第4話

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2022/11/14 09:00
あれからテヒョンイヒョンはジミニヒョンと一緒に居るようになった。


ジミニヒョンと一緒に他のヒョン達に守られながら過ごしている。

僕の姿が見えると体を震わせて誰かの後ろに隠れるけどね。


好きな人に怖がられるのは悲しい。
けど良いの。

僕がそうなるように仕向けたから。
僕が望んだ結末だから。

これ以上酷くならないように、でも元に戻らないように。

ずっとこれを保つんだ。




それが幸せのカタチ
僕は毎週のように海へ向かうようになった。


夜には夕方とは違う静けさと、美しさがある。
夕方は癒やされるけれど、

夜は、落ち着く。
夜は月光に海が照らされ、青と白、水色、紺がベースとなった空間が出来上がる。


それが、僕の心の隙を突いた。
すっと入り込んで、はまってしまった。



その感覚がどうしても忘れられなくて、心地よすぎる夜風を浴びながら冷たい水に触れる。


僕の指を伝ってポタポタと落ちていくその雫がどうも綺麗で、目を離せない。

月光に照らされ白く光るその雫はまるで真珠だ。
すぐポチャンと居なくなってサーッと白い粒を消す。




その呆気なさが儚くて、あまりに美しい。
🐰
🐰
君たちはどうしてこんなに綺麗なんだろ、
一生居ても居たりないよ。
🐰
🐰
わすれたくない、
この潮の香りも、ザーザーとゆっくり響く音も、月明かりに照らされてキラキラ光る波も、泡立ちながら僕に近付こうとして離れる君も。


そして、近いようで遠くに輝く月も。空に飾りを付け足す数々の星も。

全部忘れたくない。



なのに、温もりのように少し経つと消えてしまう。

酷いね。
僕はこんなにも求めてるのに。

君は消える。
忘れる。

忘れさせようとしてくる。

だから何度も何度も来させるんだ。


ずるいよ。



いっそのこと、僕も其処に入れてよ。



波でも良い、潮風でも良い、波音でも良い、月でも良い、星でも良い。


君にならせてよ。

君に溶け込んで、輝きたい。



けれどそれは叶わないから。

虚しくなる前にもう帰るよ。
宿舎に帰ると、何故か全員揃って鋭い目つきで僕を見つめていた。


僕を避けてたのに、怖がってたのに、怯えてたのに、嫌がったのに、拒絶したのに。


今はそうやって僕を綺麗な顔で睨んでいるんだね。

何があったのか知りたいよ。

突然、どうしちゃったんだろう。


僕はいつもと変わらないのに。





どうしてそんな顔してるんだろうね。
🐴
🐴
何処行ってたの?
低い声、


相当怒っているみたいだね。
僕何かしちゃったかな?
🐰
🐰
海です
🐴
🐴
どうして海に?
🐰
🐰
お気に入りの場所なんです。
あの場所を思い出し、気持ちが穏やかになるのを感じた。

あの綺麗な場所を貴方達は知らないなんて、なんだか信じられないよ。
🐭
🐭
それで、毎週宿舎を抜け出して行ってる先がただの海だと?
🐰
🐰
、? そうですけど、
🐭
🐭
ふっ、笑 嘘みたい。
🐰
🐰
どういうことですか?
🐭
🐭
どっかで浮気でもしてたんじゃないのか?
🐰
🐰
どうしてする必要があるんですか?
純粋に分からなかった。

どうして、浮気をする必要が?

別にそれで幸せになるって訳でもないのに。
🐰
🐰
あ、あの、浮気って、恋人もいないのにどうして浮気になるんですか?
僕はもうテヒョンイヒョンと別れたはずだ。

どうして浮気という言い方をするのか分からない。



別にしても問題は無いはずだ。

もう僕は誰のものでもないのだから。
🐻
🐻
ッ‼︎‼︎‼︎
あ、やっちゃった。
🐭
🐭
お前、発言に気をつけろ。
🐰
🐰
はい、
悪気は無かったんだけどな、
🐭
🐭
で、海に行って何してたわけ?
🐰
🐰
なにもしてないです
🐰
🐰
ただ、海にいるだけです。
🐭
🐭
本当か?
🐰
🐰
本当ですけど、
何をそんなに疑っているの?
🐹
🐹
じゃあこれは何?
ヒョンの携帯にはあの時会った男の子が映っていた。

