第13話

苦痛
112
2023/10/13 22:58
御山 京
……お帰り、イツキ
 ロクタがあの事を知ってしまった今、イツキにどういう態度で話せばいいか分からなくなる。
イツキ
……どうしたんだ?
 イツキがいつもと違う京の様子に気付いた。
御山 京
え、ああ、いや……
 京が戸惑っていると、イツキが京の手を両手で優しく握った。
イツキ
いつも言ってるだろう。悩みがあれば遠慮なく言ってくれと
 京はイツキの眼差しに応えるように、先程のロクタの話をそのままイツキに伝えた。
イツキ
やはり怪しく思うか……
 京の話を聞いた後、イツキがぽつりと呟いた。
 学校での関係など、ロクタには知る由もない事だ。しかもロクタとイツキは長い付き合い。「イツキ=」という固定概念が構築されててもおかしくはない。
御山 京
このまま、ロクタに被害が及ぶわけにはいかない。けど……
 ロクタにイツキと同い思いはしてほしくない。その思いは京もイツキも一緒だった。
 だが、京自身は被害に遭っていない。なのになぜ、そう思うのか。それは。
御山 京
……イツキ、始めるよ
イツキ
……ああ
 京も、イツキの体を通して分かっているからだ。

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