第53話

novel40
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2025/03/31 09:00 更新
依頼は極、簡単な仕掛けだった。
熊本秋子彼女が消えたのは彼女の異能力によるもので、
彼女は廃墟の探索の不安感や恐怖から発動したのだ。
国木田独歩
矢張り念には念を入れるべきだったな
国木田独歩
偶然とは言えど、太宰お前に彼女が触れたことで
異能が無効化され、発見できたからな
太宰治
…そうだね~
太宰の反応にはハリがなかった。
依頼が面倒だったのだろうか?
江戸川乱歩
…太宰、
太宰治
はい、乱歩さん
太宰は乱歩の声掛けに応じ、
ちょいちょいと手を動かす乱歩に自身の耳を近づけた。
江戸川乱歩
あなたの下の名前が行方不詳になって半年経って
気掛かりなのは判るけど、表には出すな
太宰治
江戸川乱歩
お前にハリが無いと
社員が不安がるだろ
乱歩はそれだけいうと優雅に棒付きキャンデーを口に入れた。
太宰治
済みません
太宰は口角を上げた。
あなたの名字side
半年前___
あなた
『好きなコトをしたら良い。
いつかは皆、手放すものだ』
声に出した其の言葉は、私の言葉では無い。
かと云って、誰が言っていたことかも定かではない。



いつかの記憶。
曖昧でよく覚えていないけど、何かの本で読んだんだっけ?

確かに、そうかも知れないなぁ。

…私以外は。
あなた
ふふっ
意味もなく笑った私の目は少し痛みを帯びていた。
森鴎外
『君の本当の異能力は…』
森鴎外
輪廻転生ではなく、不死身だよ
あなた
ふ、じみ…?
森鴎外
そうだよ。記憶が複数あるのは、
多重人格によるものだと私は考えている
嘘でしょ…?
あなた
じゃあ、私は死ねないということですか?
森鴎外
不可能では無いはずだよ。
其れこそ、太宰くんの異能を使えばね
太宰の"異能無効化人間失格"を…?
森鴎外
君の異能、"一体分身"は其処まで貴重な異能ではない
森鴎外
其れも、探せばいるだろうね。
なら何故、君が上層部に幽閉されていたか
あなた
不死身だったから…?
其れも複合異能力者で…
森鴎外
そうだね
尚更、何故森さんは私を生かしたんだろう。
使役もできぬ怪物を活かす必要も無いのに。
森鴎外
私が君を生かしたのはね
あなた
!
森鴎外
君が私の教え子だったからだよ
あなた
其れだけ…?
森鴎外
其れだけとはなんだい?
私の大切な教え子を守りたいと思うのは
可笑しいとかな?
あなた
っ! いいえ…!
涙が溢れてしまう。
…ずっと、森さんに距離を置かれているものと考えていた。
幹部の仕事を貰っても、其れは表面状のやり取りにすぎないと。
でも
あなた
何だぁ…人付き合いってこんな簡単なんだ…
恐れていた壁の向こうも壊してみれば、可愛いものかも知れない。

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