ
こえ
2こも上だったんだあの先輩
ともかく、今日中に会いに行って教科書返してもらわないとな、


明日も今日と同じ授業あるし


でも高校3年生のフロアに入るのめちゃくちゃ緊張するんだけど…
こえ
ねー、ついてきてよ2人ともぉ…!
れる
なに、こえくんびびってるん?w
やーい弱虫~w
こえ
黙れ!!
れる
はぁ!?
やんのか!?
ゆう
こらこら!
喧嘩はやめなさいっ!
そういつも通りゆうくんが間に入った
こえ
いるかな…?
放課後。


僕は結局1人で三年フロアに来ていた。


れるちに挑発されたから、なんか僕自身若干ムキになっているからだ。


最後までゆうくんには大丈夫?と聞かれたものの、僕ももう高校生だもんね、


これぐらい1人でなんとかしないと!

そのときだ。





私と、付き合ってください…!!

そんな声が廊下に響いた。


え、ちょっとこれって…



僕、誰かの告白現場に立ち入っちゃったのでは、!?




こったろ
ん~…気持ちは嬉しいんだけどね、
こえ


ふとその声に反応し、声のする方向をそっと見た。


そこにいたのは1人の女子生徒と、長谷部先輩だった。



学校の人気者だってれるちも言ってたっけ。


やっぱりモテるんだなぁ、
長谷部くんって恋人いないんでしょ?
なんでなの!
こったろ
んーとねぇ…
何て言えばいいか…と困っている様子。


いないと言い切ったらめんどくさくなるパターンだこれ



どうすんだろ先輩…



そのときだ。
こったろ
あ!君…えっと、
こえくん!
こえ
えっ
隠れてみていたはずが、僕は長谷部先輩にバレてしまった。


というかなんで名前知ってるんだ…?


あ、

名前は教科書に書いてあったからそれを見たのかな
こえ
すっ、すみません先輩!僕はっ…
この本を返しに来ただけなのでさっさと帰らせてもらいますね!!!


そう言って立ち去ろうとしたその瞬間、



長谷部先輩は僕の肩をギュッとつかんで抱き寄せた。
こえ
っえ、!?


何が起きたか理解できない僕に、


とんでもない言葉が放たれた_




こったろ
俺恋人いるんだよね!えっと…この子なんだ!




こえ
……………え?




今なんて…



こ、"恋人"!?!?


僕が、先輩の!?



こえ
え、え、ええええええええええっ!?


僕の声は、学校のチャイムよりも大きな音となって鳴り響いた。

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