「うぅ……」
おでこに貼ってもらった冷えピタの温度に意識を集中させても、私の熱い体は冷えない
「だっ、大丈夫? いや、大丈夫じゃないよね…なにか食べられるものとかある?」
慌てふためいて揺れるブロンドがどうしようもなく愛おしいし、守りたい。
まあ、たった今守られているのは私だけど。
今朝私が熱を出してから、彼はずっと私の看病をしてくれている。
私は頑張っている彼の姿が好きだけど、私のために頑張らせるのは少し酷だと思ってしまう。
こんなにも胸がときめくのは私が熱に浮かされているからだろうか。
いいや、それは私が彼のことを偏執的と言ってもいいほど大好きだからだと思う。
もしもこれが幻覚で、熱が冷めたら彼が目の前からいなくなっていたらどうしよう。
「ねえ」
「どうしたの?」
近づいてきた彼は匂いがあって、音があって、眼鏡に私の顔も反射している。実在だなと、安心した
「大丈夫。不安になって」
「うん また不安になったらいつでも声かけてね」
彼はやっぱり月のようで、私はついまどろみに身を委ねた
夜が明けたら私の熱はすっかり下がっていた。
目が覚めても熱が下がっても彼は実在で、熱が下がったことを告げた彼は照れるみたいにニコニコ笑っていた。いつまでも一緒にいたいなと思った。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!