第108話

episode107,
544
2024/12/30 22:00 更新
ヒナ達は、めめんともりの領域の歪を触り、電車の中に戻ってくると、揺られながら自分達がいつも学校に行く際に降りる駅に行くために、電車から降り、反対側まで急いで向かう。
ヒナ
こっち!付いてきて!
菓子
分かった…!
ヒナと菓子が先導し、茶子とLatteは後ろから追いかける。階段を登って、改札を通り過ぎ、反対側の電車に乗り込むと、丁度プシューと音を立てて電車が閉まる。
茶子
何とか、間に合ったみたいですね…!
菓子
ええ…ちょっと安心…
茶子と菓子は胸を撫でおろす。Latteは扉にもたれると、腕を組んで下を向く。今、こうしている間にもめめんともりやウパパロン達が戦っていると思うと、不安は消えない。
ヒナ
で、駅から出たら───
菓子
あぁ、そういう経路で───
ヒナと菓子は降りた後の話をしている。あまり耳に入ってこないし、先導するのは2人。あくまでLatteは3人を護るのが仕事。そう思って、反対側の扉の方まで行く。
すると、茶子も一緒に反対側の扉まで来た。
茶子
Latteさん、大丈夫ですか?
Latte
…大丈夫ですよ。それより、茶子さんはヒナさんや菓子さんと話して来なくて良いんですか?
茶子
………良いんですよ、あの子達とは
茶子はそう言うと、下を向く。何かあるのかと思い、Latteは茶子の顔を覗く。
















が、その前に目に入ったのは、茶子のドロドロに溶けた手だった。
Latte
ぇ………
茶子
あーー…ごめんなさい。見せるというか、バレるつもりはなかったんですが…
茶子は服の袖を伸ばして、その手を見えないようにした。「これで証拠隠滅」とでも言いたげの顔をする彼女に、Latteは直球で言った。
Latte
…何が、あったんですか
茶子
…少し長くなりますけど、良いですか?
Latte
遠い過去の話ですか?
茶子
いいえ─────

















































茶子
遠い菓子過去の話ですよ
そもそも、妖怪を作るということは容易では無い。妖怪とは、自然から生まれ、自然から死んでいくという理を崩す事はあってはならない。
茶子
…私は、あのももんとめりという妖怪に作られたんですよ
Latte
…アイツに?
従順だったのだろう。彼女に。逆らったら何されるのか分からなかったから。そんな事を考えていると、八幡宮のように心を詠んだのかのような返答が茶子から返ってきた。
茶子
はい。でも、私は別にあの人を憎むと言う程憎んではいません
茶子
…だって、あの人がいなかったら、『私』も、菓子ちゃんは生まれなかった
そう言う茶子の言葉には納得がいった。確かに、茶子も菓子も此処に存在していなかったと思うと、恐ろしくもなる。

茶子
私はね、Latteさん───
茶子
大勢の妖怪の魂が無理矢理一纏めにこねられて作られた存在なんです!
茶子
つまり、私は死体の山から出てきた鼠って事ですよ
そう言って茶子はいつもと同じ用に笑う。その笑顔の張り付け感は、否める事など出来ず、Latteは絶句する。
Latte
…茶子さ───
茶子
つまり、私は茶子でありながら、『茶子』じゃ無いんです
茶子
正確に言えば、その何十個の魂の中で1番『茶子』という妖怪の魂が精神構築に反映された…というのが正しいかもですねー
Latte
………
分かりやすく言えば、例えばiemonが死に、その魂と他の魂が無理矢理一纏めにされた時、他の魂達は精神が消えて無くなるが、iemonの精神だけは他の魂より大きく残っている、と言うことだろう。
そこから作られた身体に『精神』が作られる場合、iemonの精神を模倣してつくられている。と言う事になる。
その者は、iemonそっくりだが、iemonでは無い。
本物のiemonは、何処にもいなくなってしまう。
茶子
『茶子』には心残りがありましてね
茶子
「双子の妹に、誰よりも幸せに生きてほしい」っていう夢物語みたいな心残りがあったんですよ
Latte
…夢物語かどうかは置いておいても、中々に難しい願いですね
茶子
Latteさんもそう思いますよね?
茶子はLatteに笑いかけると、何でも無さそうな顔をして話を続ける。
茶子
でも…気付いちゃったんです
茶子
『私』の身体の中には、茶子の妹の『菓子』の魂もある事に
Latte
……………

茶子
だから、私は幸い猫又。魂を集めるのは容易です
茶子
『茶子』の記憶を頼りに茶子が目に鮮明に焼き付けていた『菓子』の姿そっくりの人形を作って、私の身体にあった『菓子』の魂を、その人形に移しました
茶子
それで、あそこにいる『菓子』ちゃんの完成って訳です!
そう茶子は笑う。電車が揺れ、少しバランスを崩す茶子だったが、すぐに体制を戻してニコニコ笑う。
Latte
…そういう事ですか









茶子
…でも、たまに自分が自分なのか分からなくなるんです
茶子はか細い声で言う。自分自らが【『茶子』の模倣品】と分かっている事は生きる上で最も辛い事であろう。
Latte
…菓子さんには、言ってないんですか?
茶子
まさか!言う訳無いでしょう?そうしたら菓子ちゃんを生き返らせた意味が無いですから
茶子は笑いながら答える。Latteはヒナと楽しそうに話す菓子を見る。確かに、あの様子ではわかっていないと思う。
生きている上で、知らない方が良い事も沢山ある。むしろ、そういった事柄の方がずっと多いだろう。
茶子
……Latteさん
Latte
何ですか?
茶子
…『私』は、『茶子』に、なれてますか?
茶子
ちゃんと、『菓子』ちゃんの、おねえちゃんに、なれてますか?
Latte
……………
その消え入りそうな声が鼓膜を振動させる。Latteは茶子の顔を一度見ると、菓子の方を見て、言った。

















































Latte
良いんじゃないですか?《茶子》さんは《茶子》さんで
Latte
生きている以上、生きていく以外の道はありませんから
Latte
それをどうやって有効活用するか、これから決めていけば良いと思いますよ
Latte
…私も、まだ探せてませんから。一緒に探しませんか?
茶子
………私は、私………







茶子
そう、かも…しれませんね…
茶子の顔を、Latteは見なかった。
どんな顔をしているのかは、予想が出来たから。
ヒナ
二人共ー!もう降りるよー!
ヒナの声が聞こえ「分かりましたー!」とLatteは返事する。ヒナの方へ茶子とLatteは一緒に歩く。
菓子
………茶子。どうしたの?下向いて
茶子
………いや…いやっ
茶子
何でもないよ!

菓子
…そういえば、さっき何か話してたみたいだけど、何を話してたの?
茶子
ふふふ、それは───



























茶子
もう少し大人になってから、教えてあげる
今年も1年、ありがとうございました!
皆様良いお年をお過ごし下さい✨

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