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アテンション
めちゃくちゃ自己満なので読みにくいかもしれません。
初心者小説です。本当に。
なんでも許せる方のみお進み下さい。
一応明確的に千空落ちなので、そこだけ安心してください!
とはいえ、先に言っておくんですけど
⚠️この1話だけ載せてあとはこちらで完結するまでまで載せないつもりなので注意です⚠️
自我:Dr.STONE最高!出会えてよかった。
「ゔわああああ!!えええ!!?」
いきなり緑色の光が襲ってきて、わけも分からず叫び声をあげることしか出来ない。
だんだんと腕が石になっていく。
「おあああ!!??!」
読む読むと言いつつ全然手をつけられなかった27冊(+その他2冊)の漫画のうち、20冊まで読み終えた頃だった。
「まっ、まだ外伝読んでないのにぃ!!!」
私はその漫画たちを覆うようにして石化をとげた。
しかしこの格好は後に石化時の最適耐性とも言えるようになる。
なぜなら、この先3700年人類は石化するのだから。
私は起きていた、意識がはっきりしていた。
というより、意識を途切れさせることがむしろ出来なかった。
(うわああああ、一体どういうことなんだよコレぇぇ!!!)
突如石化したことよりも先に、私は気になることがあった。
それは
(なんで石化光線がリアルに存在すんの!!?やばい……!Dr.STONEは未来の話を書いた予言書だったってこと…!?)
そう、やはり石化光線。
馬鹿げた妄想を繰り広げてしまうくらいには混乱しているが仕方ない、読んでいた漫画こそDr.STONEだったのだから。
まあでも、今となっては馬鹿げた妄想でも無いか。
(パターンはいくつかある……てか何通りもある…!!)
その1
先程言ったように、ドクスト未来予言諸説
確かめるすべはこの石化が解けてからじゃないと分からない。
その2
私がドクストにトリップした説
有り得ねー笑3次元から2次元に飛ぶとか夢物語か!
その3
むしろドクストの世界がこっちに干渉した逆トリ説。その2同様ありえない。
いやでも2も3も石化光線が降り注いで実際こうなってる今逆に否定するのが難しい。
その4
私だけが石化?というか幻覚を見ている説
これが一番リアルだ。
なにか病気に襲われたとかで、さっきまで見てたドクストの漫画に影響されて石化とか思い込んでる、いわば植物状態的な。
その5
死んだ後に残る意識説
まあこれが一番謎説ではあるんだけど、こうも真っ暗闇でなんにも感じないとそれ説が浮上してくるのは当たり前。ただ、信ぴょう性は低め。
その6
夢説
まあこれも現実的
でもなんなんだよこの夢!って感じだよね
とりま夢から覚めろ~とか唸ってみたけど何にもならないから信ぴょう性は低いね。
ま、色々考えても無駄だから、これらの説を踏まえた上での石化が溶けた時のシュミレーションでもしておくか~という結論に至った。
まずいちばん現実的な説からのシュミレーションをやっていく。
現実的に起こることなら大抵は「対処可能」か「もうダメ」の二択だ。
まずは植物状態説な
私の場合多分非外傷性タイプだから、まー回復の見込みはないカナ。
はい、「もうダメ」通りまーす。今世は諦めた方が吉。これの検証結果は100年経たないと分からないので保留!奇跡的に起きれたところで、植物状態からの回復っていわゆる目を動かせたり少しの意思疎通程度だからね。そもそも詰んでる
どの説も現実的とか言ってられない。
死んだ後に残る意識説
これなぁ〜、あんまり考えないようにしたいなぁ
怖いし。ということでドクストの漫画が未来予言書説と自分トリップ説、逆トリ説
この逆トリ説は証明出来るものが無いのでトリ説と一緒くたにする。
ま、あと100年後くらいに判明するので気長に待つことにしよう!
(というかその100年で意識が切れちゃう可能性あるしなぁ。そしたら結局どうだったのか3700年後のもしかしたら千空達がいる世界線で人類石化解除液かけてもらうまで真相はわからなくなるし)
そもそもこの意識が途切れた時点で、私という存在が闇の中に消えてしまう可能性だってある。
うーん、この話はやめておこう。
とりあえず意識を保ち続ければいいだけだしな。
話を知っているからこそ考えられることもあるって事で落ち着いた。
とはいえ、不思議なことに私の意識は落ちるどころか覚醒し続けていた(というより寝れないという方が近い)
ということでお得意の妄想大会がやって参る。
今は石化中ということなので、それにちなんでドクスト妄想をしていく。
転生した系の夢主や世界に元からいるタイプの夢主、成り代わり夢主など。
色々妄想を繰り広げ色んなエンドを作り出しn年後
人間の寿命はだいたい100年くらいだ。
(体感100年くらいだけどまだ意識あるな。うーん、これは3700年ルートだね~)
ということでここからは、ドクスト未来予言書説をベースと考え石化解除したあとのシュミレーションを取っていこうと思うぞ!
あと3600年もあるのだ、生きる術オリジナルでも考えまくって備えるぞ!
私は生態学に割と詳しいし、普通よか死ににくいはずだ。
あ、これゼミで習ったところだ!的なノリで対処できたらええな。
たまに答えがわからず今すぐ実践で試してぇ~!って時もありつつこの3600年を有意義につかいまくる。
(あーーーー、今何年目?もうわかんない。体感1500年くらいなんだけど)※1500年で合っている
この1500年有意義に使いまくって、シュミレーションを何度も何度も繰り返した。
というか繰り返しすぎて飽き飽きしてきた頃だ。
色んなパターン予測してそれによって対処の仕方を変えて……。
一つ500回くらいは繰り返しシュミレーションを行ったと思う。
石化解けた時サバイバルのプロになるよ???いや、いざその困難達と対峙するってなったら動けなくなるって可能性も無きにしも非ずだけどさ!
