第101話

問15(2) 夢幻の時間はどうなったか答えよ
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2024/11/05 14:09 更新
注∶グロ表現、胸糞表現あり

















物心ついた時には、1人だった
それに気がついたのは3歳くらいの頃


私は所謂、ギフテッドというものらしい
特別な脳を持ち、特別な運動神経を持ち
4歳になる頃にはこの世の大方の仕組みは理解した
そして、私は捨てられていたのだということも、入れられていた段ボール箱の『xxxx年生まれ ご自由に拾ってください』という文字を見てすぐに理解した
NO NAME
……まあ、別に良いんだけど
それからは簡単
裏に生きる汚れた人間を殺してお金を手に入れ
路地裏の隅っこで日々を過ごす


苦ではなかったと思う
私にはこのとびきりの才能がある

"ヒトゴロシ"という才能が
ま、待て!やめてくれ……!頼……






グシャ














NO NAME
……はぁ……この人も威張ってた割にあんまりお金持ってないなぁ……
ひっ……あの子の周りに血が……
あいつに近寄るな!殺されるぞ!
NO NAME
……変なの


間違ったことはしていないのに

私は正しいはずなのに
心の中に燻る虚無感を押し殺して





……まあ仕方ないよね
理解を求めるつもりもないよ


私は1人で生きていける



そして、最高の死を…………














この頃からもう、死に焦がれていたのかもしれない
毎日"死"を想い、"死"を信じて生きる







私の死に場所は、死に方はこんな汚いとこじゃなくて
もっとあるはず、最高の死が、その方法が、条件が___











そんな生活をして、はや2年
あの紙を真とするなら私は6歳かな?
体力も尽きるし、悪い人以外殺さないようにしてるから毎日ご飯を食べられるわけじゃないし、腐ったパンしか食べれなかったりもしたけど……まあ人間なんとかなるもんで


特にやることもなく暇を潰して
ただひたすら"死"を想って


そんな日の中、ふと見えた光景に目を奪われた
NO NAME
公……園……?


"ウラロジ"にばっかりいたから初めて見たなぁ

子供がいっぱい居るし、遊ぶための場所かな?




砂を固めて何か作ってる……
形歪だし、歪んでるし、もうちょっと上手く出来ないものか

鎖で吊るされた板の上に乗って揺れてる……振り子の原理みたいなものかな?特段凄い機能が搭載されてる訳でもないじゃない

てこの要領で板の両端に乗る子供達も、何がそんなに楽しいのやら


理解、出来ない……








……出来ない…………けど………






NO NAME
楽しそうだなぁ……




























夕方の6時頃、子供達は"イエ"に帰って誰もいなくなった

私は恐る恐る公園に入る
NO NAME
……あった……えっと……しーそー?
NO NAME
これに乗るのか……あ、でも私1人しかいないし無理ですね
NO NAME
じゃあ……これは……ぶらんこ?これを揺らすんですよね……?



ギーコー、ギーコー……
NO NAME
…………
NO NAME
おかしいなぁ……あの子達は楽しそうに乗っていたのに


NO NAME
仕方ない、えっと……ここは……"スナバ"、ですね……砂で何か作るのか……
NO NAME
……んしょ、んしょ……



NO NAME
よし、まあまあですね……でもさっきの子より形も整ってますし、歪みもないし、楽しい…………はず…………




楽しい……はずなのに……
なんで楽しくないんだろう?

