数時間後。
点滴が効いて、体調も少し落ち着いてきたあなたの下の名前は、なんとかベッドから起き上がり、枕を背に座れるようになっていた。
そこへ――
あなたの下の名前は視線を窓に向けたまま、2人を見ようともしない。
軽い調子で言う翠に、あなたの下の名前はピクリと肩を震わせた。
咳が止まらなくなり、胸を押さえるあなたの下の名前。
手を伸ばそうとした翠の手を、あなたの下の名前は全力で振り払った。
翠はまだあなたの下の名前を見ていた。泣きそうに震えている顔を見て、何も言えなくなる。
奈々は腕を引き、翠を扉の方へ促す。
しぼんだ声が背中に突き刺さる。
翠は振り返ろうとしたが、奈々が軽く首を振った。
残された病室。
あなたの下の名前は顔を枕に埋め、声を殺して泣いていた。
震える肩を抑えようとしても止まらず、点滴の管が揺れる。
翠は腕を組み、今にも泣き出しそうな顔で奈々を見ていた。
翠はぐっと唇を噛んだ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。