第32話

新たな門出に口づけを
2,249
2022/09/22 07:32 更新
エース
エース
…ヘッキシ!!




チュン
   チュン



外はまだ薄暗く
鳥達が鳴き始めた頃エースは起きた。



大きなあくびをし、ぽりぽりと頬を搔きながら
周りを見渡している。


今日はエースのの出港日だ。





エースは、同じ寝室で寝ているルフィと
あなたを見ると、

こいつらと一緒に居るのも今日までか…と

少しだけ寂しくもなった。



2人とも寄り添うように近くで寝ている。


ルフィに関しては
エースの布団を握り締めながら
大の字で眠っていて


どおりで寒いわけだ。と
エースは苦笑いすると
その布団をルフィに掛け直してやる。



2人とも寂しいなんて言わないが、
心の中では思ってくれているのだろうか。




ルフィはともかく、
こんな自分と夫婦の盃を交わし、
いつでもそばに居てくれたあなたのことは
気がかりではあるのだが…。


やれる事はやってきた。
心配はないだろう。
あなた
…ん…。
そんなあなたの寝顔を見ながら思っていると
寝返りを打った時に
顔にかかった髪をどけてやる。

12年前に出会った時と
同じ寝顔がそこにはあった
エース
エース
ふっ…
《寝顔だけは変わんねェのな》
頬を優しく撫でると
その瞳がゆっくりと開かれた


朝日が当たって
ビー玉の様に透き通っているそれが
きらりと揺れた
あなた
…ん?

…エース?
エース
エース
ふっ…
いつもあなたの瞳を見ると思っていた事がある
エース
エース
あなたの目って、
海みたいで綺麗だな
あなた
ふふふっ
起きて一言目がそれって…
エース
エース
はははは!
ちょっとクサかったか?


でも、嘘じゃねェ。


あなたを拾って
初めて目を見た時からそう思ってた。



愛だとか、恋だとか
未だによく分からないけど…




今なら少しだけ分かる気がする。

きっと、あれがおれの初恋だった。



あなたの目を見たあの時から。


一目惚れってやつか。


まぁ、…今更恥ずかしくて言わねェけど。
ルフィ
ルフィ
んあーーーー?

エース、もう行くのかーーー?
あなた
あ、ルフィ起きた
エース
エース
んーそうだなー
あなた
ねぇ、エース、出港する前に
3人で秘密基地とサボの所行こうよ
エース
エース
あぁ!そうするか!
ルフィ
ルフィ
おう!ししし!

よーし!じゃあ秘密基地まで競争な!!
エース
エース
あ、こらまてルフィ!
ずりィぞ!
あなた
あっ!ちょっと

待って〜!
ダダンの手下
なんだ?
エースもう行くのか〜〜〜!!?
エース
エース
ちょっと寄るとこがあるんで
先にあなた達と行く!

岸で待っててくれ!
いつものように家を飛び出して行く2人の背中は
あの頃と何も変わらなくて…
ドグラ
ったく、最後まで忙しない奴だニ
ダダンの手下
本当、寂しくなるな…
ルフィ
ルフィ
おぉ!!
まだあるぞ!!秘密基地っ!
あなた
よかった!まだ残ってた!懐かしい…
エース
エース
あぁ!
みんなで立てた秘密基地だもんな
あなた
うん…。


そうだ!
多分大人3人も乗ったら崩れちゃうから、
私が近くまで行って見せてあげるよ!
そう言うとあなたは
竜に形態を変えて背中に2人を乗せる
エース
エース
お!頼む!
ルフィ
ルフィ
ひゃっほーい!!いいぞあなた!
飛べ〜〜!
あなた
しっかり捕まっててね!
と言うとあなたはゆっくりと羽を動かし秘密基地がある所まで飛んでいく

1番上の展望室から見える景色は
4人一緒にみた時と何も変わっていなくて、

遠くに見える海がキラキラと光り
爽やかな風が吹いた
ルフィ
ルフィ
おほ〜〜っ!!
エース
エース
ふっ、

ここから見る景色は、
今も昔も変わらねェな
あなた
…そうだね。

ここで皆んなで
海賊ごっことかしたよね
エース
エース
あぁ!したな!
一つの船に3人の船長がいる設定でよ!

なぜかあなただけいつも敵役で…ははは
あなた
ほんとだよ!
そこはフツーお姫様とかだよね!?
ルフィ
ルフィ
あっはっはっはっ!
そうそう!
楽しかったな〜〜
古びた秘密基地はボロボロだったけど、
そこに残る思い出は今でも鮮明に覚えていて

エースとサボとルフィの声は
目を瞑っても聞こえてくる。




そのままサボの墓の前まで運んでいくと
エースは墓の前に座り、しばらく黙った後、
よし!と立ち上がった。
あなた
もう、いいの?
エース
エース
あぁ…!
そう言うエースの瞳は
どこか遠くの空を見ていて、

私とルフィも同じ空を見上げた。






…少し遅くなってしまったので、
そのまま近くの岸の手前まで乗せて飛んで行き
2人を背中から下ろす
エース
エース
サンキューなあなた
ルフィ
ルフィ
気持ちよかったな〜!
またやってくれあなた!
あなた
はいはい
岸に着くと用意していたボートの前に
フーシャ村の村長にマキノ、
ダダンを除く全員がエースの見送りに来ていた
ルフィ
ルフィ
ははっ!

