《AnotherStory》闇夜の太陽:10/10話
10話【それぞれのはじまり】5/5P
50/50P┃2300字┃再投稿用変加筆済
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コラさんの船で三人の航海も、久しぶりに三人だけで過ごす毎日にも少し慣れてきた。
(ってことは………もう間もなく次の目的地の[ゾウ]に着くのかもしれないな)
「クゥ─────」
甲板でひとりで日向ぼっこしている時に見つけたニュースクーから新聞を買う。
(まだコレだけで嬉しい私がいるんだよね)
『いやはや、困ったものだ』と自分を苦く笑いながら少し分厚くなっているそれを段差に座って広げてみる。
新しい手配書でローくんやルフィの懸賞金が5億に上がっていて………エースさんの生存も義兄弟の件も世界に報道されていた。
また[海軍]が彼を狙って来るかしれない。
今の[元帥]があの【赤犬サカヅキ】なら狙う可能性が高いだろう。大将の時より身軽に行動できないとしても、そのつもりでいないと──と気を引きしめる。
(でも!私が危惧しなくても、エースさんの身を案じる人達は頼もしい人ばっかりだから大丈夫。今度はサボさんやコラさんが黙ってないだろうから、ドラコンさんも動けるし[革命軍]も他人事ではないはず!)
そもそもこの間の[頂上決戦]の時だって、チートな能力になった黒ひげがなにも分からないエースさんを『飛んで火に入る夏の虫』状態で捕まえた。
つまりあのくらいに強者じゃなければ捕らえるのも難しいと証明されたようなもの。
(みんなも二年前………というか以前より遥かにレベルアップしてるし、もしまた捕まるようなことがあってもルフィ達は何度でも助けに行くだろう。それに今度は[麦わら一味全員]と傘下と[革命軍]が相手だからね)
「だから………大丈夫………」と不安におそわれる胸中を頭をふって追い払う。
(めちゃめちゃ人頼りになってしまうけど………それも信じないと、頼らないとダメだ。………だって『水くさい』とか『人を信じてない』になっちゃうから……)
そんな侮辱はしたくない。
(ちゃんと『できないコトはできない』って認めないと……)
なんとも言えない気持ちで海をながめていたら外に来たローくんに声をかけられる。
「……あなたのナマエ、新聞か?」
「あ………うん、新しい手配書も付いてた。今回の参加者達はみんなで賞金の額すごい上がってたよ。海賊さんにはコレ『おめでとう』なんだっけ」
「おれは額なんてどうでもいい。でも上がるだろうな。あの【天夜叉】を討ち取ったんだ」
「はい」と見終わった手配書の束と新聞を渡すと少し分厚いそれらに、ローくんはざっと目を通す。
(このタイミングで明示するバルトロメオさんの[麦わら一味]の手配書とサインを額に入れて飾ってるヤツ。彼の行動をマネて、実は私も[トリップ]後からこっそりごっそりやってるの!私が捨てられるワケがない!)
「ふふ、そんなコト言ってもカイドウも倒したら四皇レベルの額になっちゃうんじゃない?」
「それも【麦わら屋】がな。おれは最大の悲願が達成されたから………あとはカイドウ達をぶっ潰すだけだ」
「ほーんと【最悪の世代】とは言ったもんだよね。みんな懸賞金上がるの早い早い!」
「【麦わら屋】がな。あいつは本っ当に【最悪】だ」
へんな顔をするローくんに言ってみる。
「ローやキッドさん達も充分だと思うけど。キッドさんやキラーさん、他の人達にもいつか会いたいの。ローやルフィの近くにいたら垣間見れるかな~~!!」
(もちろん[シャボンティ諸島]で[3船長]の初絡みの時もしっかりヨダレものとして拝んだからね!!)
少しふしぎで怪訝けげんな顔をしたローくん。
「……物好きだな」
「え?どこが?」
「お前は奇特だ。名を上げたい同業者や海軍、海賊狩り以外に好き好んで【最悪さいあくの世代】とか他の奴にもに会いたがるなんて奇特以外の何者でもねェだろ」
「だって[知識ありのトリップ者]としては知ってる人には男女や所属問わずに会いたいもんなの。………それに私って、結構?かなり?すご───くミーハーなんだもん。皆みんな超絶カッコよくてステキだし!!」
いじけるように言えば予想通りに呆れられてしまう。
(べつにイイじゃーん。【ONE PIECE】って世界一のマンガだし。おたく魂ナメんなよ!!)
「はいはい。拐われてヒドイ目に遭ったり、売っぱらわれねェように気をつけろ」
「了解!でもそしたら助けに来てよね【死の外科医】さん!!……私の下僕なんでしょう?」
「………バラすぞ」
「あははっ!ソレ、まだ体験したことないヤツだからバラされたいかも!今度やってみてよ!楽しみっ!!」
(あれだよね。口癖みたいに言っていた『殺すぞ』が『バラすぞ』になっているんだよね?殺人が好きじゃないローくんにはそういう意味でも《オペオペ》ってピッタリ)
「……物好きめ」
そうつぶやいて、瞳をキラリと光らせた。
(は───べつにウソなワケではないけど、こんなこと言うなんて………。私、ローくんにずいぶん甘えてるなぁ)
複雑な気持ちで顔を上げると、次の瞬間に見張り台に登っていたコラさんの大きな声がする。
「お─────い!聞いてたデケェ象が。多分見えてきたぞ───!あれが[ゾウ]か!?」
その声に私とローくんが甲板のハシから進行方向をながめると、霧の中にうっすらと大きな物が見えた。
『確か………』と、思い出すと背筋が寒くなる。
(この『象主』はふつうに見えるけど、実は足長象なんだよね……)
ゾクリとしてなんだか怖いので、思考を紛らわすためにプルプルと頭をふった。
これからはいよいよ新たな物語が始まる。
もう大抵が[原作通り]にはいかないだろう。
(私も意識を新たにしないとダメだよね)
ちゃんと大切な物を守れるように。
ちゃんとみんなに未来があるように。
姿が徐々に形を為してくる、とても偉大ですごく巨大な象を見ながら、覚悟を心機一転にした。
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変加筆〔2024,04,25〕
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。