第3話

第二話:放課後、5人が甘く迫ってきた件
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2025/11/16 09:43 更新
昼休みが終わったころ。
担任の「あなたは今年の象徴(ミューズ)候補」という宣言がまだ胸の中でざわついていた。
あなた
(取り合いなんて……冗談だよね?)
そんな気持ちを抱えたまま迎えた放課後。
私は忘れ物を取りに行くついでに、農園のほうへ歩いていた。
しかし——
そこで待っていたのは、
五人のファーマーズによる “甘い囲い込み” だった。
農園の草の匂いが漂う中、私は膝をついて草抜きをしていた。
ふと背後に大きな影。
ゴーヤ
ゴーヤ
……おまえ、なんで一人で来んだよ
振り返るとゴーヤ。
眉間のシワがいつもより深い。
あなた
ひ、一人で歩きたかっただけで……
ゴーヤ
ゴーヤ
ふん。危ねぇだろ。虫とか、転ぶとか……
あなた
(虫と転ぶが心配なの……?)
照れたように目をそらしている。
ゴーヤ
ゴーヤ
……べ、別に心配じゃねぇけど
あなた
いや、心配してるよね?
ゴーヤ
ゴーヤ
してねぇ!!
耳まで真っ赤なのに手首をつかんでくる。
ゴーヤ
ゴーヤ
帰る。付き添う。……他のやつに会いたくねぇ
そう言う声は、誰より優しかった。
図書室に行くと、
向かいの席にトマトが静かに座った。
トマト
トマト
驚いたよ。
君があんなに心配されてるとは思わなかった。
そう言いながら、机の下でそっと手に触れる。
トマト
トマト
……あなたちゃんの手、可愛いね
あなた
(な、なんで触ってくるの……!?)
絡ませてくる指が熱い。
トマト
トマト
ねぇ……僕だけに優しくして?
甘い声が耳に落ちてくる。
トマト
トマト
僕、嫉妬するんだよ。
君が他の誰かを見たらさ。
微笑むくせに、目は本気。
トマト
トマト
離さないよ。
今日は、僕がエスコートするつもりだから。
図書室を出ると、勢いよく走ってくる影。
さつまいも
さつまいも
あなたー!!
息を切らしながら手作りスイートポテトを差し出すさつまいも。
さつまいも
さつまいも
これ……お前に食ってほしくて!
あなた
(可愛い……)
さつまいも
さつまいも
なぁあなた……オレ、さ……
お前の笑った顔、超好きなんだよ!
顔を真っ赤にしながら続ける。
さつまいも
さつまいも
でもよ、他のやつ近づくと……
胸がぐるぐるして……どうしようもねぇ!
真っ直ぐな言葉が、心にぐっと刺さる。
さつまいも
さつまいも
もっと笑ってくれよ……
じゃねぇと、オレ本気で惚れちまう!!
もう惚れてるくせに。
教室へ戻ると、
誰もいないはずなのに、
窓際にごぼうが立っていた。
ごぼう
ごぼう
……あなた
その声は静かで落ち着いているのに、胸に響く。
ごぼう
ごぼう
待ってた。
ひとりで帰らせる気はなかったから。
あなた
えっ……私を待ってたの……?
淡々と頷き、近づいてくる。
ごぼう
ごぼう
……他の誰かが連れて帰る前に。
あなた
(え、え、独占……?)
手をそっと取り、指を絡める。
ごぼう
ごぼう
その手……誰にも触れさせたくない。
低い声でそう言うと、
まるで婚約者みたいにエスコートしようとする。
ごぼう
ごぼう
帰ろう。……君は、僕の隣だ。
逃げ道がない優しさだった。
温室の中を通り抜けると、
そこのベンチでヘチマが寝ていた。
ヘチマ
ヘチマ
……あなた……?
寝ぼけながら手を伸ばし、
そのまま私を胸に抱き寄せる。
ヘチマ
ヘチマ
……来てくれた……
あなた
(ちょ、近い……!)
離そうとしても、意外に強い腕。
ヘチマ
ヘチマ
……あなたの匂い……好き……
胸に顔をうずめたまま言う。
ヘチマ
ヘチマ
……他のやつ行くなら……やだ。
子どもみたいな声なのに、
腕だけは絶対に離さない強さ。
ヘチマ
ヘチマ
……ここに……いて……?
甘くて、ゆっくりと溺れそう。
ヘチマの腕からそっと抜け出したところで。
ガラッ。
扉の向こうに——
ゴーヤ
トマト
さつまいも
ごぼう
ヘチマ(寝ぼけたままついて来てる)
が勢ぞろいしていた。
ゴーヤ
ゴーヤ
おい、あなた。どこ行ってた。
トマト
トマト
僕のところに来るはずじゃなかった?
さつまいも
さつまいも
オレが先だったのに!!
ごぼう
ごぼう
……あなたは僕が迎えに行った
ヘチマ
ヘチマ
……あなた……いっしょ……
あなた
(ちょ、ちょっと待って!?)
五方向から迫る視線。
その中心に私はたった一人。
——これが、
“ファーマーズ5人による取り合い”の本当の始まりだった。

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