やり方は合ってるはずだし
あの子たちより上手く出来てるはずなのに?
NO NAME
……はぁ……時間無駄にしちゃったな……帰……
???
ねぇ君、どうしたの?
NO NAME
……
出た
1人だとこうして話しかけてくる人が多い

面倒くさいなぁ……
???
あの……大丈夫?
NO NAME
……
???
あ、えっと……俺は決して怪しいものとかじゃなくて……その……

悪い人ではないのだろう

だけど結構しつこい
普通黙ってたらみんな逃げていくか強引に誘拐しようとするのに
???
りょ、両親は!?こんな時間まで遊んでたらご両親も心配するんじゃ……
NO NAME
……私、親居ない
???
あ、ごめん……
???
じゃ、じゃあお名前は?
NO NAME
ない
???
……ごめんね……
???
あのさ……1人で居るから心配なんだけど……
NO NAME
心配には及びませんよ、では
そろそろお金を取りに行かないと

今日のご飯が食べられない


所詮今日1日だけだろうと、そう思って……
いた私がバカでした
???
こんにちは、今日もここに居るんだね
NO NAME
そっちもね



それから、彼とよく公園で遊ぶようになった

正直彼は変わっていた
急に話しかけて飴を渡し、死体を見せても私を庇い、挙句の果てに砂遊びを始める始末
私が言うのもなんだが、奇人だとしか思えない
たけど、彼と遊ぶ公園は楽しかった

あの日見たあの子供達のようにはしゃいだりは流石に出来なかったけど、それでもあの子達よりずっと楽しい……そんな気がした



そうか、誰かといるから楽しい
誰かと一緒だと、なんてことないただの砂のある敷地でもこんなに"シアワセ"なんだ














???
……今更だけど名前ないと呼びづらいな……
NO NAME
……あれ、というか私もお兄さんの名前知らないんだけど
???
え?あ……ごめん忘れてた
茶野 青夜
茶野 青夜
俺は茶野青夜、まあ青夜とでも呼んでよ
NO NAME
青夜さんですね
茶野 青夜
茶野 青夜
うーん……君はなんて呼べば良い?
NO NAME
好きなように呼んでください、なんなら青夜さんが名前つけてくれても良いんですよ?
茶野 青夜
茶野 青夜
え?本気?
NO NAME
本気です
茶野 青夜
茶野 青夜
……じゃあ……



茶野 青夜
茶野 青夜
"クロセユウキ"……とかどう?
NO NAME
くろせ……ゆうき……
茶野 青夜
茶野 青夜
あ、漢字は……えっと……これ、あ、漢字読める?
NO NAME
一応、へぇ……
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
黒瀬悠生……まあ、良いんじゃないですか?




私の名前、黒瀬悠生……
















黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
ふふっ……

























それからはよく公園で遊んで、他愛もない話をして過ごした
たまに勉強手伝ってあげたりもしたっけ


その頃には私は人を殺すことをしなくなっていたし
"死"を考えることもいつの間にか忘れていた




そんなことより、彼と一緒に居たかった








だから私は、こんな日々が続くと信じて疑わなかった













茶野 青夜
茶野 青夜
明日期末テストなんだよね……
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
青夜さんは頭良いんですか?
茶野 青夜
茶野 青夜
そりゃ勿論……うん……
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
頭悪いんですね
茶野 青夜
茶野 青夜
チクチク言葉が突き刺さる
茶野 青夜
茶野 青夜
まあテストだから早く帰れるし!沢山遊べるってこと!
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
そうなの?
茶野 青夜
茶野 青夜
そうそう!
茶野 青夜
茶野 青夜
だから今日は早めに帰らないといけないんだよね
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
そっか
茶野 青夜
茶野 青夜
うん、ごめんね
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
大丈夫、じゃあもう帰ったほうが良いんじゃない?
茶野 青夜
茶野 青夜
え?いいの?
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
うん、明日早く来てくれるなら
茶野 青夜
茶野 青夜
分かった、任せろ!
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
『約束』ですよ!それじゃあまた!
茶野 青夜
茶野 青夜
『約束』な!了解!また明日!