そのために何度もおなじことシュミレーションしてんでしょって話だけど。
(よし、次はドクストの世界線ていでシュミレーション組み直すか!)
と意気込んで1500年後
(長い、長すぎる。えーーー、体感3000年んんあと700年で真相がはっきりするとはいえ長すぎる〜)
あと700年、ドクスト脳内で見返して復習でもすっか。
700年も…いやしかし、いつも思い浮かべるのは最悪の状態から。備えあれば何とやらとは言うが、これは私のモットーな訳で……
暇すぎてやることがこれからに向けてのそれしかない。
そうして思考し続け(というか思考が途切れることがない)とうとう700年程経った。
(そんで、狩った獣から肉を剥いで、そのまま使うと確実に腐るし臭くなるし…確か煙?それで腐食が避けれるってドクストで見たんだよなー……火を起こしてそれで獣くささもなくなって一石二鳥ってわけね~)
楽勝楽勝~どんだけシュミレーションしたと思ってんの~
なんて脳内笑顔で話していれば
パキ…
音が聞こえた
(…っ!!!これ!!これ!!!やばい!!!!3700年も待ち焦がれてきた理想がとうとう現実に!!?久しぶりの音ヤベーーー!!!!)
ということは、ドクスト未来予言書説かトリップ逆トリ説は予想的中したというわけだ。
岩が剥がれ落ちる音と感覚に興奮しないわけが無い
こちとら全部知っててこの瞬間を何よりも待ち望んでいたのだから
バキバキバキ……ッ!
「アアアアアアア!!!!!外だァァァァァ!!!!」
ヒャッホー!と大興奮隠しきれず全裸で跳びアガる
「っと、やべ。まず石化が剥がれた時周囲観察静かにを計画してたのにあまりの興奮に…」
この先やっていけるのか心配になるスタートダッシュだった。
周りに猛獣などはいないため、見ないことにした。
「まずは服だな、葛とか藤があればいいんだけどなあ」
辺りを見回すと茎が長めの植物がそこらじゅうに生えていた。
「ラッキー」
よし、数日はほぼ全裸で過ごすこと視野に入れつつ大量にぶち抜くと川がある方へ、当たりを観察しながら向かった。
何となくで進んでいくと、川が見えた。
「うおおお、さすが私の知恵!頼りになるゥ!」
早速引っこ抜いてきた葉っぱたちを川へ浸からせ4時間ほど放置した。
「ま、全裸で狩とかしたくないしな」
とはいえこの川、かなり魚が豊富なので問題はないのだが、一応ね尊厳というかプライドというかが私にもありますから…
しなしなになったそれの茎を剥いで繊維を露出させていく。
「いいねぇ、君たち~」
3700年ずっと思考の中で独り言を言っていたせいで勝手に声が漏れてしまう。
とりあえずその作業を何回も繰り返し、繊維だけを取り出してこねこねこねこね…
腱鞘炎になりそうとかは今は考えない、それより衣服だ!!!
全裸マッパでこねこねし始めてから2時間ほどで割と長い糸が完成した。
「よしゃー、編みますか、」
どうやって編むかとかもう適当
とりあえず、今回の糸は4時間しか浸していないからかなり硬い。
これはもうとりあえずの衣服
いや、服というより肌を隠すための道具!
完璧な衣服を作るためには浸す工程を1ヶ月程やらないといけないのだ。
「クゥゥ~、がしかし!私も千空みたいな服作るために頑張るぞ!」
ガチで!!!
と、意気込んでから数日
魚取る才能なくてそこら辺の植物で食を何とかしている。
「あーーー、衣服より先に籠作るかーーーー」
ゴワゴワな服も飽きてきたけどなぁ、とまたそこら辺でぶち抜いた茎の長い植物を水に浸し始める。
「うどん食いてぇ~」
そんな切実な願いを孤独に発しながら
2週間後
「やっっっと魚取れたあああ!!!」
やったやったやった!とはしゃぎながら早速締める
そして煙で微生物やらを殺してから焼いていただく!!
「あああああうめぇ…」
火は作っておいた火おこし器具を使った。
初めてにしちゃ上出来じゃない?さすが、3700年もシュミレーションしたかいがあったよね~
今のところ野生動物にははち会ってないし、ここら辺は動物が少ない地帯なのだろうか。
「あの草たちはめちゃくちゃしなしなになっているなぁ、ま、あと2週間だけど」
2週間前に水にぶち込んだ草たち、もうクッタクタ
あと半分頑張れ!!
魚生活を初めてからパワーがみなぎってきた。
最高だ!この服がもっと綺麗であればもっと最高だった。
ゴワゴワすぎる、穴をできるだけなくそうと心がけた結果がガッチガチの防護服。
下何も着てないし履いてないし。
とりあえず、獣皮も必要だなと思い始めてきたので死体でも探すためにとうとう、森深くまで入ることにした。
準備は万端だ
石を削って槍にしたものと、弓矢を作って頑張って練習したりした。糸?あるでしょあんなに沢山(なんなら弓の糸は加工無し植物の茎でも良い)
ということで、まあ一番いいのは死んでから間もない動物なんだけどそんな都合いいことあるわけないので槍と弓を構えますわよ!
「む!あそこに見えるは……!狐ではないか!?」(小声)
すぐさま近づいて弓を構える。
「あ?……し、死んでる…」
しかもまだハエもたかっていない新品の死体(新品の死体とは)
「ラッキーだぜ!」
ほかの獣に取られないうちに回収して今拠点にしている場所へ戻った。
あ、そうだ。頑張って小さい家を建てたぞ!
木の枝とか葉っぱを組み合わせてな!
雨とか降ったら風邪ひくの確定だし、無いとね!
