第47話

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2026/04/15 12:25 更新
北信介
…帰ったんか
角名倫太郎
…戻りました
沈んだ声が、重たく響く。
北信介
…誰か亡くなったんか
角名倫太郎
沈黙を肯定と受け取り、北はそれ以上の追求をやめた。
北信介
無理はするもんやない
北信介
俺は会議があるで、しばらく帰ってこんで
北信介
ほかの部員も、しばらく練習するやろから、戻らん
北はそれだけ言うと、部屋を出ていった。
角名は残された筆箱を見つけて、ふ、と顔をゆるめた。
あの真面目な男が、会議に行くのに筆箱を持っていかないわけがないのに。
角名倫太郎
気を…使われた、もんだなぁ…
ずるずると座り込んだ角名は、1人になった部屋で声も出さずに泣いた。
ずっとともに戦ってきた戦友が、まさか、鬼のいない世界を見る前にいなくなってしまうとは、思わなかった。
及川徹
…おかえり、国見ちゃん
国見英
うつむいたまま部屋に入ってきた国見の表情を見なくともわかる、その悲壮感に満ちた空気。
ここまで感情をむき出す国見は珍しいと思いながら、及川は近づいて頬についた泥をぬぐってやる。
及川徹
おつかれさま、すぐに寝る?
国見英
…はい
及川徹
そう、俺たちは今から練習するからね、体育館にいるから。
国見英
わかりました
部員たちを連れて出ていった彼らを見届け、国見は羽織を脱ぎ捨て布団に潜り込んだ。
頭まで布団を引っ張り上げると、熱のこもり始める小さな国見だけの空間ができた。
国見英
…っ
何かに包まれた感覚は、忘れかけていた涙を呼び起こした。
次から次へと溢れる涙は止まることを知らない。
鼻先を伝って横へ落ちていく涙に、目を閉じて布団を握りしめた。
牛島若利
帰ったのか
白布賢二郎
はい、ただいま戻りました
牛島若利
そうか
こちらへ必要以上に干渉してこない彼の性格に、感謝をすると同時になんとなく寂しさを感じる。
干渉してくるな、それでも悲しさをわかってほしい。
矛盾した気持ちにムカムカと腹が立って、羽織を脱いで部屋の隅で刀の手入れを始める。
その様子を、心配そうに見ていたのは瀬見英太だろうか。
五色工
白布さん
瀬見英太
っ、!?バカ、工、今は…!
そんな白布に声をかけたのは、1年生の五色工だった。
空気が読めないのか、とでも言いたげに瀬見が声をかけるが、五色は続けた。
五色工
横になられたほうがいいですよ
白布賢二郎
五色工
…では、聞いているだけで構いません。俺の大きな独り言です
五色は白布の隣に腰を下ろして話し始めた。
普段は怖がっているくせに、こんなときはどうして近くにいてくれるのだろう。
五色工
バレーは6人いないとできません
五色工
ある人たちはちょうど6人でした
五色工
1人欠けてしまって、もうバレーをできやしない
五色工
欠けたから、何もできないと
五色工
その場にただうずくまるだけでした
五色工
欠けたその人が求めていたことを、その人と同じ夢を持っていたにもかかわらず
白布賢二郎
五色工
さて、人は涙無しに生きられません
五色工
人を失った今、その人が求めるものは何でしょうか
五色工
人によって答えは違います
白布賢二郎
…もとめる、もの、
五色が立ち上がる。
他の1年生も示し合わせたように共に部屋を出ていった。
残された2、三年の中で、同級生の川西が近寄る。
恵まれた体躯で白布を隠すように座ってみると、瀬見も白布を隠すように座った。
そうすれば、やがて鼻を啜る音が聞こえて、涙を拭う気配がした。
今の白布に必要なのは、人の気配と、それから孤独。
矛盾した気持ちを、叶えてやることが大切だったのだ。
他の二人は後日…

マジでサボっててすいませんでした

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