Lapis side
夏の海は、少し眩しすぎる。
青い空。白い雲。波の音。
全部がきらきらしていて俺は思わず目を細めた。
明雷らいと Lapisー!
遠くから聞こえた声に振り向く。
砂浜を走ってくるのは、らいとだった。
Lapis 遅くね?
明雷らいと ごめんごめん!笑
そう言いながら笑う。
全然悪いと思ってない顔だ。
Lapis 暑っ……
明雷らいと そりゃ夏だからな、
Lapis らいと冷たーい。
明雷らいと お前が暑苦しいんだよ。
そんなやり取りをしながら歩く。
どうでもいい会話。
意味のない会話。
でも不思議と楽しい。
らいとは昔からそうだった。
隣にいるだけで空気が明るくなる。
気づけば笑ってる。
気づけば目で追ってる。
……いや。
それは昔からじゃないかもしれない。
いつからだろう。
らいとの笑顔を見るたび。
胸が少しだけ苦しくなるようになったのは。
明雷らいと なあLapis、
Lapis ん?
らいとがレモンティーを差し出してくる。
コンビニで買ったやつだ。
明雷らいと 半分飲む?
Lapis なんでだよ笑
明雷らいと だって多いもん笑
Lapis 知らねぇよ笑
笑いながら受け取る。
間接キスとか。
そういうことを気にしてるのはたぶんきっと俺だけだ。
なぜなららいとは何も考えてない。
昔から距離が近いから。
きっと特別な意味なんてない。
それが少しだけ寂しかった。
海風が吹く。
潮の匂いがする。
明雷らいと 綺麗だなー。
らいとが海を見ながら言った。
Lapis ……そうだな。
本当は。
海なんかじゃなくて。
夕日に照らされた横顔を見ていた。
明雷らいと 夏終わんの嫌だなぁ。
ぽつりとらいとが言う。
Lapis なんで?
明雷らいと だって楽しいじゃん。
そう言って笑う。
Lapis 来年も来ればいいだろ笑
明雷らいと 来年も一緒に来てくれる?
その言葉に心臓が跳ねた。
Lapis ……予定空いてたらな。
必死に平静を装う。
明雷らいと やった!
らいとは嬉しそうに笑った。
その笑顔を見ると少しだけ欲張りになってしまう。
来年も。
その次の年も。
ずっと隣にいたい。
友達としてじゃなくて。
もっと特別な存在として。
でも。
今はまだ言えない。
夕日が海に溶けていく。
オレンジ色の光が波の上で揺れていた。
明雷らいと Lapis。
Lapis ん?
明雷らいと ……今日は来てくれてありがと。
らいとが少し照れながら言う。
明雷らいと 楽しかった。
胸がぎゅっとなる。
Lapis ……俺も、!
それだけ答える。
今はまだ。
このままでいい。
海の音を聞きながら。
レモンティーの甘酸っぱい味を感じながら。
いつかこの想いが届く日を少しだけ願っていた。
夏の終わりの風が。
優しく俺たちの間を通り抜けていった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!