ロクタがあの事を知ってしまった今、イツキにどういう態度で話せばいいか分からなくなる。
イツキがいつもと違う京の様子に気付いた。
京が戸惑っていると、イツキが京の手を両手で優しく握った。
京はイツキの眼差しに応えるように、先程のロクタの話をそのままイツキに伝えた。
京の話を聞いた後、イツキがぽつりと呟いた。
学校での関係など、ロクタには知る由もない事だ。しかもロクタとイツキは長い付き合い。「イツキ=」という固定概念が構築されててもおかしくはない。
ロクタにイツキと同い思いはしてほしくない。その思いは京もイツキも一緒だった。
だが、京自身は被害に遭っていない。なのになぜ、そう思うのか。それは。
京も、イツキの体を通して分かっているからだ。