注∶グロ表現、胸糞表現あり
物心ついた時には、1人だった
それに気がついたのは3歳くらいの頃
私は所謂、ギフテッドというものらしい
特別な脳を持ち、特別な運動神経を持ち
4歳になる頃にはこの世の大方の仕組みは理解した
そして、私は捨てられていたのだということも、入れられていた段ボール箱の『xxxx年生まれ ご自由に拾ってください』という文字を見てすぐに理解した
それからは簡単
裏に生きる汚れた人間を殺してお金を手に入れ
路地裏の隅っこで日々を過ごす
苦ではなかったと思う
私にはこのとびきりの才能がある
"ヒトゴロシ"という才能が
グシャ
間違ったことはしていないのに
私は正しいはずなのに
心の中に燻る虚無感を押し殺して
……まあ仕方ないよね
理解を求めるつもりもないよ
私は1人で生きていける
そして、最高の死を…………
この頃からもう、死に焦がれていたのかもしれない
毎日"死"を想い、"死"を信じて生きる
私の死に場所は、死に方はこんな汚いとこじゃなくて
もっとあるはず、最高の死が、その方法が、条件が___
そんな生活をして、はや2年
あの紙を真とするなら私は6歳かな?
体力も尽きるし、悪い人以外殺さないようにしてるから毎日ご飯を食べられるわけじゃないし、腐ったパンしか食べれなかったりもしたけど……まあ人間なんとかなるもんで
特にやることもなく暇を潰して
ただひたすら"死"を想って
そんな日の中、ふと見えた光景に目を奪われた
"ウラロジ"にばっかりいたから初めて見たなぁ
子供がいっぱい居るし、遊ぶための場所かな?
砂を固めて何か作ってる……
形歪だし、歪んでるし、もうちょっと上手く出来ないものか
鎖で吊るされた板の上に乗って揺れてる……振り子の原理みたいなものかな?特段凄い機能が搭載されてる訳でもないじゃない
てこの要領で板の両端に乗る子供達も、何がそんなに楽しいのやら
理解、出来ない……
……出来ない…………けど………
夕方の6時頃、子供達は"イエ"に帰って誰もいなくなった
私は恐る恐る公園に入る
ギーコー、ギーコー……
楽しい……はずなのに……
なんで楽しくないんだろう?
やり方は合ってるはずだし
あの子たちより上手く出来てるはずなのに?
出た
1人だとこうして話しかけてくる人が多い
面倒くさいなぁ……
悪い人ではないのだろう
だけど結構しつこい
普通黙ってたらみんな逃げていくか強引に誘拐しようとするのに
そろそろお金を取りに行かないと
今日のご飯が食べられない
所詮今日1日だけだろうと、そう思って……
いた私がバカでした
それから、彼とよく公園で遊ぶようになった
正直彼は変わっていた
急に話しかけて飴を渡し、死体を見せても私を庇い、挙句の果てに砂遊びを始める始末
私が言うのもなんだが、奇人だとしか思えない
たけど、彼と遊ぶ公園は楽しかった
あの日見たあの子供達のようにはしゃいだりは流石に出来なかったけど、それでもあの子達よりずっと楽しい……そんな気がした
そうか、誰かといるから楽しい
誰かと一緒だと、なんてことないただの砂のある敷地でもこんなに"シアワセ"なんだ
私の名前、黒瀬悠生……
それからはよく公園で遊んで、他愛もない話をして過ごした
たまに勉強手伝ってあげたりもしたっけ
その頃には私は人を殺すことをしなくなっていたし
"死"を考えることもいつの間にか忘れていた
そんなことより、彼と一緒に居たかった
だから私は、こんな日々が続くと信じて疑わなかった
当然のように約束は守られると
そう信じ込んでいた
まあ、多少用事があったりするのだろう
でも大丈夫、きっと彼は来てくれる
今日は私が先に砂場で作品を作って驚かせてやろう
何を作ろうかな……
まだ一般的な知識の量が足りないからこういう時に困る……
……あ、あれを作ろう!
前に青夜さんが言ってたやつ
∞って砂で作るの意外と難しい……
カーブが上手くいきませんね……
……こう……で……
ドガッ!
ドシャ……
唐突に背中を蹴り飛ばされ、あまりの勢いにその場に倒れ込む
すっかり油断していた……
初めて、特別な脳を憎いと思った
嫌でも脳が予測を組み立てて答えを導き出す
あの人が裏切ったという、最悪の可能性を
ドガッ!バキッ!
ドゴッ!ドゴッ!
ズブッ……
あぁ、そっか……

裏切ったんじゃない

最初から……

全部、嘘だったのか

血塗れの手で"ヒト"の持つナイフを奪い取り
素早く首を掻き切った
ドシャ
ブシャッ
ズシャッ
どさり、と重たい物が墜ちる音がした
もう、目には何も写ってなかった
少女は笑った
血塗れの顔で、それはそれは愉しそうに
何かが崩れ去っていくように
しかし、その顔は"シアワセ"そうだった

ひとしきり笑い終えたあと、少女は既に息絶えたそれから黒い銃を抜き取り、その場を去っていく
ズシャ
無限を象徴する砂の塊は崩れ落ち
そこに残るのは静けさを取り戻した夜の公園
空には、星の1つも見えなかった
問15(2)∶幽玄








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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!