✓ 紫曖蘭 side
朱宇磨はオレの1つ上のお兄ちゃんで
オレが中3の時、家を出ていった
出て行った後の行方はわからなくて
音信不通になってた
オレの生活はあの日から変わった
中3の夏に朱宇磨が出ていってから。
よく、朱宇磨はこう言ってた
オレのパパ 白崎大輝は 「 凛 」 の5代目総長で
総長は代々白崎家が担ってた
オレは女だから
6代目総長はもちろん朱宇磨の予定だったし
「 凛 」 のメンバー全員が
“ 白崎大輝を継ぐのは白崎朱宇磨 ” と思ってた
でも朱宇磨はそれを昔から嫌がってた
そう言って朱宇磨は
高校1年の夏に学校を辞めて出ていった
だからオレは高校入学とともに
「 凛 」 ができてから初めての女総長になった
倉庫にはよく遊びに行ってたから
「 凛 」 のメンバーに対しての不安はなかった
でも女だからって他の組になめられたら
オレが 「 凛 」 をつぶしてしまう。
ただそれだけがこわかった
だから “ 女だから ” で済まされないように
パパの後を継いで頑張ってきた
ケンカも強くなった
そこらへんの奴らには負けない自信がある
最近やっと 「 凛 」 の総長として
裏の世界の2トップとして認められるようになった
それなのに、のこのこと。
どんな顔で帰ってこれるって言うんだ?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!