新学期が始まり、新たな図書委員と顔合わせをした。
そこにいた無気力を擬人化したみたいな子が
国見英くんという。
お昼休みの静かな図書室に響くのは暖かい春風の音と
本を捲る音だけだった。
この物静かな空間に鶯のさえずりのように儚く
それでいて一際目を引く彼の声が加わった。
これは嘘じゃない。
実際、放課後は文化部や帰宅部の子などが積極的に
手伝ってくれるが、お昼休みに図書室の当番を
やりたがる子は少ない。
彼はこうやっていつも私の読む本を聞いてくれる。
若者が本に興味を持ってくれてとても嬉しい。
夏目漱石の作品は三角関係のものが多い。
この作品もそうだった。
「恋は罪悪」という言葉がある。
自由に恋愛をすることによって生まれる代償を、
まだ恋を知らぬ私は恐ろしく思った。
無気力な彼は、なんと答えるんだろう
純粋な疑問だった
分からない...たしかにその状況にならないと
分からないものかもしれない。
それでも私は知らない恋愛よりも
長い付き合いの友情の方が素晴らしく感じる。
そう答えると国見くんは大きな目を丸くし
とても驚いた表情をしていた
目がこぼれおちそうなくらい広げ
驚く国見くん。
そんなに意外だったのかしら?
たしかに「歩く図書館」と言われる私は
人から相談事を受けることが多い。
私のアドバイスは全て先人の知恵だ。
それ以外の何者でもない。
ー恋とは熱病のようなものである。
それは意志とは関係なく生まれ、そして滅びる。ー
(スタンダール)
恋に関する名言は星の数ほどある。
それだけ恋が人それぞれだということだ。
そんなの決まっている。
再び静まり返った図書室に
昼休みの終わりを告げるチャイムが響く。
今日も図書室から見える桜はとても綺麗だった。
▷▶「及川という隣人」
「及川くん、浮気はだめよ?
ー浮気は恋愛のスパイスではない。爆弾である。ー
とアナベル・スミスが言うように、浮気は危険なのよ?」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。