第9話

みんなに明かす、大切な人
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2025/12/03 10:52 更新
翌日。
練習室に入った瞬間、
私は後ろからガッと腕を引かれた。
瀬央ゆりあ
瀬央ゆりあ
あなたの下の名前ちゃん、ちょっと来よっか。
礼真琴
礼真琴
今日は逃さないからね?
水美舞斗
水美舞斗
昨日の件、説明してもらおっか。
桜木みなと
桜木みなと
あれは……どう見ても……
朝美絢
朝美絢
……キス、だったよね?
柚香光
柚香光
ちょっと、正座して待ってて。
逃げ場なし!!!!
私は半円状に囲まれ、
95期メンバーの圧がすごい。
礼さんが机をバン!と叩く。
礼真琴
礼真琴
ねぇあなたの下の名前!?あれなに!?説明して!?
チューだよ?チュー!!
(なまえ)
あなた
声が大きいです!!
私は泣きそう。
桜木さんが優しく言う。
桜木みなと
桜木みなと
怒ってるんじゃないよ?
ただ……びっくりしただけ。
水美さんが腕を組む。
水美舞斗
水美舞斗
私ら、あなたの下の名前を
妹のように思ってるからさ……。
柚香さんが優しく微笑む。
柚香光
柚香光
恋人の顔だったよ?れいこ。
言われた瞬間、私の顔が真っ赤になる。
その後、朝美さんがサラッと致命的な質問を投げてきた。
朝美絢
朝美絢
いつから付き合ってるの?
練習室の空気が凍る。
礼さんが眉をひそめ、
礼真琴
礼真琴
なんで隠してたの?
柚香さんが前のめりになり、
柚香光
柚香光
れいこのどこが好きなの?どこで落ちた?
桜木さんがオロオロし、
桜木みなと
桜木みなと
あなたの下の名前ちゃん、困ってるから……
でも本当に気になって……。
私はついに声を絞り出す。
(なまえ)
あなた
ぜ、全部……内緒なんです……!
だから……その、言えなくて……!
その瞬間、皆さんピタリと黙る。
そして、全員がフッと優しい顔になった。
水美舞斗
水美舞斗
……そっか。
朝美絢
朝美絢
隠してた理由、分かった。
瀬央ゆりあ
瀬央ゆりあ
大事にされてるんだね。
柚香光
柚香光
そりゃ言えないよね……トップだもんね。
桜木みなと
桜木みなと
ねぇ、あなたの下の名前、幸せ?
私は小さく、でもしっかり頷く。
すると礼さんが涙目で叫ぶ。
礼真琴
礼真琴
うぅぅ……!幸せなら許す!!!
あなたの下の名前が幸せならそれでいい!!!
全員が笑った。
その時、
練習室のドアが開き、れいこさんが入ってきた。
全員の視線が一点に刺さる。
れいこさんは全く動じず、普通に私の横に立った。
そして、
月城かなと
月城かなと
……みんな。昨日のことだけど。
全員が身構える。
れいこさんは淡々と言った。
月城かなと
月城かなと
あなたの下の名前は、私が大切にしている人です。
確かで、確信のある声。
私の手をそっと取る。
95期メンバーが全員、「ヒョエエエ……」と変な声を出す。
礼さんは泣きながら叫ぶ。
礼真琴
礼真琴
幸せにしなかったら
許さないからねぇぇぇぇぇ!!
れいこさんは微笑んだ。
月城かなと
月城かなと
当然だよ。
その瞬間、
練習室の空気が柔らかくほどけた。
95期メンバーは騒がしく、
どこまでも優しい、本当のお姉ちゃんのような先輩だった。

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