昔々、
あるところに、
両腕が無い、紅い瞳を持った少年が居た。
義手を両腕に嵌め乍、日々を送っていた。
少年は、瞳の色から家族から冷遇されていたが、
必要最低限の生活を送れていた。
ある時、友が誰かと話をしているのを聞いた。
誰かは云った。
「おい、そりゃ本当か?」
友は云った。
「嗚呼、本当だ」
「本当に目が紅いんだよ。」
誰が云った。
「其奴は良い!高く売れるぜ!」
友は云った。
「しかも義手を両腕だ。そっちを売っ払ったて良い。」
少年は気付いた。
之は自分の事だ、と。
そう気付いた瞬間、物凄い不快感に襲われた。
何で
売る?
売られる?
逃げなきゃ
どうして?
あんなに仲良くしてくれたのに?
当たり前でしょ?
怖い
彼も人間なんだから
酷いよ
何を期待していたの?
信じてたのに。
貴方が一番わかってるでしょ?
ふっ___と思考が落ち着くと、
「うぁぁぁぁああああ!!!」
と悲鳴が聞こえた。
ぐちゃっ、
どしゃッ、
2つの音も聞こえた。
ほら、結局『は、はは…っ、 』
『そっか、…そうか』
貴方、何も期待して無かったじゃない。
『僕、何にも期待してなかったのか』
新鮮な血溜まりが2つ。
数時間もすれば虫が寄ってくるだろう。
『…お母様も、お父様も、』
『友達も、みんなみーんな』
『僕に期待してなかった。』
『そして、』
『僕も期待してなかった。』
少年は走った。
少年の走った跡は灰となり、
少年が見た物も灰になる。
人も建物も、
全て等しく灰になっていく。
少年の耳に悲鳴が届くけばそこ悲鳴は直ぐに止み、
新しい悲鳴が少年に届く。
直ぐに消える悲鳴は、少年には耳障りのようだ。
少年は静寂を求めて彷徨った。
少年に向けられた銃口は、発砲される事はあっても、
少年に傷を付けることは一切無かった。
弾丸は少年に当たった瞬間、灰と化した。
『 あっははは!! 』
少年は笑った。
裸足で世界を走り回った。
少年は笑い乍人々を土に還していった。
『あぁ…やっと、静かになった。』
『…美しかったな、全部。』
そう云って少年は鑑の中の自分を見た。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。