第28話

カラオケ、どうする?
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2025/07/09 08:00 更新
カラオケの誘いって、こんなに悩むもんだったっけ?

あなたの下の名前はスマホの画面に映るグループLINEの通知をじっと見ていた。
つむつむ
今日ひまな人〜 カラオケ行かん?
歌は、嫌いじゃない。けど得意でもない。
それに——
あなた
(前の彼女、カラオケすごい好きだったな……)
バチバチに歌うまくて、デュエットもハモリも完璧にこなす子だった。
彼女が歌えば周囲が絶賛して、彼女が笑えば私も楽しかった。
……それを、私は知っている。
あなた
(比べられるとか、考えすぎ? でも……)
角名倫太郎
あなたの下の名前、行くん?
ふと背後から声がして、ビクッとなる。角名倫太郎だ。手には、片手サイズのジュースボトル。
あなた
ん、ちょっと迷ってる
角名倫太郎
ふーん。侑がめずらしく自分から誘ってんのに?
あなた
嘘つけ、あいつは陽キャタイプだからしょっちゅう誘ってる
あなた
じゃなきゃ解釈違いですぅーーー
角名倫太郎
いつも治任せやん。今回治、ちょっと遅れるって言ってたし
あなた
うおえええええええ
あなた
もうこないからねー
角名が気だるげに笑う。その瞬間、また通知が鳴った。
つむつむ
なんなら今日、奢ったるで?
あなた
またきたよー
角名倫太郎
ほら、奢りやって
角名がにやっと笑う。「奢り」って言葉の威力は、家庭環境バチバチな私には強すぎる。
あなた
いや、それでもなあ……
角名倫太郎
俺も行くよ? 歌わんけど。寝るだけ
あなた
それカラオケの意味ある?
角名はもう一つの通知を指さした。
つむつむ
あなたの下の名前、来るやんな?歌下手でもええからな〜
そこには、音符とウィンクのスタンプも添えられていた。

……この人、ほんと飾らないというか、期待してないというか、ある意味ズルい。
角名倫太郎
行こかな、って思ってきた?
あなた
うん……まぁ、奢りだし
角名倫太郎
ほらね
角名がひらっと手を振る。
その後ろで、スマホの通知がもう一つ。
つむつむ
治もあとで来るって〜! ほな、集合駅前でな!
あなた
(あーもう、行くって言わなきゃな)
でもその時にはもう、あなたの下の名前の足は集合場所に向かっていた。
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