早速下処理に取り掛かる。
「まずは皮を剥いで……うう、グロ……」
魚の解体で慣れたと思ってはいたけどやっぱり獣は別物だった。体の作りが魚よりも人間に近いので、薄目で作業する。
なるべく匂いなどを残さないよう川近くで作業した。
次に腐食を避けるために煙を使う。これで匂いも消せるしな!
血肉の匂いより煙の匂いの方がまだマシ。
長時間放置している間に糸用の植物繊維を取っていくう!備えあればモットーで大量に浸していたのが役に立つぜ!
やはり備えあれば憂いなし!それこそ正義!
コネコネ数時間やっていれば、獣皮もいい感じになってきた。
「よーし、まずは毛をいい感じに剃っていこう」
こんなに毛は無くてもいい、動きにくいし今は寒くないし。
この時の私は、もう完全にドクスト未来予言書説を推していた。なので世界で自分だけしかいない前提で考えていた。
どうしようと後先考えるのは、ちゃんと生活できるようになってからにしようと後回しにしている。一種の現実逃避ではあった。
「よしゃー!完成したぞ!!!」
まともな衣服!ゲット!!!
割と可愛い外の触り心地も悪くないし耐久性や防護力も期待できる。
これでようやっと、今まで使っていた4時間縄防護服を脱ぎ捨て去ることができる!
とはいえ愛着は湧いているので仮家に保存。
格段に動きやすくなって、狩りもできるようになったころ。
「やっと、この時が来た……」
川に放置していた草たちを引き上げる。
大量だぜ……だがこれくらい必要なのだ…
そう言って表面を剥がし、露出した繊維をコネコネ
これを集中して何時間やっていただろうか。
永遠に編み編みを繰り返しようやく
「で、出来た…!!!え!初めてでこれはやばくね!?」
という感想が出てしまうほどにクオリティの高い服が出来上がった。
もう服といっても過言じゃないマジで。
なんなら短パンまで作った、そして少し小さいがマントまで作った。
早速着替えると着心地はパサパサだけど、3700年前の衣服を思い出して感動した。
「最高かよ……」
獣服よりも軽いし、動きやすいし。最高以外の何物でもない。
自分で作った服というのも相まってお涙頂戴しまくりだぜ…。
まだまだ全然余っている糸で、袋とか作って腰にかければもうこれは…
「ふう〜⤴︎⤴ストーンワールド〜⤴︎⤴」
よっしゃーじゃあ誰かいないか探しに行くか~
このストーンワールドに目覚めてから約1ヶ月。ようやく服をゲットした。
衣食住!ゲットしたぜ!でも住から離れるぜ!
数日分の魚と植物食料を持って(あとキツネ肉)早速人探し。と言っても、全然期待はしてないけど。
「はーあ、いるならすぐに見つかって欲しいなぁ」
とりま、ドクスト知識で川を下っていく。
川の近くには人がいやすいみたいなこと言ってたしな。なんでだろうな
水があるからか
少し休憩も挟みつつ歩き始めて早半日。
「ずっと考えてたけどさ〜、私が目覚めたってことはあの近くに天然硝酸生成場所があったってことでしょ?うーん、やっぱそっち行くべきだったかなぁ」
選択ミスったなぁとか独り言いいながら、足を止める。
今日はここで野宿かな~なんて思っていた矢先、
パキリ
「……ッ!」
即座に背負っていた弓を構える。
いや、当たるかどうかはまじで運次第なんだけどね!!?
(枝が折れた音の重さからして大体軽い動物…!でも隠れるような位置にいるってことは襲ってくる可能性もある獰猛類かも知れない……!)
うさぎか、犬猫か鳥か。鳥だとするとかなり大きい個体だから確実に獰猛類、犬猫も感染のリスクがあったりする。頼む、うさぎであってくれ!
いや、死ぬほどシュミレーションしまくったけどさ!!!
パキリパキリ…
だんだんこちらに向かってくる音がする。
やばいやばい、相手は一方的にこちらの姿が見えており多分、様子見されている。
ガサッ
「…ッ!」
身構えたのもつかの間。あいては何とも珍しい
「ふ、ふくろう…?」
とりあえず武器を下げて1歩横に移動すれば、水を飲みたかったのか川へ歩いてきた。
「梟って獰猛類だっけ…?」
至近距離なためなるべく動かないようにして静かにそこに座る。
とりあえず襲ってこないその様子に安堵し、腹が減って干し魚を取り出し食べ始めると、水を飲み終えた梟が何やら興味深げにこちらへ近づいて干し魚の匂いを嗅いできた。
「うおお、割と人懐こいのね。食べる?さかな」
メルヘンかおめーはみたいな会話をしながらまだ干していない魚を取り出して見せつければ、バクっと一口で食べ始めた
「フクロウって魚食うんだ。肉食系だし食うか」
この3600年で割と生態に変化がおこったのかもしれない。もしかしたら襲われる可能性もあったりする。
「えーっと、私はうまくないからね???」
フクロウさんに呟けば、魚もっとくれバリに、魚をしまっているカゴの中に顔を近づけ始めたため、あと2、3匹はくれてやった。
食べ終わったあと、満足したのかその場に座り込んで目を閉じるフクロウさん。
「おおお、ご飯くれる生き物認定されちゃったのか???もしもの時はフクロウさんに捕まって飛んで逃げれるかしら!」
なんつって!ひとり冗談かましつつ、自分も特に動く用事もないために一緒にそこでくつろいだ。
しかしすぐにまたパキリと音がする
今度はフクロウよりももっと重い音だ。
イノシシ…?もしくは鹿とか?人間の可能性もあるくらいの重さだ。でも違ったらどうする?一応槍を構え身を低くする。
フクロウも目を開けて音のした方を見据えている。
ただ、座っているから危険な獣ではない事が伺えた。
「森の仲間……?」
どうせ言葉が通じないフクロウに問いかける、帰ってきたのはやはり無言。
瞳には警戒の色が混じっているから同種では無いっぽい。
ガサガサと不規則な音が近づいてくる、でも今回は妙に安心している。
隣にいるフクロウさんが、慌てていないからだろうか。
「……人、か…?」
「……えっ」
自分以外の人の声に、言葉を失った。
しかもなんか聞いたことあるぞ、この声。3700年経っても忘れはしない。
姿を表したその人物は、特徴的な、白菜のような髪型をしている。
(せ、千空や…!!!!えええ!!?!!?ええええ!!!!!)
