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第6話

第五話〜裏ノリの裏側〜
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2025/08/11 01:18 更新
放課後、六奏耀家のリビングはやけに静かだった

母は買い物、父は仕事

他の義弟たちは友達と遊びに行っていて

家にいるのはらんと那津だけ

らんはテーブルで課題をしていた

静けさに集中できると思っていたが

二階から足音が降りてくる

姿を現した那津は、袋を片手にソファへ腰を下ろした
六奏耀那津
……何してんの?
桃乃らん
課題
六奏耀那津
へぇ、真面目くんだな
那津は袋からコンビニのクレープを取り出し

包装を剥ぎながらじっとらんを見ている

何か言いたげだ
六奏耀那津
食う?
桃乃らん
……いいの?
六奏耀那津
冗談。俺の
にやりと笑い、ひと口大きくかじった

らんは小さく息を吐き、再びノートに視線を落とす

だが、那津の視線は消えない
六奏耀那津
なぁ、学校であんま俺らと話しかけんなよ
桃乃らん
……なんで
六奏耀那津
空気壊すから
淡々とした言葉

その裏に、からかうような軽さが混じっている
六奏耀那津
別に、友達じゃないしな。義理だろ、家族って
わざとらしく笑いながら

那津は残りのクレープを食べきった


らんはペンを握る手に力を込めた

喉の奥に言葉が引っかかるが、結局、何も返せない


立ち上がった那津は

ゴミをテーブルに置いたまま二階へ戻ろうとする

途中で振り返り、少し声を低くして言った
六奏耀那津
……でも、嫌いじゃねぇよ。面白い奴ならな
階段を上がる足音が遠ざかる

らんは机の上のゴミを見つめ

さっきの言葉の意味を測りかねていた

 ——試されている

そんな直感だけが、胸の奥に残った

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