Nico side
世界一優しいキスをしたあと、
このまま撮影に戻るなんて無理だって思った。
……とにかく離したくない。
今だけじゃなくて、ずっと。
りほが腕の中で小さく呼吸してるのを感じながら、
そのあたたかさを逃したくなくてそっと問いかける。
「……りほ、今日泊まってく?」
一瞬息を飲んで、りほが顔を押しつけてくる。
「…ん、泊まる、」
返事が想像よりもずっと早くて甘くて、
ほんの少し震えてて、可愛すぎて。
言い方があまりにも恋人だった。
腕の中で甘えてくるりほの体温が『離さないで』って無言で言ってくるみたいで、離すわけないじゃんって心の底から思った。
あれから少し時間が過ぎて、
まだまだりほは私の腕の中で甘えっぱなし。
「ねぇ、りほ?」
「んー、なに、」
「お風呂どうする?」
問いかけると、りほがゆっくり顔を上げて目だけでこっちを見つめてくる。
肩に置いていた手をぎゅっと掴まれた。
「…一緒にはいる」
そう言った瞬間のりほの頬がほんのり赤くなってて、
その覚悟みたいな甘さが可愛すぎて胸がぎゅってなる。
「じゃあ、準備する?」
「……ん。でもまだ離れたくない」
りほが私の服をつまむ。
まるで猫みたいに“ちょっとだけ待って”って訴えてくる。
「じゃあ、このまんま連れてく?笑」
「それは恥ずい、笑」
そう言いながら手はずっと離さない。
立ち上がるとりほがそのまま指を絡めてくる。
お風呂場に向かうまでの短い距離でさえ息が詰まりそうに甘い。
浴室の前で、りほが小さく見上げてくる。
「……にこ、手、離さないでね」
「離さないよ」
それだけでりほの肩がふっと緩む。
世界一愛おしい私の彼女。
「……ね、見すぎじゃない、?笑」
「え、あごめん、笑」
「…そんなに惚れてんの?笑」
冗談みたいに言うのに目だけはどこか不安そうで。
だから私は迷わず言った。
「ん、惚れてるよ
……りほが思ってるよりずっと。」
言った瞬間りほがまるで“その言葉信じていいの?”って確かめるみたいに指先をきゅっと絡ませてくる。
その仕草が愛しくて、可愛くて、
つい抱き寄せてしまった。
「りほ、信じていいよ」
「…ん、ありがと、」
その声がまだ少しだけ震えてて、
私はまたそっとりほを抱き寄せた。
この子を不安にさせる世界ごと抱くつもりで。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。