××「起立、礼」
だるそうな号令と共に、4限目の終了を告げるチャイムが鳴る。
やっと午前の授業が終わった、と安堵の気持ちでいつものようにお弁当を持ち廊下に出ようとする。
当たり前のように徹のところに行こうとしてる自分に嫌気が差しつつも、行かない方が怪しまれるので仕方ない。
そう思った時、後ろから声をかけられた。
南「あなたちゃん、もしかしてお昼誰かと食べる約束してる、?」
『え?あ、いや、約束っていうか、』
『どうかしたの?』
南「良かったら、一緒に食べない?」
「勿論、先約があるならそっち優先して欲しいんだけど、」
『え、食べたい!』
『一緒に食べよ、どこで食べる?』
南「中庭で食べない?今日天気いいし」
『いいね!私中庭で食べたことないんだよなぁ』
南「本当?ならよかった」
嬉しそうに微笑む紗希ちゃんに、心の中でごめんね、と呟く。
確かに紗希ちゃんと仲良くなりたいのもある。
でもそれ以上に、徹から離れる理由が欲しくて。
だから、今回の誘いを徹のところに行かない口実にした。
本当に、自己中だ。
そんな嫌悪を抱えながら、紗希ちゃんと共に中庭に向かった。
『紗希ちゃんのお弁当美味しそうだね〜』
『彩りが綺麗』
南「お母さんがいつも作ってくれるんだ」
「私のお母さん、料理がとっても上手でね」
『いいな〜、私の家はお母さんもお父さんも料理得意じゃないからさ』
『私がよく作ってるよ』
南「え、それってすごいじゃん、!」
久しぶりにこんな女子らしい会話をしたな、と少ししみじみしてしまう。
一緒に居るのは男子が多いし、来海ともあまりこういう話はしない。
だって、もうそんな事知ってる間柄だから。
そんなことを考えてると、紗希ちゃんが少し躊躇いがちに口を開いた。
南「……ねぇ、あなたちゃん、」
『ん?どうしたの?』
南「……あなたちゃんはさ、好きな人居るの?」
その言葉に心臓がドクンと大きく脈打つ。
きっと紗希ちゃんは、知ってて聞いている。
私が、未練がましく想ってる相手がいること。
嫌という程の腐れ縁で離れてくれない存在がいること。
そんな存在を突き放せずにいる自分に、嫌気が差してること。
全部、分かってるのだ。
だってそれは、
『……紗希ちゃんは?』
南「……私もね、居るよ」
紗希ちゃんも、同じだから。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!