第46話

四十五話「幸福な結論を」
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2026/08/24 14:01 更新
虹音(こと)
「…!!」
虹音(こと)
「きづい、て…?」
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
気が付いてたよ、ずっと…私には、虹音が見える
虹音(こと)
「…その能力、そんなことまで…」
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…虹音は、どうしてそこに居るの?
虹音(こと)
「…」
 
星薇には、虹音の返答は分からない。だから、ただ見守ることしか出来なかった。虹音は、夢来の問いかけにどう返答をしようか少し悩んだように黙り込む。
 
虹音(こと)
「…るあを、たすけるの…」
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…瑠雨を?
虹音(こと)
「…うん…」
虹音(こと)
「…るあをたすけられるのは、ことだけ、だから…るあに、笑ってほしい、から…」
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
…ことちゃんっ…もう、やめて…はなさないで…っ!!
虹音(こと)
「…ごめんなさい…るあがこう言ってるから…かえって、ください…」
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
嫌だ
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…!
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…嫌だ、帰らないよ…絶対に
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
二人が私を本気で拒むまでは、帰らない
 
夢来のその覚悟の決まった発言に、勢いに、星薇は驚いた。その夢来の様子にもう迷いは無かった。
 
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…ごめんね、瑠雨…瑠雨はきっと、私を本気で拒んでるんだけど
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…それでも、君は違うから…虹音
虹音(こと)
「…!」
虹音(こと)
「ち、ちがくない…っ、かえって…!!」
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……
 
夢来の能力を、"他人の内側を見る能力"とするなら、虹音自体がそもそも"内側"の存在である。故に、内側の内側…虹音の思考まで夢来が見るのは難しかった。
しかし、少し集中してみると、強い想いくらいは読み取れるようになったのだ…故に、夢来にも虹音の望みは分かる。
 
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
やめてよっ…!かえって、いやだっ…!!
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
ひどいこと、ひどいことするんだっ!!そもそもおとな、おとななんていなければっ、おかあさんも、おとうさんも…!!
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…瑠雨
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……少し話すか悩んだんだけどね、私も…少しみんなに嫌われてたの
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
…え?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
心を読める私が、珍しくて、恐ろしかったから。だから、私に酷い事をした大人だっていたよ
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
…やっぱり、おとなは…
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
でもね、瑠雨
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…お父さんとお母さんも、大人なんだよ
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
……
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
君は、大人は全員悪いって思ってるかもしれないけど…瑠雨は、お父さんとお母さんに、優しくしてもらわなかった?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
瑠雨は…"悪い大人"だけを"大人"って呼んでるんじゃないの…?
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
…ちがう
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
ぼくは…ぼくはっ…
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
…ちがう、おとなはみんなわるい、ひどいって、みれあむおねーちゃんいってたもん…!!
晴空(せいくう)瑠雨(るあ)
みれあむおねーちゃんも…ひどい、かもだけど…それでも、みれあむおねーちゃんのそばに、いなきゃ…いなきゃなの…っ
虹音(こと)
「…るあ?」
 
反応からして、虹音には瑠雨の真意が分かっていなかった。きっと虹音も、瑠雨の義務のような「ミレアムのそばにいなきゃ」という思いは分かっていなかったのだろう。それを今、初めて知ってしまった。

虹音も知らない瑠雨は、何を考えているのだろう、と思うだろう。実際に夢来もそうだった。夢来には、それを知ることが出来る。夢来が授かったのは、そういう力だから。
 
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…夢来?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…ごめん、ちょっと…考えてて
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…これで正しいの?本当に…このまま、瑠雨をミレアムから離すのが、"正解"なの…?)
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…夢来
月宮(つきみや)星薇(せいら)
悩むくらいなら頼って…私には、貴方の望む返答は出来ないかもしれないけれど
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…瑠雨をミレアムから離すのは、正しくないんじゃないかって
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…瑠雨はね、ミレアムと一緒にいないと…









































虹乃(にじの)夢来(ゆら)
瑠雨の中にいる…虹音を、失うの
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…それは、私達がミレアム達を倒せば終わり、という話でもなくて?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
別に、瑠雨がミレアムに脅されてる、とかそういうのじゃないみたいで…本当に、どうしようもない理由で…
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…でも、瑠雨にとって虹音は、大切な存在だから…だから…
月宮(つきみや)星薇(せいら)
……
月宮(つきみや)星薇(せいら)
その…虹音が何を望んでいるかは、分かるの?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…瑠雨に、ミレアムから離れて欲しいみたい…それは、自分が消えるとかは関係なくて、ただ瑠雨の為に…
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…そう
月宮(つきみや)星薇(せいら)
夢来だったら、それでもいいの?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…え?
月宮(つきみや)星薇(せいら)
夢来は、もしも自分が消えるからという理由で、大切な人が自分の願いを叶えてくれなかったら…大切な人自身の幸福を選んでくれなかったら、いいの?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…それは……
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…他人の気持ちを勝手に推測してものを語るべきではないわね
月宮(つきみや)星薇(せいら)
そうね、私には虹音の考えを理解することは不可能だもの
月宮(つきみや)星薇(せいら)
___ただ、夢来。貴方にならそれが出来る
…そうでしょう?
月宮(つきみや)星薇(せいら)
貴方は…特別だから
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……うん
 