みんな来てるぞ!


ん?ダダンが居ねェ?
エース
エース
まぁいいさ、
あいつの事だ、
家で一人酒でも飲んでんだろ。
あなた
きっと、寂しくて泣いちゃうから
来なかったのかもよ?
エース
エース
ははっ!
意外といい奴だからな!ダダンは!
みんなに挨拶をしているエースを遠目で見ながら
彼をしっかり目に焼き付けておこうと見ていると


挨拶が終わったのか
エースが私の方に声を掛けてくる
エース
エース
あなた!
大きく広げられた腕は
まるで、来い!とでも言っているようで、
小走りでエースに抱きつくと


エースはしっかりとあなたを抱きとめる
エース
エース
ししし!
しばらく会えなくなるからな、
会い溜めだ!!
あなた
うん。

体には充分気をつけてね。

…あと、浮気しないでね。
エース
エース
はははは!
おれがするように見えんのか?

あなたが来るのを待ってるさ、海で。




エースからは太陽の匂いがする。

優しくて暖かい匂い。


私の、大好きな匂い。







離れ側にあなたからエースにキスをすると
エースは驚き口元を手で隠す
エース
エース
なっ!?///
悪戯な笑顔を浮かべて笑ったあなたが
エースの胸を優しく押すと


エースの船出を後押しするように
柔らかく優しい追い風が吹いた
あなた
行ってらっしゃい


エース
エース
エース
…!!


おう!!


待ってろ!
すぐに名を上げてやる!!
そうして小船に乗って
静かに島を出たエースは
見えなくなるまでずっと
手を振って出港して行った
ルフィ
ルフィ
よぉーーーし!
おれも海に出るまでに
もっともっと強くなるぞ!!!
あなた
ルフィはあと3年後、
私はあと3ヶ月後…!!


もっと強くなろう!ルフィ!
ルフィ
ルフィ
おう!!


〜3ヶ月後〜





あなた
ダダンさん、
私、今晩出ます!
ダダン
そうかいそうかい!
居なくなってくれて清々するよ!!



掃除に洗濯、武器磨きに靴磨き…


あんたが居てくれなかったら
この家は他のクソガキどもに
めちゃくちゃにされてた所だったよ!!
あなた
ダダンさん、
怒ってるの?感謝してるの?
どっち?
ダダン
いいから、さっさと行っちまいな!!!
あなた
ふふふっ

ダダンさん、私、
ここに居れて、
毎日幸せだったよ!

ありがとうございました。
ダダン
ぅぅぅ""
馬鹿言ってんじゃね"ぇ

体にはぎをづけな!!!!
あなた
はは!
分かってるよ!

それと、これ、
今までお世話になったお礼、
ここに置いておきますね
コトっと置かれたそれは
今まで貯めて来た鱗を熱して作った
宝石の原石だった。

売ればいい値段になるだろう

あなたは深くお辞儀をして
じゃ!!と家を出て行く


家の前にはルフィと、
ダダンの手下達が待ってくれていた


あなたの事情を知らないマキノ達は
急に竜に変わる所を見てしまうと
驚かせてしまうと思い、呼ばなかった。
ルフィ
ルフィ
あなた!来たな!!

とうとう海に出るんだな!

あ、いやあなたは飛んでくから
島出?になるのか?
あなた
ふふっ!

まぁね!

ルフィが海賊になったら、
一度顔出すから!
あなたの手には
エースが取り上げられた新聞記事が握られている
ルフィ
ルフィ
おう!
気を付けてな!!

エースに会ったら
よろしく言っといてくれ!
あなた
分かった!
…マキノさんにも
よろしく伝えておいてね。

…じゃあ、ルフィ!みんな!
お元気で!!



行ってきます!!
あの日ルフィが突き落とされた
崖の所に到着すると


あなたは
タタタッと崖に向かって走り、
ストンと消えるように落ちて行く。


手下達とルフィは心配するように
崖を覗き込もうとすると


崖から吹き上げた風に乗り
翼を広げた竜が空へ舞い上がっていった。




コルボ山を迂回すると
小さく光るダダンの家と、秘密基地が見えた。


家の前にはダダンと手下達が大きく手を振っていて
見えるかどうか分からないけど…、
私も大きく振り返す



胸の奥がキュッとして、
目頭が熱くなる。



悲しい事もあったけど、
それだけじゃない。




楽しくて、愛しい日々。









さぁ、行こう!!

冒険の海へ!!!

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