第2話

国見という後輩
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2025/09/18 16:01 更新
新学期が始まり、新たな図書委員と顔合わせをした。

そこにいた無気力を擬人化したみたいな子が

国見英くんという。
お昼休みの静かな図書室に響くのは暖かい春風の音と

本を捲る音だけだった。

この物静かな空間に鶯のさえずりのように儚く

それでいて一際目を引く彼の声が加わった。
国見英
...こんにちは
あなた
こんにちは、今日も来てくれたんだね
国見英
昼くらいしか来れないんで...
あなた
国見くんが来てくれてとても助かってるよ
これは嘘じゃない。

実際、放課後は文化部や帰宅部の子などが積極的に

手伝ってくれるが、お昼休みに図書室の当番を

やりたがる子は少ない。
国見英
...そうですか
国見英
今日は何を読んでいるんですか?
彼はこうやっていつも私の読む本を聞いてくれる。

若者が本に興味を持ってくれてとても嬉しい。
あなた
夏目漱石の「こころ」よ
あなた
とても有名だから名前くらいは
聞いた事あるでしょ?
国見英
はい、名前だけは
夏目漱石の作品は三角関係のものが多い。

この作品もそうだった。

「恋は罪悪」という言葉がある。

自由に恋愛をすることによって生まれる代償を、

まだ恋を知らぬ私は恐ろしく思った。
あなた
友情をとるか、恋愛をとるか
あなた
国見くんならどちらを選ぶのかしら?
無気力な彼は、なんと答えるんだろう
純粋な疑問だった
国見英
分からない...です。
国見英
先輩は?
分からない...たしかにその状況にならないと

分からないものかもしれない。
あなた
私なら...そうね...
それでも私は知らない恋愛よりも

長い付き合いの友情の方が素晴らしく感じる。
あなた
友情...かしら
そう答えると国見くんは大きな目を丸くし

とても驚いた表情をしていた
国見英
どうしてですか?
あなた
だって...
あなた
恋、したことないもの
国見英
目がこぼれおちそうなくらい広げ

驚く国見くん。

そんなに意外だったのかしら?
あなた
そんなに意外?
国見英
はい
国見英
いつも恋愛のアドバイスしてるじゃないですか。
たしかに「歩く図書館」と言われる私は

人から相談事を受けることが多い。
あなた
あれは先人の言葉を借りてるだけよ
あなた
私には理解できない感情だもの
私のアドバイスは全て先人の知恵だ。

それ以外の何者でもない。
国見英
恋してみたいと思わないんですか?


ー恋とは熱病のようなものである。
それは意志とは関係なく生まれ、そして滅びる。ー
(スタンダール)


あなた
かのスタンダールも言うように恋は
落ちたくて落ちるものじゃないのよ?
恋に関する名言は星の数ほどある。

それだけ恋が人それぞれだということだ。
国見英
じゃあ、もし誰かに告白されたら
どうするんですか?
そんなの決まっている。
あなた
その時は...ーーーーー。
再び静まり返った図書室に

昼休みの終わりを告げるチャイムが響く。
あなた
さて、そろそろ戻りましょうか
今日も図書室から見える桜はとても綺麗だった。
▷▶「及川という隣人」


「及川くん、浮気はだめよ?
ー浮気は恋愛のスパイスではない。爆弾である。ー
とアナベル・スミスが言うように、浮気は危険なのよ?」

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