身長が高かったその子を見て新しい恋人だと思い込んだのか、このことをヒョン達はさっきから言っているようだ。



でもこの時僕は一人だったはず。

周りに人も居なかったような、
🐰
🐰
どうしてそれを、
正直検討はついてた。


ジュヌの友達が現れたのだからジュヌだってこの近くにいる。


たまたま僕のあの様子を見て情報を売ったんだろう。
🐹
🐹
良いから早く答えて。
🐹
🐹
この子は誰なの?
🐰
🐰
クラスメイトか分からないんですけど、同い年くらいの集団に虐められてたので助けたんです。
🐹
🐹
ふーん、ならこんなに楽しそうに会話する必要ある?
🐹
🐹
気を持ってたんじゃないの?
🐰
🐰
自分と同じ経験をしてる人を励ましただけです。おかしいことですか?
🐨
🐨
同じ経験をしてる人って?
🐰
🐰
あっ、
完全にやらかした、
🐰
🐰
“おなじ”じゃなくて“こわい”です。
🐨
🐨
じゃあさっきの動揺はなんだ?
🐨
🐨
そんな違う単語で俺達が聞き間違えるか?
ダメだな、笑
🐨
🐨
なにがあったんだ?言え。
🐰
🐰
言いませんよ。
言えるわけないじゃん。

この状況で、過去に嫌がらせ受けてました。なんてしょうもないこと。


誰が言うと思う?


そんなことよりヒョン達の方が辛いのに。

言ったら呆れるに決まってるよ。


それなら、言わない方がいいでしょ?
🐨
🐨
ジョングガは俺達のことはよく知ってるのに俺達はジョングガのこと何にも知らないな。
🐨
🐨
前も似たようなことあった。
🐨
🐨
これと関連することか?
🐰
🐰
そうかもしれませんね?
違うかもしれないですけど
🐨
🐨
二つもあるのか?
🐰
🐰
普通なら三つ四つはあると思うんですけど、
🐨
🐨
一体俺達の仲でそんなに隠し事する必要があるか?
🐰
🐰
そりゃあ、ね?
🐨
🐨
なんのために?
🐰
🐰
ショックを受けないためじゃないですか
🐨
🐨
どういうことだ?
🐰
🐰
聞いたら、驚きますよ。まあ、逆に納得もするかもしれないですけど。
🐰
🐰
むしろ、余計嫌うかも。笑
🐨
🐨
ジョングガ。何がしたいんだ?
🐰
🐰
これを保ちたいだけですよ。
🐰
🐰
それが俺の望んでることだから。
🐥
🐥
本当にそれを望んでるの?心の底から?
🐰
🐰
そうですね。
🐥
🐥
俺は本心に見えないけど?
🐰
🐰
見間違いだと思います
🐥
🐥
ならそのお前を纏う雰囲気は何?
🐰
🐰
僕の雰囲気ですか?
🐰
🐰
何か、おかしいところあります?
🐥
🐥
ありまくりだよ
🐥
🐥
潮の香りを体に付けてきたときからずっと。
🐰
🐰
潮の香り?
🐥
🐥
お前が最初に海に行った日。
🐥
🐥
つまりあの男の子と会った日。
🐰
🐰
あの日から、?
🐥
🐥
そう。
🐥
🐥
それからお前全然違う。
🐥
🐥
刺激もしてこなくなったしあんな態度とることも減った。
🐥
🐥
今戻ってるけど。
🐥
🐥
その男の子と、何の関係があるの?
🐥
🐥
自分と同じ経験って何?
🐥
🐥
虐められてた。そんな自分と同じ経験をしてる子を助けた。
🐥
🐥
ジョングガが虐められたって事?
🐰
🐰
さあ?笑
🐥
🐥
そういうことだよね。
🐥
🐥
詳細のところはわかんないけど
🐥
🐥
どうして言ってくれなかったの?
🐰
🐰
言う必要が無いじゃないですか。
🐰
🐰
言ったところでなにか改善されます?
🐥
🐥
しないよ。
🐰
🐰
じゃあ良いじゃないですか。もう過ぎたことなんですし。
🐥
🐥
思ったより、お前は訳ありみたいだね。
🐰
🐰
いくら事情があったとしても今の状況に関係はありません。
🐰
🐰
あれがあったから今があるとか、なにも関係無いので。
🐰
🐰
それにいくら僕が虐められたとしてもヒョンを脅すのは変わらないですから、笑
🐥
🐥
またあれ言うつもり?
あれはもう効かn
🐰
🐰
((いっそこんな俺殺してよ。自分を責めるあまりテヒョンはそう言いました。ボソッ
🐥
🐥
‼︎‼︎‼︎
🐥
🐥
うそ、でしょ…?
🐰
🐰
そう思います?笑
貴方を脅す手口はいくらでもある。


どれだけの発言をしたのか、

貴方は知らない。

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