家に帰って、先にお風呂に入る
その時に、同時に義眼を洗う
義眼を取り出すのはまだ抵抗感がある
上瞼と下瞼をぐっと押すと出てくる、普通は出てこないであろう義眼は、
少し湿っていて、進んで触ろうとはとても思えない
それを取り出して洗う
その時の目玉があった場所と、
自分で自分の目玉を洗うという、普通に生きていれば殆どの人が遭遇しない行動の、
違和感は凄い
鏡を見ると右目があった筈の場所にはぽっかりとした穴が空いている
「ひっ・・・」
一瞬で目線を下に下ろす
私の顔面にあるぽっかりとした黒く、丸い穴は私の存在ごと吸い込んでしまいそうで
急いで義眼を右目につけた
良かった、これでもう大丈夫
母「あなたー?お風呂1時間も入ってるけど・・・大丈夫?」
「うん、大丈夫」
大丈夫、そう大丈夫
右目はちゃんとここにあるから、
ちゃんと付いてる
皆と同じ、目が付いてる
付いてるから_____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!