そうして、瑠雨の奥に虹音を映し見て、更に集中する。虹音の心を、気持ちを、理解出来るのは…夢来だけだから。








































虹音(こと)
(るあ…大丈夫なの、ことが消えても、大丈夫)
虹音(こと)
(…消えても、くるしいのは、ほんのいっしゅんなの…だって、ことは…)








































虹音(こと)
(るあのきおくとかの…"この世界のぜんぶ"から消えるから)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…!!!
月宮(つきみや)星薇(せいら)
……
 
夢来の様子を見ているだけの星薇も、何か事態がそう簡単に片付くものでないというのは察していた。夢来の反応を見れば、簡単に分かった。
 
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…この世界の全部から、消える…?
月宮(つきみや)星薇(せいら)
……それは、"虹音が存在した"証すら、消える…ってこと?
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…多分。少なくとも、瑠雨の記憶からは…
月宮(つきみや)星薇(せいら)
……
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(確かにそれは…瑠雨が苦しむのは一瞬かもだけど…)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(それで…それで、本当にいいの?瑠雨は自分のたった一人の友達の記憶まで失って、虹音はたった一人の友達に忘れられて…本当に…それでいいの?)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…世界は、一問一答の解が存在しない場合の方が多いわ
月宮(つきみや)星薇(せいら)
今なんか、まさにそうね…この問題に解は存在しないわ、だから…
月宮(つきみや)星薇(せいら)
…貴方の、やりたいようにやりなさい
その結果を、誰がなんと言ったとしても…私は、受け入れるから
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
…星薇……
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…頼もしいな)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(……私は、もしお母さんとの思い出まで消えちゃったら、嫌だよ)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…そうだね、お母さんの存在を忘れられたら、苦しむことはないのかも)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…でも、違うよ。それはきっと、正しくなんて無いよ…)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(それは、お母さんが私の為に優しくしてくれた時間は、お母さんとの思い出は、何になっちゃうの?)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(思い出を無かったことにしてまで、苦しまないようにするの?…私だったら、嫌)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…そもそも、苦しむとかじゃないよ。私は今もずっと、お母さんに背中を押してもらうことがある)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(お母さんは、今でもずっと、いるよ…)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…じゃあ、瑠雨と虹音にとって、最も良い結論って…何?)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…いや、どっちを選んでも、きっと良くないんだよ)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(……どうすればいいのかな、お母さん。…お母さんは、今でもずっとそこにいると思ってるんだよ、私は)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(だから、やっぱり忘れるのなんて苦しいって、思っちゃうんだ)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(ねぇ、どうしたら…良い?私は…どうしたらいいの?)








































月宮(つきみや)星薇(せいら)
「___その穴を埋める為に私がいる」
 
月宮(つきみや)星薇(せいら)
「貴方がもし間違えてしまっても、もし瑠雨が何かを起こしてしまっても…私が何とかする、絶対に」







































虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……星薇…
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…かっこいいよ、星薇は…凄い)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(そんな星薇が、"相棒"って私を呼んでくれたんだ)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(私は、そんな凄い星薇の相棒に相応しくありたい)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(迷ってたら駄目…今迷ってる瑠雨を助けるには、私が迷ってたら駄目だ…!!)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…そうだよ、第三の選択肢を見つければいいの)







































虹乃(にじの)夢来(ゆら)
「(だから___お願い、誰か私に力を貸して…!!!)」
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
「(私は…目の前で頑張ってる大切な友達を助けたい…!!!!)」







































虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…あの時の、冬音を助ける為に力が使えた時の、あの感覚…あのもっと深くまで行くんだ、もっと…!!!)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(…私は、出会ったあの時から、泣いてる瑠雨の涙を一度も拭えてない)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(あの涙を拭って、虹音にとっても瑠雨にとっても幸せな結論を出すの。それが出来るのは、私だけ…)
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(私が、絶対に助けるの…!!!二人の気持ちが分かって、二人を繋げるのは…)







































虹乃(にじの)夢来(ゆら)
(___私しか、いない…!!!)







































___風が吹く。

花弁が、舞う。







































___眩しい。
 
虹乃(にじの)夢来(ゆら)
……えっ?
 
さらりと、風がまた頬を撫でる。
 
トルマリン・フルーリール
___ようこそ







































トルマリン・フルーリール
…待っていましたよ、虹乃夢来…!

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