「人じゃねーか!ん?ワシミミズク、か…?」
「ヒィ、ヒィ!!ヒイイイ!」
あまりに驚きすぎて人の言葉を忘れてしまったようだ。
ということは、ということはだよ???
ここって、トリップor逆トリ説世界!?
やべぇ、やべえよこれは!!!!
「だ、大丈夫かよ。テメーも復活者か?」
「ハアハアハア、ふぇ、あわわわわ」
「落ち着け、深呼吸しろ深呼吸」
千空になだめられている私……
何この構図??人語喋れなくなっちゃった…
とりあえず千空が言ったように落ち着こう。
「お、おさ、お騒がせしましたハアアア」
「オー、テメー復活してからどのくらい経ってんだ?」
「1ヶ月くらいっす!自分以外に復活者いると思わなかった…!!!」
これはガチだ。ドクストと繋がるとは思わなくて、自分以外誰も起きていないことを想定した上で動いていた。
「1ヶ月でそのレベルの服作れんのかよ…。名前は?俺は千空だ、今ちーとばかしマンパワー足りてねーんだ。1人なら来ねえか」
「え!行きます!むしろ良いんすか!!?ヤバい!死ぬ確率が下がる!!あと名前は忘れました!!」
(3700年も経って自分の名前覚えてる方がおかしいんだワ!)
「ククク、合理的判断だな。んでそこのフクロウは?てめーの仲間か?」
未だに私の横でリラックスしたように座っているフクロウさん。
「このフクロウさんはうーん、さっき出会ったばっかなんですけどね。魚あげたら懐かれたみたいな…?フクロウさんも来ますか?」
私がそう問いかければ、フクロウさんは立ち上がって1回だけゆっくりと瞬きをした。
「決まりだな、んじゃ着いてこい、こっちだ」
千空が進む方向へついて行けば、フクロウさんも自然に着いてきた。
(か、可愛い…!えてか、てことはここって少なくともドクストが関わってるってこと?この世界???)
ヤバい、まじかよ!!!エグい!!
語彙力をどこへ置いてきたのやら。
着いた拠点には、既に大樹がおり時系列を分析し始める。
(なるほど、司が復活する前で大樹が復活したばっかりって所か)
「おお!誰なんだ!?この女の子は!!しかも鳥まで連れているぞ!!今日の晩飯か!?」
「うるせー、こいつも復活者だ。そんでフクロウを食うか食わねーかはこいつに聞け。つか、名前忘れたんだったよな」
「何ー!?名前を忘れてしまったのか!!!可哀想だな!つけてやろう!丸子とかどうだ!!!」
「すみません却下であとこのフクロウさんは食べちゃダメです…」
そう言うと、足元にフクロウさんは言葉を理解しているかのように私の足に頭を擦り寄せてきた。かわいいな
「却下かーー!なら花子はどうだー!」
「却下で……」
「ムウウ!難しいぞ!!」
「年頃の女子ってのは名前にまで好みがあんのかね」
「名前がないと不便だぞ!!」
「あははすみません。ですよねぇ、うーん…分かりました。とりあえずこのフクロウさんの名前は花で」
「おー!良かったな花!」
花単体なら可愛らしいしこのフクロウさんにも似合うなーとつけてみれば、嬉しそうに目を細めていた
「君の名前はどうするんだ?」
「そうッスね~」
「アサでいいんじゃねーか」
「なんでだ?千空!」
「その服、麻の繊維で作ってんだろ」
「そうなんですか?」
「…誰が作ったんだよ」
「私です!ただ記憶力には自信なくて…アサいいっすね!めっちゃ気に入りました!!」
「良かったなー!アサ!!!」
「テメーら元気だな…」
なにより、主人公の千空につけて貰えた名前で、しかも花と母音が同じなのも相まってかなりお気に入りとなった。
それからは千空と大樹の2人の生活に、私アサと相棒の花が自然と混ざり込めるようになった。
私の役割は、1ヶ月で繊維から服を作った手先の器用(というか理解力)を重視され土器とか、物作り担当だ。
大樹がとってきた食材を使って料理するのも私担当になった。とはいえ、1週間に2回は大樹と千空の手料理も食べれる訳だが。
(うふふ、キャラクターの手料理が食べれるって私どんだけの徳を積んだわけ……!?)
初めて手料理を頂いた時は目からウロコだった。
尊い、無くなるのが辛い、美味しい。
思わず涙がこぼれてしまい、千空と大樹に心配された。まともな飯(食べれるレベルの)が久しぶりだったのか?とか、辛いことがあったんだな!!とか。
優しいかよ…?不純な涙でごめん……
千空たちと出会って2週間ほどが経った頃。
千空が何やら、部屋の隅に置いていたツボに手を出した。
「お、そろそろなのか?」
「あ゙ぁ、そろそろだ。」
(ぶどう酒…ワインができるのか)
私は、そのワイン酒を制作する時にいなかったため、なんだどうしたという顔で覗き込む。
別のツボの上にざるを置いて、ワインのツボを上から傾ける。
紫色の綺麗な液体が流れ、ザルの上には潰れたぶどうが引っかかる。
「お酒の匂いだね」
「その通りだ」
お酒は苦手だが、鼻に残るあの味が受け付けない。それに良いより先にアレルギー症状が出るからそもそも飲めないのだ。(ワインは飲んだことないけど)
石化前……というか時系列は上手く分からないがとにかく、石化が解けると体が縮んでしまっていた!がリアルに起こっており何故か、2×歳から体感15?歳まで若返っていた。
確か石化前にキャラ情報を調べたところ、私は千空たちと同い年だったという記憶があるから、体年齢が時系列に合わせて過去に戻った感じなんだろうか。
まあ?とはいえ?3700年たった今、年齢なんて大したものではない。
3700にプラス2桁追加されただけだ。
てことは!酒は結局飲んでもいいということ!
