その後、バスに乗り試験会場に移動して今はステージ内で説明を受け終わったところだよ。
あ、ちなみにヴァニタスはリカ婆と一緒に見学してる。
そう談笑()していた次の瞬間……
___『赤い花』が頬を掠った
バサッ
あなたの下の名前は自身の身体に"翼がない"が無いという事実を反転させて、空を飛んだ。
神谷の個性である自然は、誰もが自然と認識している力を操ることができる。
つまり、自然である重力も扱えるのだった。
重力で空中に浮きあなたの下の名前の隣に立つ。
2人で、薄ら笑いをすれば
ホークスはその2人の姿に悪寒というものを感じる。
感じた"其れ"はまるで強大な敵と相対した時と似たものだった。
唯の学生が身につけるとは思えない“其れ”に少し疑問を感じながらも戦いに意識を戻す。
あぁ、楽しめそうだなんて戦闘狂が言うようなことを考える。
自然と口角が上がった。
大量の赤い羽が神谷とあなたの下の名前に攻撃する。
それを2人とも避けるが、其れは止まることなく2人を追跡する。
逃げるだけでは永遠に終わらないと気づくと、神谷が重力を操作し2人分の追跡してくる羽を落とす。
あなたの下の名前はその間に羽を大きく羽撃かせて、羽の本体であるホークスに向かうと。
ホークスとあなたの下の名前で殴り合いを始めた。
殴り合いを始めて何分が経ったのだろうか?
お互いの攻防戦に2人とも傷がついていた。
厭何方かというとあなたの下の名前の方が数が多いだろう。
そんな中、あなたの下の名前はホークスが何故個性を使わないのだろうと思っていた。
そう、先ほどから2人は体術での殴り合いしかしてないのだ。
今の所個性は羽を使って空中で戦っているというところのみ。
空中などホークスにとって有利な筈、幾らあなたの下の名前にも今は羽があるとは言え
訓練もしていない人がホークスのように空中を広々と支えるわけがない。
それをホークスが1番に分かっている筈だというのに
何故使わないのかそんな違和感を感じながら
体を捻って右足で回し蹴りをする
ホークスは上半身を後ろに反らして、回し蹴りを回避した。
直ぐ様、右手であなたの下の名前が回し蹴りした蹴りを掴みそのまま思い切り半円を描いて遠くへ飛ばそうとした。
飛ばされたあなたの下の名前は投げられた体を止めようとすると神谷が重力であなたの下の名前を止めた
ホークスの個性ならば、いつも通り羽の振動から状況が理解できる筈だというのに態々聞くには理由があった。
羽に振動が無いのだ。いや、逆に言えばそれが情報とも言える。
羽に振動をない理由はあなたの下の名前と戦っていた間にいなかった神谷が何かしたと考えて良いだろう。
だからこそ、彼に問うのだった。
すると神谷は口を歪ませながら言った。
その言葉は暗に、『自然の個性で動けなくしているのだ』と言っていた。
その言葉にホークスは顔を歪める。
ホークスの個性は『剛翼』。
羽を一枚一枚思いのままに操る能力。
ただし、背中の羽が減ると飛行が不安定になるという欠点があった。
背中に残る羽の数は残り少ない、これ以上羽を使えば空から落ちるだろう。
地上にいこうも、気付けば真下にはあなたの下の名前がいた。
無理矢理にでも地上に行こうというものなら、神谷に重力で動けなくされあなたの下の名前に捕まるだろう。
____やられた。
自然を操るとは聞いていたが、重力も自然のうちだということを忘れていた。
ホークスが脳内で沢山の行動パターンを考えるが其れ等の全ての行き着く先は『捕まえられた』だった。
ホークスは積んだ手筈に笑うしかなかった…なんてことはなく。
一つ疑問にな事があった。
『重力で動きを止められるなら最初からそうすれば良かったのではないか』と。
実際にその通りである。
現れた時点で、動きを止めてカフスを付ければそれで終わりだったのだ。
じゃあ、何故しない?
一つの仮説がホークスの中で立てられた。
『しないのではなく、出来ないのでは?』
___条件下の中で発動される個性…か?
例えば…触れなければいけないとかね。
其れに気付けば一か八かだった。
例え、この仮説があってないにしろこれ以外に選択肢はなかった。
驚かされたことを口に出して、そう伝えれば
突然なんだと2人の頭上にハテナが浮かんで見えるように、2人はきょとんとする。
街中で1番広いスクランブル交差点に降り立つ。
途中であなたの下の名前が妨害しようとしたが、それをひらりと回避した。
案の定神谷からの重力操作はなかった。
となると仮説があってたと考えて良いだろう。
しかし、ホークスは重力という強大な力に気を取られて1つ忘れていた。
神谷の個性は重力ではなく、自然だということを。
あなたの下の名前の個性も強力だということを。
あなたの下の名前がそう叫ぶ、ホークスがいる目の前で指示をするというのは勝利するという確信からなのだろうか。
神谷はその言葉に何をすれば良いのか分かったのか不敵に笑った。
あなたの下の名前の指示に返事をしたその、瞬間。
砂嵐がホークスの周りで巻き起こされた。
本能的に目を閉じたると、カシャンという音がしたと共に腕に重みがあった。
砂嵐で巻き起こされた風の音が消えたのを耳で感じ、目を開けると腕にはカフスに付けられており。
目の前で不敵に笑う2人の姿があった。
その姿に溜息を一つ付く。
アナウンスは今もまだされていない。
つまり目の前にいる彼女らが1番最初の合格者だ。
___No.2だというのに…こんな早く終わるとは情けないな
そう考えながらも、強個性で言い表せない力を持った2人を同時に相手する事など無理でしょ…なんて。
脳内で文句を吐いて。
______神谷 悠・篠宮 あなたの下の名前、合格。
〈混ぜるな危険〉
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!