第2話

第一話 追憶
824
2024/01/14 08:26
(なまえ)
あなた
…久しぶりに、懐かしい夢を見たわ…
私が鬼になった時の記憶。

今はもうあれから何百年も経っている。
あの後私は、この林の中の空き家に身を潜めて生きて来た。

どうやら事故で亡くなった木こりの家だったらしい。
雄飛の遺体は庭に埋めた。
あの子が死のうとも、私が人間じゃなくなろうとも、私は雄飛の姉だ。
体は鬼となったが、そこまでの変化はなかった。
驚異的な身体能力・再生力を持つ。
不老である又は途轍もなく長寿。
日光に当たると死ぬ。これは本能的に分かった。
(なまえ)
あなた
まぁ、別に何もせず生きているだけなんだけどなぁ…
鬼となってからの記憶が曖昧だ。
能力の代償なのか、大量の睡眠時間を要する。
(実際一日に十数時間ほど寝ているだろう)
夜の間や雨の日に外に出て山菜や魚、果実などを採取し、調理して食べる。
余ったものは日が出ないときに人里に降りて子供たちが集まる場所にそっと置いている。
子供たちの中には満足に食べられていない子もいるだろうから。
あとは切った木材を小刀で削って人形を作ったり、花の汁で木の板に絵を描いたりと、生きる目的がないなりにそこそこの暮らしをしていた。
そんなある日。
鬼舞辻無惨
ほう…料理を置いていく慈悲深い神がいる、と聞いていたが…まさか鬼だったとはな
その人は二十代くらいの男性に見えた。洋風な格好をしていて、黒髪に赤い瞳。


直感的に理解した。


彼は、鬼だ。
鬼舞辻無惨
お前、どうやって鬼になった
(なまえ)
あなた
分かりません。ただ…
私は鬼になった経緯を簡単に話した。
鬼舞辻無惨
なるほど…お前の母親の名は何だ
(なまえ)
あなた
珠世…あなたの人間の頃の名字珠世という人でした・ ・ ・
鬼舞辻無惨
珠世…
男は何かに気付いたような表情をした。
鬼舞辻無惨
紹介が遅れたな。私は鬼舞辻無惨。
お前の名は何という
(なまえ)
あなた
あなたの鬼になった後の名前です。
人間の頃の名前は捨てました
鬼舞辻無惨
面白い。ではあなたの鬼になった後の名前、私と共に来ないか?珠世と鬼狩り____〝鬼殺隊〟に復讐ができるぞ?
(なまえ)
あなた
あの鬼狩りたちのことは調べたが、組織名____
〝鬼殺隊〟という言葉しか知ることが出来なかった。
それに、この口ぶり…あの女を知っている?
あの時。お父さんと雄飛が殺された時の怒りが、憎しみが、沸々と湧き上がってくる。
(なまえ)
あなた
…分かりました。よろしくお願いします
こうして私は無惨様と手を組んだのだ。
※珠世さんの肉体年齢は原作では十九歳です。この小説では三十代前半に鬼になったと考えてください。時代背景等は考える気すらありません٩( ᐛ )و

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