作った茶器に注がれていくワインを眺める。
「おばあちゃんがワイン好きだったなー」
茶器を受け取りながら呟く、お酒は苦手な部類だけど千空と大樹が作ったやつだし全部飲ませていただくぜ!!!
ゴキュ……
ゴクッ!
ゴクリ…
「おお!思ったよりイケんじゃねーか、市販の約100億倍ヒデェがな」
「ワインってぶどうさえあればこんな簡単にできるものだとは…!」
「これが発酵酒…!でもあんまりお酒感は無いね」
ぶどうを潰してペットボトルに入れておくだけで3ヶ月ほど経てばワインの完成らしいぞ!
「蒸留してねぇからな、こっからはちーと骨が折れんぞ『はじめようワインの蒸留!!ブランデーの作り方』だ!」
蒸留酒にしたらいよいよちゃんと酔うお酒が出来上がるってわけか。
千空が言うにはメソポタミア文明でも土器で蒸留していたらしいから、今の石器時代文明でもできる所までできる!のだとか。
お酒ができることは知っていたけど、どういう経緯かまでは詳しく覚えていなかったので勉強になるぜ。
が、しかし沸騰途中、土器が熱に耐えられずバラバラと壊れてしまった。
「あら…もう少しいい形があったかな…?」
うーん、と唸りながら工夫に工夫を加えて再チャレンジ。
いくらかの失敗の末に、土器にはクリアした。
次は蒸留ブランデー作りだが…
「より濃度を高くしてなるべくエタノール増し増しの酒を作る」
どんだけエタノール入ってるかで勝負が決まるらしい。
だからワインよりブランデーなのか。
「しかし千空、あそこに生えているぶどうも無限ではないぞ!」
「あ゙ぁ、わーってる。」
「ぶどうが無くなるまでに成功するといいけど」
ぶどうの旬はだいたい7~10月。今何月かは知らないけどそろそろ肌寒くなり冬が始まりそうだった。
「冬備えに食料集めも必須だし、冬越えの為の衣服も作らなきゃだね」
作中ではどの動物を使って冬服を作っていたのかは知らないが、今回土器は服作りが得意な杠が居ない今時期。
イレギュラーの私が担っているのでね。
ああ、忙しい!
数時間、座り込んでチクチク…
「出来たーーーーァ冬越え用の衣服はクリアァ〜」
朧気な記憶の中の原作と同じ形の服にしたので、問題ないと思う。
「お疲れ様だな!ご飯できているぞ!」
「今日は大樹の当番か、お皿用意しまーす」
「ああ!用意し終わったら千空呼んでくれ!」
「おっす!」
棚から3人分の茶碗やら平皿、箸を取り出して机の上に並べた。
「もうすっかり家族みたいだな〜」
「ハッハッ!そうだな〜!」
「あはは、聞こえてた…呼んできマース」
脳内で呟いたつもりが声に出ていた、恥ずかしくなりながら下で作業している千空を呼ぶ。
「千空〜ご飯!出来たって!大樹の!」
「あ゙〜今行く」
でもこう言うやり取りも兄弟っぽいと思うんだ。
千空は先に食べてろっていうタイプかと思ったのだが、どうやら大樹が「飯は一緒に食おう!」と圧を押したので朝昼夜(例外はある)は必ずみんな揃ってご飯を食べる。
「いただきます!!」
「いただきマース」
「いただきます」
三者三葉のいただきますが飛び交って、ご飯を食べた。
食後、空になった茶碗を洗いに行くべくほか2人の茶碗も集めお盆に乗せる(これも土器)
「葉っぱ見がてら洗ってくるー」
「行ってら」
「気をつけるんだぞ!冬支度で色んな動物が出ているからな!」
「はーい、花、行くよー」
花に呼びかければご飯食べ終わって付近を観察していた顔をこちらへ向けて、飛んで近寄ってくる。
可愛いな〜でも結構怖いな〜近寄り方。
ちなみに葉っぱとは、私が石化から目覚めた時に作った服と同じやり方で、川に葉っぱ浸してクタクタにするあれだ。
冬だと通気性が良すぎるのが問題だけどないよりマシだからね。なるべく厚い素材にできる藤メインにした。
「あと1週間ってところか」
ツリーハウスの風よけくらいの役には立って欲しいなと一縷の望みをかける。
冷たい川に耐えながら皿を洗っていると、川の水を飲んでいた花が不意に顔を上げて茂みの方を凝視する。
「どうし…」
「ホッ」
「えっ、鳴い……」
普段全く鳴かない花が鳴いたことに驚いたが、それ以上に花の視線の先に腰が抜けるかと言うほど驚いた。
捕食者、この3700年経った時代の捕食者の王者ライオンが茂みから現れたからだ。
「ホ、ウゥ」
「は…っ、おち、フー……おちついて…」
口ではそういうが、私もだいぶ混乱している。
だがしかし、脳内で3700年もの間イメージトレーニングしてきたんだ。意外と冷静でいられる。
あれ、ていうかライオンがこの付近に現れるのって来年の春頃じゃなかったの???
