その提案がアモンからなされたのは、フォレスタル附属との試合に向けての準備も一段落した頃の事だった。
アモンは22枚のチケットを扇子のようにひらひら扇ぎながら言った。
ベレンに聞かれて、朱音は少し考えた。正直、遊園地がどのように楽しい場所なのかいまいち想像がつかない。
瑠愛達は度々行っていたが、朱音は連れていってもらえたことなど無いに等しく、あっても荷物持ちでアトラクションを楽しむことなど許されなかった。下調べと弁当の用意だけさせられて置いていかれ、帰ってきた3人にやれ飯が不味かっただの思っていたアトラクションと違っただのと因縁をつけられ、頭から一口も食べられていない弁当をぶちまけられて片付けを命じられるまでがワンセットだ。
だが、話し合いの時点でキラキラと目を輝かせるチームメイト達を見ていると、朱音も自然と遊園地に希望を見出だせてきた。
さくらの声で、遊園地のパンフレットを手にとって覗き混む。
種類が豊富なアトラクション、写真だけでお腹が空いてきそうな料理、魅力的な景色の紹介。
確かにルカスの言う通り、選択肢が多すぎて選べないほど楽しそうだ。
頭を悩ませるルカスに、朱音はさっきから考えていたことを提案した。
厳正なる投票の結果、順番は、
コーヒーカップ→メリーゴーランド→ジェットコースター→お化け屋敷→バイキング→謎解き迷路→鏡の館→アクアリウム
となった。バイキングと謎解き迷路の間に昼休憩を挟み、夜の噴水のライトアップを見てから帰寮の手はずとなる。
その日はそれで解散となり、朱音は実優と一緒に部屋へ戻った。
小一時間は着せ替え人形にされたが、朱音にとっては友達と服を選ぶという体験が新鮮だった。
気づけば小さく笑みがこぼれていた。



































編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!