南「では、文化祭の出し物はお化け屋敷に決まりました」
紗希ちゃんのそんな声で、クラスは更に騒がしくなる。
気づけばもう5月が終わろうとしている頃。
高校生活にも慣れてきて、いよいよビッグイベントのうちの1つ、文化祭が迫ってきていた。
国見「あなたはどの係すんの?」
『小道具でもしようかな、細かい作業は得意だし』
国見「いいじゃん、向いてそう」
「俺もって言いたいけど、俺細かいの嫌いだし大道具にする」
『いいんじゃない?』
ちょっとだけ、一緒じゃないことに安心したり。
国見のことは嫌いじゃないのに、そんな風に思ってしまうことがどうしても嫌だった。
でも安心せずにはいられなくて、これじゃ今後は絶望的じゃんなんて思いながら、男子に話しかけられてる紗希ちゃんの元へ行った。
『紗希ちゃん、係何にするの?』
南「うーん、迷ってて、」
『く……私は、小道具にするつもり』
南「じゃあ私も小道具にしようかなぁ、いい?」
『勿論』
国見は大道具だって、と言おうとしてやめた。
それを言ったら、紗希ちゃんがどんな顔をするかなんて分かりきっていたから。
初めて紗希ちゃんとお昼を食べた日から、週に一度ほど一緒にお昼を食べるようになった。
普通に友達として、雑談をしながら食べているけれど。
あの日以降、何となく、お互いに恋バナは避けている。
楽しそうに笑う紗希ちゃんを見る度、ほんの少し罪悪感は募るけれど。
こんなに可愛い子の恋が、私のせいで報われないなんて。
でもそんな風に思うのも傲慢な気がして、何も言えないままだ。
そんな紗希ちゃんはモテているので、今みたいに男子にしつこく話しかけられることもある。
そんな時は、私が話しかけて救うのが最近の任務みたいになっていた。
私たちの暗黙のルール、その2。
そんな暗黙のルールを遂行していたら、突如廊下が騒がしくなった。
この騒がしさは、もしや。
そう思った時には、遅いのだ。
及川「あなた!!文化祭何すんの?」
『うげ、』
及川「今うげって言った!?」
平和な時はいつも、それを掻き乱されるという暗黙のルールが成り立ってしまうから。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。