チュン
チュン
外はまだ薄暗く
鳥達が鳴き始めた頃エースは起きた。
大きなあくびをし、ぽりぽりと頬を搔きながら
周りを見渡している。
今日はエースのの出港日だ。
エースは、同じ寝室で寝ているルフィと
あなたを見ると、
こいつらと一緒に居るのも今日までか…と
少しだけ寂しくもなった。
2人とも寄り添うように近くで寝ている。
ルフィに関しては
エースの布団を握り締めながら
大の字で眠っていて
どおりで寒いわけだ。と
エースは苦笑いすると
その布団をルフィに掛け直してやる。
2人とも寂しいなんて言わないが、
心の中では思ってくれているのだろうか。
ルフィはともかく、
こんな自分と夫婦の盃を交わし、
いつでもそばに居てくれたあなたのことは
気がかりではあるのだが…。
やれる事はやってきた。
心配はないだろう。
そんなあなたの寝顔を見ながら思っていると
寝返りを打った時に
顔にかかった髪をどけてやる。
12年前に出会った時と
同じ寝顔がそこにはあった
頬を優しく撫でると
その瞳がゆっくりと開かれた
朝日が当たって
ビー玉の様に透き通っているそれが
きらりと揺れた
いつもあなたの瞳を見ると思っていた事がある
でも、嘘じゃねェ。
あなたを拾って
初めて目を見た時からそう思ってた。
愛だとか、恋だとか
未だによく分からないけど…
今なら少しだけ分かる気がする。
きっと、あれがおれの初恋だった。
あなたの目を見たあの時から。
一目惚れってやつか。
まぁ、…今更恥ずかしくて言わねェけど。
いつものように家を飛び出して行く2人の背中は
あの頃と何も変わらなくて…
そう言うとあなたは
竜に形態を変えて背中に2人を乗せる
と言うとあなたはゆっくりと羽を動かし秘密基地がある所まで飛んでいく
1番上の展望室から見える景色は
4人一緒にみた時と何も変わっていなくて、
遠くに見える海がキラキラと光り
爽やかな風が吹いた
古びた秘密基地はボロボロだったけど、
そこに残る思い出は今でも鮮明に覚えていて
エースとサボとルフィの声は
目を瞑っても聞こえてくる。
そのままサボの墓の前まで運んでいくと
エースは墓の前に座り、しばらく黙った後、
よし!と立ち上がった。
そう言うエースの瞳は
どこか遠くの空を見ていて、
私とルフィも同じ空を見上げた。
…少し遅くなってしまったので、
そのまま近くの岸の手前まで乗せて飛んで行き
2人を背中から下ろす
岸に着くと用意していたボートの前に
フーシャ村の村長にマキノ、
ダダンを除く全員がエースの見送りに来ていた
みんなに挨拶をしているエースを遠目で見ながら
彼をしっかり目に焼き付けておこうと見ていると
挨拶が終わったのか
エースが私の方に声を掛けてくる

大きく広げられた腕は
まるで、来い!とでも言っているようで、
小走りでエースに抱きつくと
エースはしっかりとあなたを抱きとめる
エースからは太陽の匂いがする。
優しくて暖かい匂い。
私の、大好きな匂い。
離れ側にあなたからエースにキスをすると
エースは驚き口元を手で隠す
悪戯な笑顔を浮かべて笑ったあなたが
エースの胸を優しく押すと
エースの船出を後押しするように
柔らかく優しい追い風が吹いた
そうして小船に乗って
静かに島を出たエースは
見えなくなるまでずっと
手を振って出港して行った
〜3ヶ月後〜
コトっと置かれたそれは
今まで貯めて来た鱗を熱して作った
宝石の原石だった。
売ればいい値段になるだろう
あなたは深くお辞儀をして
じゃ!!と家を出て行く
家の前にはルフィと、
ダダンの手下達が待ってくれていた
あなたの事情を知らないマキノ達は
急に竜に変わる所を見てしまうと
驚かせてしまうと思い、呼ばなかった。
あなたの手には
エースが取り上げられた新聞記事が握られている
あの日ルフィが突き落とされた
崖の所に到着すると
あなたは
タタタッと崖に向かって走り、
ストンと消えるように落ちて行く。
手下達とルフィは心配するように
崖を覗き込もうとすると
崖から吹き上げた風に乗り
翼を広げた竜が空へ舞い上がっていった。
コルボ山を迂回すると
小さく光るダダンの家と、秘密基地が見えた。
家の前にはダダンと手下達が大きく手を振っていて
見えるかどうか分からないけど…、
私も大きく振り返す
胸の奥がキュッとして、
目頭が熱くなる。
悲しい事もあったけど、
それだけじゃない。
楽しくて、愛しい日々。
さぁ、行こう!!
冒険の海へ!!!














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!