ヒナ達は、めめんともりの領域の歪を触り、電車の中に戻ってくると、揺られながら自分達がいつも学校に行く際に降りる駅に行くために、電車から降り、反対側まで急いで向かう。
ヒナと菓子が先導し、茶子とLatteは後ろから追いかける。階段を登って、改札を通り過ぎ、反対側の電車に乗り込むと、丁度プシューと音を立てて電車が閉まる。
茶子と菓子は胸を撫でおろす。Latteは扉にもたれると、腕を組んで下を向く。今、こうしている間にもめめんともりやウパパロン達が戦っていると思うと、不安は消えない。
ヒナと菓子は降りた後の話をしている。あまり耳に入ってこないし、先導するのは2人。あくまでLatteは3人を護るのが仕事。そう思って、反対側の扉の方まで行く。
すると、茶子も一緒に反対側の扉まで来た。
茶子はそう言うと、下を向く。何かあるのかと思い、Latteは茶子の顔を覗く。
が、その前に目に入ったのは、茶子のドロドロに溶けた手だった。
茶子は服の袖を伸ばして、その手を見えないようにした。「これで証拠隠滅」とでも言いたげの顔をする彼女に、Latteは直球で言った。
そもそも、妖怪を作るということは容易では無い。妖怪とは、自然から生まれ、自然から死んでいくという理を崩す事はあってはならない。

従順だったのだろう。彼女に。逆らったら何されるのか分からなかったから。そんな事を考えていると、八幡宮のように心を詠んだのかのような返答が茶子から返ってきた。
そう言う茶子の言葉には納得がいった。確かに、茶子も菓子も此処に存在していなかったと思うと、恐ろしくもなる。
そう言って茶子はいつもと同じ用に笑う。その笑顔の張り付け感は、否める事など出来ず、Latteは絶句する。
分かりやすく言えば、例えばiemonが死に、その魂と他の魂が無理矢理一纏めにされた時、他の魂達は精神が消えて無くなるが、iemonの精神だけは他の魂より大きく残っている、と言うことだろう。
そこから作られた身体に『精神』が作られる場合、iemonの精神を模倣してつくられている。と言う事になる。
その者は、iemonそっくりだが、iemonでは無い。
本物のiemonは、何処にもいなくなってしまう。
茶子はLatteに笑いかけると、何でも無さそうな顔をして話を続ける。
そう茶子は笑う。電車が揺れ、少しバランスを崩す茶子だったが、すぐに体制を戻してニコニコ笑う。
茶子はか細い声で言う。自分自らが【『茶子』の模倣品】と分かっている事は生きる上で最も辛い事であろう。
茶子は笑いながら答える。Latteはヒナと楽しそうに話す菓子を見る。確かに、あの様子ではわかっていないと思う。
生きている上で、知らない方が良い事も沢山ある。むしろ、そういった事柄の方がずっと多いだろう。
その消え入りそうな声が鼓膜を振動させる。Latteは茶子の顔を一度見ると、菓子の方を見て、言った。
茶子の顔を、Latteは見なかった。
どんな顔をしているのかは、予想が出来たから。
ヒナの声が聞こえ「分かりましたー!」とLatteは返事する。ヒナの方へ茶子とLatteは一緒に歩く。
今年も1年、ありがとうございました!
皆様良いお年をお過ごし下さい✨













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。