u side
部屋から出て行くと
さっき部屋から出て行った人が
私を待っていた
想定内だったけど
彼女のいらだちは相当なもので
頬を掠めた鈍い音で
私は彼女に視線を移す
次第に強まる語気に
周囲の視線がこっちを捉えている
何も言わずに見つめたのがよくなかったのか
苛立ちに任せて拳を振り上げてきた
スローモーションに見えるそれは
私をなんとも言えない感情にさせ
気づけば爽快な音が痛みとともに襲っていた
一瞬にして騒めく廊下に
彼女は怒りで理性を失っているのか
顔は赤く染まって表情は険しい
その表情に見覚えがあり昔を遡っていると
楽屋からメンバーとシウさんが出てきて
彼女を抑え始めた
その言葉に
彼女の表情はもっと険しくなり
周りは頭を抱えていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!