姉が命を落としてから1週間程たった頃、
俺は仕事復帰をした。
姉が亡くなってから1週間休みをもらっていた、というか休みを取らされた。
ファットガムなりの優しさなのだろう、心を落ち着かせときなと度々メールが来た。
そして、初めて1人で出勤する。
いつも同じ時に仕事に行っていたから、怖いし、寂しかった。
姉がいない俺は、男らしくなんか、ねぇ。
自分でも分かった。
やっぱり姉がいねぇとダメだって。
いつの間にかネガティブなことばかり考えていた。
俺はブンブンと首を振り、玄関に向かった。
そんなんでヒーローやれんのかよ、しっかりしろよ。
ふと、玄関の靴箱の上の鏡を見た。
もはや上から聞こえてくる姉の声。
最近は姉の声に反応することが度々。
こんなこと、外でやったらただの変人だけど、
家の中なら、俺と姉だけだからいくらでも話せる。
行ってきますと姉に声をかけて、扉を開けた。
1人でも、やってやる。
そして、扉の鍵を閉めて駅に向かった。
扉の前で立ち止まり、深呼吸をする。
そして勢いよく扉を開けた。
何事もなかったかのようにいつものように元気よく挨拶をする。
変な雰囲気にしたくねぇし、気を使ってもらいたくもねぇから。
ファット、優しすぎる。
いつも俺を気にかけてくれて、
助かってます。
色々説明を受けた。
そっか、上鳴と芦戸と爆豪か、
元々、あなたの下の名前って伝えられてたならなんて言えばいいのか、、
これはもう、正直にあなたの下の名前のこと言うしかないのか。
俺は覚悟を決め、ファットガムに一礼して、集合場所に向かった。
爆豪はよくすれ違うけど、芦戸と上鳴は半年以来か。
久々に会える、という嬉しさもあった。
けれど、姉の代わりが本当に俺で良かったのだろうか。
姉がいないとなんもできねぇのに、大丈夫なんだろうか。
ものすごい不安に襲われた。
姉の声が、家じゃなくても聞こえた。
俺の背中を押してくれてる。
うん、そうだよな。
弱音ばっか吐いてたって、なんにも変わんねぇよな。
前を向かなきゃ、俺がしっかりしなきゃ。
みんなを守れるヒーローに、ならなきゃ。
空に向かってそう呟いた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。