沈んだ声が、重たく響く。
沈黙を肯定と受け取り、北はそれ以上の追求をやめた。
北はそれだけ言うと、部屋を出ていった。
角名は残された筆箱を見つけて、ふ、と顔をゆるめた。
あの真面目な男が、会議に行くのに筆箱を持っていかないわけがないのに。
ずるずると座り込んだ角名は、1人になった部屋で声も出さずに泣いた。
ずっとともに戦ってきた戦友が、まさか、鬼のいない世界を見る前にいなくなってしまうとは、思わなかった。
うつむいたまま部屋に入ってきた国見の表情を見なくともわかる、その悲壮感に満ちた空気。
ここまで感情をむき出す国見は珍しいと思いながら、及川は近づいて頬についた泥をぬぐってやる。
部員たちを連れて出ていった彼らを見届け、国見は羽織を脱ぎ捨て布団に潜り込んだ。
頭まで布団を引っ張り上げると、熱のこもり始める小さな国見だけの空間ができた。
何かに包まれた感覚は、忘れかけていた涙を呼び起こした。
次から次へと溢れる涙は止まることを知らない。
鼻先を伝って横へ落ちていく涙に、目を閉じて布団を握りしめた。
こちらへ必要以上に干渉してこない彼の性格に、感謝をすると同時になんとなく寂しさを感じる。
干渉してくるな、それでも悲しさをわかってほしい。
矛盾した気持ちにムカムカと腹が立って、羽織を脱いで部屋の隅で刀の手入れを始める。
その様子を、心配そうに見ていたのは瀬見英太だろうか。
そんな白布に声をかけたのは、1年生の五色工だった。
空気が読めないのか、とでも言いたげに瀬見が声をかけるが、五色は続けた。
五色は白布の隣に腰を下ろして話し始めた。
普段は怖がっているくせに、こんなときはどうして近くにいてくれるのだろう。
五色が立ち上がる。
他の1年生も示し合わせたように共に部屋を出ていった。
残された2、三年の中で、同級生の川西が近寄る。
恵まれた体躯で白布を隠すように座ってみると、瀬見も白布を隠すように座った。
そうすれば、やがて鼻を啜る音が聞こえて、涙を拭う気配がした。
今の白布に必要なのは、人の気配と、それから孤独。
矛盾した気持ちを、叶えてやることが大切だったのだ。
他の二人は後日…
マジでサボっててすいませんでした












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。