当然のように約束は守られると
そう信じ込んでいた




















黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
……__れ♪廻れ♪やれ風車♪
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
また〜、同じ場所に還って〜♪







黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
……遅いなぁ……早く来るって言ったのに




まあ、多少用事があったりするのだろう

でも大丈夫、きっと彼は来てくれる




今日は私が先に砂場で作品を作って驚かせてやろう
何を作ろうかな……

まだ一般的な知識の量が足りないからこういう時に困る……


……あ、あれを作ろう!
前に青夜さんが言ってたやつ
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
これが7、で……これが8ですよね?
茶野 青夜
茶野 青夜
そうそう、やっぱり飲み込み早いな
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
まあこの程度なら普通でしょう……
茶野 青夜
茶野 青夜
悠生はどの数字が好き?
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
数字に好きとか嫌いとかあるんですか?
茶野 青夜
茶野 青夜
まあそこはフィーリングだよ、なんとなく
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
青夜さんはどの数字が好きなんですか?
茶野 青夜
茶野 青夜
うーん……まあ強いて言うなら8かな、ほら!青夜の8
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
語呂合わせじゃないですか……それを言うなら茶野の3もありますし
茶野 青夜
茶野 青夜
うーん……名字そんなに好きじゃないからさ
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
へぇ
茶野 青夜
茶野 青夜
それに8は悠生の名前にもあるから
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
……?く、ろ、せ……ゆうき……9とか6とかなら分かりますけど、8って無くないですか?
茶野 青夜
茶野 青夜
ふふ、良いこと教えてあげよう……8をこう……横に倒して書くと……無限って言う記号になるんだ
茶野 青夜
茶野 青夜
悠生の"悠"、はるかってのと似たような意味なんだよ
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
へぇ……



∞って砂で作るの意外と難しい……
カーブが上手くいきませんね……






……こう……で……
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
よし、完成!我ながら天才すぎる……





黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
……っていうかいくらなんでも遅いなぁ……
おーい、そこの嬢ちゃん
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
はい、なんです……
ドガッ!
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
……!?がっ……!
ドシャ……




唐突に背中を蹴り飛ばされ、あまりの勢いにその場に倒れ込む

すっかり油断していた……
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
い゙っ……!な、何……を……?
ははは!よくこの公園で遊んでるよなぁ!ずっと見てたんだぜ?俺達はよぉ……
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
……え?
顔も良いし高く売れるぜ……!今日はついてるな!
まあその前にストレス発散していくか
顔はやめとけよ、商品になるんだから
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
………ぁ……



初めて、特別な脳を憎いと思った

嫌でも脳が予測を組み立てて答えを導き出す





あの人が裏切ったという、最悪の可能性を







ドガッ!バキッ!
黒瀬 悠生
黒瀬 悠生
ぁ゙っ……!うぐっ……!
あははっ!うずくまってやんの!
ドゴッ!ドゴッ!

ズブッ……
NO NAME
……


あぁ、そっか……










裏切ったんじゃない


















最初から……















全部、嘘だったのか










 







NO NAME
………
おいこいつ全然反応ねぇし……
つまんねぇ……そろそろ連れてくか
NO NAME
……あはっ
うん?なんでこいつ笑って……








血塗れの手で"ヒト"の持つナイフを奪い取り

素早く首を掻き切った
が……は……?
ドシャ
お、おいなんだこいつ……!?
に、逃げ……!
ブシャッ
ズシャッ











どさり、と重たい物が墜ちる音がした


もう、目には何も写ってなかった











NO NAME
あはっ……!あははははははははっ………!






少女は笑った


血塗れの顔で、それはそれは愉しそうに




何かが崩れ去っていくように















しかし、その顔は"シアワセ"そうだった












































ひとしきり笑い終えたあと、少女は既に息絶えたそれから黒い銃を抜き取り、その場を去っていく
 




NO NAME
……さよなら、無限……いや、夢幻の時間



ズシャ



無限を象徴する砂の塊は崩れ落ち


そこに残るのは静けさを取り戻した夜の公園




















空には、星の1つも見えなかった


























問15(2)∶幽玄

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