なんで今いるの?やばい、まだ復活液もできていないのに。
今奴らが千空達の方に襲いになんか言ったりしたらそれこそ終わりだ。
一環の終わり、そして1巻で終わり(やかましい)(なんなら1話だし)
「ホゥ……」
花が静かに鳴いている、一種の警戒音であり私に危険を知らせてくれる音だ。
「と、とりまどうしよう?今千空たちに襲いかかられても困るから逆方向に退いてほしいが…」
と言っている間にもライオンは近づいてくる。
まるで様子を見るようにのそりのそりと、視線を逸らさずに。
「てかこの状況だと花がいちばんめに狙われるよな」
「……」
私の斜め前ら辺にいるから、余計に標的になりやすい。
でも花は飛んで逃げれるから、いざと言う時は投げ飛ばして退避させる。
冷静に分析しつつ、唸り声を上げてゆっくりと近づいてくるライオンをどうしようか頭をフル回転させる
シュミレーションした中のどれを実践しようか考える。ひとつでもミスればこの物語自体が終わりかねない。今ライオンが出てきたことに関しては後で考えるとしよう。
「グルル…グルルル」
「姿勢を低く…敵意がないことを伝えつつ動かない…」
無駄な刺激はしない、私みたいな人間を見るのが初めてだろうからライオンも様子見をしている。ただ1つの救いは1匹だってこと。
助かる可能性も上がるわけ。
川側に追い込まれることだけは避けたい。
ゆっくりと慎重に、森側に背を向ける。
「ヴゥゥ…」
「初めて見るから怖いよな〜…、悪い生き物じゃないよ〜安心してなぁ……」
とか意味の無いことを小さい声で呟きつつ、万が一に備えて戦闘態勢。
地形を確認して逃走ルートを計算する。
(ライオンの視線の先はあからさまに花、なら私に視線を向けるまで)
わざとを音を立てながら1歩横にずれて、ライオンの視線を私に向ける。
「そう、そのまま私を見ろ」
視線を一切逸らさず、ライオンの、目の奥の奥を見据える。
一瞬ライオンがたじろいだ気がした。
緊張が漂う中横からバササっと羽音がする。
(…!獲物は1人ではないことを伝えて混乱させるのか……!ナイス花!)
さすがフクロウだ、頭がいいことは知っていたがここまでとは…
ライオンの視線は私と花を行ったり来たりしており、完全に動揺していることが伺える。
1匹の狩で複数獲物は不利だ、しかも種族が違うしどちらとも頭が切れる。
「……花、森の方にゆっくり下がって」
「ホロ…、……ホ」
私は逆にライオンに近づきつつ川の方へと慎重に後退りをする。さあ、どう出る?
「グルル…ヴゥ…」
ライオンの視線は私とフクロウを行き来し、ピタリと止まった。
「!!」
花の方に視線を定めたのだ。こいつ、頭がキレる。
そのまま走り出しそうな体勢にはいり、私はやむなく叫んだ。
「やめろ!!!!」
腕を広げて威嚇の行動を取り、花から意識を逸らす。完全にこちらに標的が向くだろうが良い。
しかし
「グルル、ぐる……ギャウギャォウ…っ」
ライオンはなにかに怯えるように耳を伏せて吠えだした。
「……?」
そしてそのまま何回か吠えたかと思うと、その場を走り去ってしまった。
「…え?なんか、助かったの???なんで?」
とりあえず一刻も早くその場から去りたくて、洗い終わっていた皿達をお盆にのせると、花とダッシュでツリーハウスへ戻った。
「おー、おかえり」
「ただい…はぁッ」
「!?ど、どーした!?」
「いや…さっき、ハァ〜〜…ッ」
ツリーハウスに着いた時、もう大丈夫だという安心からドッと汗が吹き出しその場にヘタリと座り込んだ。
作業していた千空はその様子の私を見るなり、驚いて駆け寄ってくれた。
「落ち着け、川?川がどうした、藤の葉がなんかあったのか?」
「藤の葉は何ともなかった…、川辺でライオンが出たんよ…」
「……ライオン!?最近猿ども見かけねぇと思ったら…、つかテメーよく無事だったな!?」
「ちょっとなんで無事なのかわかんない…叫んじゃったもん…、でもびっくりしたのかな?走り去ってくれた……あーーー……」
「あ゙ーとりあえず休め、ライオンのことァ…まあ、大樹と相談しとく」
「ありがと〜…」
そのまま手を貸して、私をツリーハウスまで連れていってくれた。
「ん、水だ」
「ありがとう…」
一気に飲み干し乾ききった喉を潤す。
汗以外の体液は止まったが、今度は手の震えが出てきた
おお、急性ストレス反応だね(ゼノ風)
3700年もの間シュミレーションやイメトレにかかせなかったとはいえ、体の反応は正直だ。
「今日はもう休んどけ、俺もここで作業する」
「千空が優しい🥺ありがとう……」
「テメーは俺をなんだと…まーいい」
いちど下に行き、色々と持って戻ってきた千空。
床にドサッと広げると黙って作業を開始した。
(数ヶ月先だけど、千空と大樹もライオンにはちあうんよなぁ…よくストレス障害にならんな…)
もう割り切っているのだろうか、こういうトラブルがあることを想定して生きているのだろうか。
強いな、まだ齢15の子供がいきなり精神的に強くなっていいものだろうか。
壁に寄りかかりながら作業中の千空を見る、横顔はまだまだ子供だ。
(でも中身はもう既に大人に片足踏み入れてる)
まだ年相応の顔したっていいのに。
「……手の震え止まったらテメーもやるか?」
「ぁえ?」
「見すぎだ、落ち着かねー」
「こ、これは失敬、ではやらせていただきます」
「クク…、なんだそれ」
(あーそうそう、そういう顔)
笑った横顔は文字通り、年相応の表情だった。
だいぶ心身的に楽になり、千空から作業具を頂いて参加させてもらった。
見よう見まねで何を作っているかも分からないものをクラフトしていく。
草をすり潰して、煮出す。それだけ
「?これなに作ってるの?」
細かい葉っぱなどをワインを作った時同様に、ザルを通して分けながら聞く。
「栄養剤だ、冬場は特に食糧不足に陥っかんな。」
「おぉ、栄養剤ってことはビタミンでも入ってるの?」
「あ゙ぁ、ビタミンCな。他にもα-ピネン、リモネン、クロロフィルなんかが入ってて今のテメーにもピッタリのシロモンだ」
ちょっと何を言ってるのかさっぱりで目を白黒させる。
なに?アルファ、え?リモコン?クロム?なんて??
