勝利サイド
今日は母さんとお話する日
だから姉ちゃんの家じゃなくて実家に帰る
「ただいま〜」
母「おかえり」
手洗いうがいを済ませてリビングに行くと俺の分のお茶が用意されてていつもの席に座る
母「で?
どーするの?」
「ふふ
いきなり」
母「こーゆー話は終わらせたいから」
「そうだね
俺、姉ちゃんの家に住む」
お茶を一口飲んでそう告げれば母さんはそう…と言ってお茶を飲んだ
「うん…」
母「あなたが出す答えは分かってたわよ
あなたにはもう言ったの?」
「ううん…
あ、でもちゃんと言う!今日言う!」
母「そう
あんまり迷惑かけちゃダメだからね?」
「か、かけないよ…
多分…」
母「多分って…笑」
「わ、笑わないでよ」
母「ごめんなさいね笑
はぁ、
なんで勝利はこうなのにあの子はあーなのかしらねぇ…」
「…反抗期なんだよ」
母「随分長いこと笑」
母さんは何かが吹っ切れたのか分からないけど、姉ちゃんには絶対見せない笑顔で俺と話してくれる
それが嬉しくもあり、悲しいんだよね…
「姉ちゃんさ、時間ある時、ここ来ると思うから…」
母「あの子に時間なんてあるのかしら
それに…私の事なんてもうどうでもいいでしょ…」
「そんなことないよ!
姉ちゃん、母さんのこと」
母「ふふ
いいのいいの。
あの子が元気ならそれでいいのよ」
「で、でも!」
母「心配ありがとね
あ、あの子にはこのこと内緒ね?
今更うるさい。って言われちゃうから」
「…」
母「…勝利
あの子の事、頼んだわよ…?」
「…うん…」
母「そんな顔しないの!
ほら、もう答え決まったならお姉ちゃんに伝えてきなさい」
「そんな、簡単になんて無理…
姉ちゃん、最近帰り遅いから」
母「あら、
じゃあ起きてれば?」
「母さん!」
母「冗談よ笑
自分のタイミングでね。」
「うん
荷物運ぶ日決まったらまた言うよ」
母「わかったわ。
さ、時間でしょ?」
「あ、ほんとだ…
じゃあ行ってきます」
母「行ってらっしゃい」
…ふぅ。
あとは姉ちゃんの問題だけ…かな
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!