数日が過ぎた。
直哉は、自分でも理解できない胸のざわつきに苛立ち、
あなたの下の名前に少し距離を置くようになっていた。
歩調も、声のトーンも、視線の送り方も、わずかにぎこちない。
普段なら無意識に触れたり、からかったりするのに、今は手も伸ばさない。
あなたの下の名前はその変化に気づき、胸がざわつく。
(直哉さん……どうして……?)
廊下で直哉が少し距離を取ったまま通り過ぎようとしたとき、あなたの下の名前は咄嗟に手を伸ばし、彼の手を握った。
あなたの名字「まってください、直哉さん……!
わたし、何かしましたか……っ?
こんなことも分からない、ばかでごめんなさい……!」
普段なら、無許可で触られるなんて耐えられない直哉。
手を握られたら当然ブチギレていたはずだ。
でも、今の直哉は……怒れなかった。
理由も説明できないまま、ただあなたの下の名前の小さな手の温もりを感じる。
(……なんで、怒れへんねん。俺、何してんや……)
あなたの下の名前の目は心配と不安で大きく見開かれている。
その純粋さに、直哉はさらに胸の奥がざわつく。
直哉「……別に、お前が何かしたわけちゃう」
低く呟きながらも、直哉はその言葉が自分の心を納得させるには足りないことを知っていた。
近づいたら、
自覚してはいけない、
気づいてはいけない、
だから逃げたい。
でもあなたの下の名前は、逃げたら悲しむ。
その顔を思い浮かべただけで、胸が痛い。
直哉「けど、今は…」
直哉の声は平静を装っていたが、心の奥はぐちゃぐちゃだ。
あなたの下の名前に触れたい。近づきたい。
でもそれをすれば、自分の、絶対認めたくない気持ちを自覚してしまう。
あなたの名字「……直哉さん……」
あなたの下の名前は小さく呟く。
あなたの名字「ごめんなさい……わたし、何かしたなら……
直哉さんが遠ざけたくなること、してしまったんですか……?」
直哉は一瞬言葉に詰まる。
理由も、説明もない。
でも手を握ったままのあなたの下の名前を見つめると、怒る気は起きなかった。
怒れなかった。
(……俺、ほんまに……なんやねん。怒れんとか……)
心の奥で、理性が叫ぶ。
“逃げろ、この感情に近づくな”
でも、理性とは逆に、身体はあなたの下の名前の手の温もりを求めてしまう。
直哉「……しゃあないな。」
直哉は、少しだけ手を握り返す。
それだけで精一杯だった。
——距離は置きたい。
でも離れたくない。
自分でもわからないこの気持ちに、直哉はただ俯くしかなかった。
スポットライト40↑…!₍ᐡඉ́ ̫ ඉ̀ᐡ₎💗
ほまにありがとうございます
いま勉強忙しくて、更新頻度おちるかもです











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。