「ま、要は栄養補給に免疫補助、精神安定までしてくれる松様様ってやつな。とりま飲め」
「あ、うん」
なんか別に美味しい味しなさそうだなと思いながらも意を決して。
ゴクリ…ッ
「うーん無味」
「だろーな。」
でも暖かいからか少しだけほっとする。
千空が作業している(今度はなにか編んでる)間も、ちびちびと松茶(?)を飲んだ。
ちょっと草っぽい味がして悪くないな。
精神安定とかいってたからさっきのライオンのやつ、気にしてくれたんだと思って心がポカポカした。
それから夕方になるまでずっと同じ空間に居てくれた(やば!惚れるぞ!)
大樹が帰ってきてすぐ千空は大樹となにやら話し込み。
(多方さっきの私がライオンとはちあった話だろうけど)
それなら当事者の私を呼んでもいいと思うけど、まあ
トラウマがあるかもしれない人間を、当時の話に引き込むなんて出来やしないだろう。
だが一人でいると少しソワソワしてしまうので、花は大丈夫か様子を見ることにした。
「花ー」
呼びかければすぐに飛んで近寄ってくれた。
うーん可愛いねぇ
「大丈夫だったかぁ」
触れる許可を貰い頭を優しくでながら、さっきは出来なかった検査をしてみる。
瞳孔は開いてない大丈夫、息も荒くない。
心音は…いつもより少し早いけど問題は無さそうな範囲だ。
「大丈夫だね」
出会った時のように干し魚を1匹くれてやる、これはたまにやるコミュニケーションの1つ。
躊躇なく食べる姿に、信頼されているなぁなんて少しほっこりする。
花が食べている姿をしゃがんで見守っていれば、後ろからうおおおお!と雄叫びが聞こえてきた。
十中八九大樹のものだと察し、また何か叫ぶようなことがあったのだろうか?と振り向けばズンズンこちらへ近寄ってくる
「!?」
「アサアアアア!!!無事かアアアア」
「は!?あ!?」
肩をがっしり捕まれ揺さぶられる、ちょま、お前それやめ……
「デカブツテメー少しは考えろ、急激にストレスかかった身だぞ。あんま揺さぶると……」
「う、…うっ、」
「アサ?!」
「は、吐く…」
「言わんこっちゃねぇ」
スっと差し出されたツボを急いで受け取って、食事中の花から少し離れたところで胃の中のもの全部戻した。
「す、すまんん…!」
「だいじょうぶ…、心配してくれてのことだしへ…」
「無理すんなよ」
思った以上に心身に来ているなぁと他人事のように思いつつ
「もうすぐで冬だし、ライオンたちも冬ごもりするでしょ…」
「だといいが……」
暫くはライオンが出た川付近をうろつくときは、必ず2人以上の時に行くことをルールにその話は終わった。
どうせ今の石器文明状態ならできること少ないしな。
人も少ねぇし
夜
「おやすみ〜」
「ああ、おやすみ!なんかあったら言うんだぞ!」
「おやすみ」
「ありがとう〜」
一応男女なので寝る場所はわけてある。とはいえ布1枚挟んだだけなのだが。(これ以上部屋増やす労力とか……)
あんなことがあったし眠れないかなと心配していたが、割とすんなり眠りに入ることができた。
が、問題はその後だった
『グルルル……ガルゥ、ガヴゥ!!』
昼間の川辺で、遭遇した猛獣が這いつくばって、しきりに何かを食べている。
目を細めてよく見てみれば、見慣れた白斑模様の身体が見えた。
「ヒュッ…」
その瞬間、息が止まる
『ま、まて…これはあれだ、昼間のあのシーンをダメだった時の再現で…ッ、クソ嫌な夢見させやがる…!』
冷静に分析しつつ、でもその状況は胸糞が悪い。
その猛獣に貪られている時だけ無惨に小さく揺れる花の体がやけにリアルだ。
猛獣はこちらに気づいたように振り返る、べろりと口の周りの血を舐めて次はお前だと言わんばかりのギラついた目をさせている。
でも私の目に映るのは、食い散らかされた花の
「……ッ、ハァッ、はーーーーー…ぁーーーー。」
酷い寝汗をかきながら起き上がる。
「割と精神的に来てんのかなぁ」
花には基本小屋とかはなく、いつでも自由行動出来るように放し*飼い状態にしている。
*別に飼ってるわけじゃないけど
ハウスを飛び出して、花を探す。
当たりを見回せばすぐにそこの木に止まって居た。
私の足音に気がついていたのか頭だけを向けこちらの様子を伺っている。
ちゃんと生きている花にホッと安心して近寄った。
「はぁー…よかった…。はなへいき…?」
私がそう花に問いかければ、羽音を一切させずにこちらへ降り立つ。そして無事だとでも言うように軽い毛繕いをする。
「クフフ……、そう」
冬がもう少しで始まりそうな肌寒い空気。
でも花から離れて眠る気にはなれず、そのまま少し大きな体に身を寄せた。
「そろそろ…花用に寒さ凌げる場所作らないとね……」
見た夢のことを忘れるように頭を預けて再び眠りについた。
──────
「…サ…、……ァサ…アサ!」
「んぉっ」
「こんな所で寝ては風邪をひいてしまうぞ!寝相が…?」
「んーな訳ねぇだろアホか」
「ん〜…」
軽く伸びをして頭を起こす。
あの後すっかり花に寄りかかって寝てしまったのか。
「ちょっと花の様子気になっちゃって…そのまま寝ちゃったのかね」
「そうだったのか!そろそろ花用に小屋を作ってあげたいな!!」
「ね、私も思ってた」
「それじゃ!作るか!」
「作りましょましょ〜!」
その前にご飯な、と千空が朝ごはんを用意してくれた。
なんだか昨日から優しさが増しているような気がするのだが。気の所為か?
