※IMPACTはそんなに関係ないです。
撮影終わり。新が番組の企画で女装のまま楽屋に戻ってくる。
「お疲れさまでしたー」
新が楽屋に入ったその瞬間、
「「「え、待って可愛すぎる」」」
一斉にざわつくメンバー。
「やばくない?普通に街歩いてたら声かけられるレベル」
「てかこれ犯罪級だろ、ガチで」
「いやほんとに誰かに連れてかれるって」
「誘拐されるんじゃない?」
わちゃわちゃ囲まれて、ちょっと照れる新。
「そんなに…?」
「そんなに、だよ」
「俺ら全員守る側になるな」
「いやほんと目離せない」
そんな中、腕組んでじっと見てる影山。
「……まあ、可愛いけど」
「お、影も認めた」
「珍しく素直じゃん」
でも影山は少し首かしげて。
「でもさ、新の可愛さってこういうのじゃないんだよな」
「「「は?」」」
一瞬で静まる楽屋。
「いやいやいや、どストライクで可愛いだろ」
「これ以上あるの?」
「てか“こういうのじゃない”って何だよ、教えろよ」
興味津々で詰め寄るメンバー。
影山はさらっと言う。
「うーん…最近だと、舞台で平将門やってた時の新が一番可愛い」
「「「は???」」」
「いやいやいや待って」
「それ“可愛い”じゃなくて“かっこいい”だろ?!」
「将門様だぞ?!?!」
総ツッコミ。
でも影山だけ真顔。
「いや、めちゃくちゃ可愛かったけど」
「どこがだよ!!」
周りの総ツッコミは全く気にせず、影山はマイペースに話す
「なんかさ」
ちょっとだけ思い出すみたいに目細めて、
「セリフ言う前に、ほんの一瞬だけ息吸うとこあるじゃん」
「細かっ」
「その時、ちょっとだけ目が揺れるんだよ」
「こわいこわいこわい」
「で、次の瞬間にはもう将門様になっててさ」
「……」
「その“なる前”が一番可愛い」
静まり返る空気。
「……わかる人いる?」
と基が全員に小声で言う。
「いねえだろ」
横原が答える。
「影の可愛いポイント高度すぎる」
「てかピンポイントすぎて怖い」
新はぽかんとしてたけどすぐに、嬉しそうに微笑む。
「……見てたんだ、そんなとこ」
影山は自信満々に腕を組む。
「そりゃ見るだろ。一番近くに居たし」
って言って、
「俺、新のそういうとこが好きだし」
「「「はい出ました」」」
「今の聞いた?!」
「ナチュラルに言うなよ!!」
一気に騒がしくなる中、新だけちょっと顔赤くしている。
「……影山くん、なんか変」
影山は誰の話も全く聞いていない。舞台の新、”将門様”を思い出している。
「もちろん、将門様になった後の新もめちゃ可愛い」
※
「将門様はわかったわ」
腕組んでうなずく 椿泰我。
「じゃあさ」
にやっとして影山の方見る。
「今の新の可愛いポイントは無いの?」
「「お、いいとこ突く」」
「それな、それ聞きたい」
一斉に乗っかるメンバー。
影山はちょっとだけ視線を新に向けて――
じっと見る。
「……あるけど」
「あるんかい」
「じゃあ言えよ」
急に全員の視線が集まって新が戸惑う。
「え、ちょ、なに…」
影山は暫く考えて、真剣な顔で話す。
「さっき“そんなに?”って言った時」
「え」
「自分で可愛いって思ってない顔してたの、可愛かった」
「「「そこ?!」」」
総ツッコミ。
「いやもっとあるだろ!見た目とか!完成度とか!」
「女装の話してんの今!」
影山は首かしげる。
「見た目は普通に可愛いよ」
「雑!!」
「急に浅くなるな!」
でも影山は気にせず続ける。
「でも新ってさ、褒められるとちょっと困るじゃん」
「……」
「逃げるみたいに笑うとこあるだろ」
新はびくっとする。
「今もそうだけど」
「……してないし」
「してる」
「してない」
「してるって」
「変なとこで揉めんな」
基が二人の言い合いに割って入る。
「あと」
ざわつく周りを無視して、影山はちょっとだけ新に近づく。
「スカート気にして、さっきからずっと裾いじってるとこ」
「……っ」
新は反射的に手離す。
「無意識だろ、それ」
「……見てたの?」
「見てるよ」
さらっと言う影山。
「落ち着かないんだなって思って」
「……」
「そういうとこ、可愛い」
「「「いや細かすぎるって!!」」」
「影の観察力どうなってんの?!」
「もはや研究者じゃん」
椿は呆れながらも笑う。
「影の可愛いポイント変」
って言うと、
影山はちょっと不機嫌に眉を寄せる。
「変じゃないだろ。新の可愛いとこなんだから」
空気が一瞬止まって静まり返る。
「……」
「……あーはいはい」
「もういいもういい、ごちそうさま」
「今日も平和だなこの二人」
わざとらしく散っていくメンバー。
その場には新と影山だけが残る。
「……影山くん」
「ん?」
「それ、今言う必要あった?」
影山は少しだけ笑って
「あったでしょ」
「聞かれたし」
「……そうだけど」
新は顔赤いまま小さく息吐いた。
「……ほんと、変」
影山は近くでぼそっと言う。
「新が無自覚なだけだよ」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!