その後も、私の傍には必ず千空か大樹がいるようになった。
花用の小屋、というか止まり木を作るために木を切ってくるぞ!と言って森へ入っていった大樹を見送り、私も花に朝ごはんを上げ終わると小屋のロードマップを書くためにハウスへ戻った。
すると千空が既にそこにいる
「お隣失礼するね〜」
「おー」
千空も書き物をしていて、少し覗いてみればナイタール液の分量とか計算しているみたいだった。
(うん、見てもわかんね!)
そもそも理解する気もなかったけど、その計算量を見て更にその気が消え失せた。
自分の作業に没頭し、あーだこーだと布に書きまくる(まだ紙は作れてないので……)
「アサ、ここに花用の小屋作んなら冬風がこう向くはずだ。入口はこっちのがいいぞ」
そう言って私が書いていたロードマップの上に風向きを書き足してくれた千空。
「へぇ〜、冬風の向きまでわかるんだ…」
「だいたい計算すりゃわかる、いいか?まずそもそも日本の…」
「あ!いや!多分理解できないから大丈夫ありがとうなるほどこの向きね了解だとするとこの板の位置は少し邪魔になるかもしれないから一旦外して」
「ジョーダンだジョーダン」
ヒラヒラと手を振って自分の作業に戻る千空。
千空先生の科学話は冗談とか分かりにくいからね…
(よしよし、形はこんな感じでいいだろう)
ふむふむと色んな角度から見直し、最終OKを降した。
木を切り終わったぞ!とタイミングよく戻ってきた大樹に返事をして、ハウスを駆け下り大樹の元へ向かった。
大樹の足元に転がるのはかなりたくさんの丸太たち
「ワオ……、さすが無限体力の大樹ですな!頼りになるぅ」
「…似ている!!!」
「おん?」
「いや!うん!俺が好きな女子の言動と今のアサがとても似ていてな!」
「武士口調……?」
「たまにな」
どこか懐かしむように視線を奇跡の洞窟へとやる大樹
ああ、そこに杠がいるから。
「余計なことしちゃったかな?」
「いいや、杠は生きている!だから問題はない!」
「復活者ってこと?」
「そういう訳では無いんだが、えっと…千空が言うにはだなぁ」
「ああ、まだ石化はしているけどってことなのね」
「そういうことだ!」
一応情報を探るフリはしておかないとね。
なんでも知っている超能力者にはなりたくないし、それが元でトラブルになるとかあるからね。
「よーし、これがロードマップなんだけど行けそうかな?」
「ああ!問題ないぞ!」
「オッケー、じゃがんばろー!」
オー!と二人で拳を上げて早速作業に取り掛かった。
その日は一日中ギコギコという音が辺りに響いていた。
「半日で半分くらい組みたったねぇ」
だいぶ大樹のお陰である。
普段狩や食料物資集めしている時間まで使ってせっせと小屋作りに勤しんでくれた。
「大丈夫だぞ!明日、今日の分も頑張ればいいだけだからな!」
「頼もしすぎる〜」
さて、と言いながら作業で汚れた服を叩いて綺麗にしながらそろそろ夕飯の仕込みでもしますか、と簡易台所へ向かった。大樹も手伝ってくれるということでお言葉に甘えて色々頼み、効率よくご飯の準備が整った。
「よし、これ運んでくれる?千空呼んできちゃうよ!」
ナイタール液作りに没頭しているだろうから、きっと研究室にいるだろう。
「ん、そうか?まあ、大丈夫か」
「…?」
大樹はそういうなり飯を持ってこの場を離れていった。
まあいいか、大樹の事だし何かを考えているとかでは無さそうだしな(ドイヒー)
簡易台所から出て、花の様子を確認しつつ千空がいるであろう研究室を覗く。
中では難しい顔をしながら、ブランデーとにらめっこする千空がいた。
「千空、そろそろご飯だよ。もう出来てるからハウスに行こう」
「んー、あ゙ー…」
上の空のような返事でえぐい計算が書いてある布とブランデーを見比べている。
「もー……、ほらほら。無からは何も生まれない!エネルギー補給しないと集中力切れるよ〜」
千空が持っていたブランデーをヒョイっと取り上げて近くの棚へ置いた。
そのまま、考え事で頭がいっぱいの千空の腕を引きながら誘導する。
「ほらほら、足元ちゃんと見ないと転ぶよ」
「あ゙〜……」
あーしか言えなくなったのか君は。ゾンビか?
ブツブツと私には理解できない何かを呟いている千空の手を引いてハウスの中へ入っていった。
「お待たせ〜、そいじゃ食べましょか〜」
「千空どうしたんだ?」
「また難しいこと考えてるよ、今彼に何を言おうと馬の耳に念仏ですな」
肩を竦めながら大樹に説明する
「なるほど!いただきます!」
「いただきまーす」
「……す」
千空は食べている間も何か呟いている。
なんかもはやそういう類のアレか?みたいな恐怖を感じるよ。
「戻ってこんな!」
「うーん、私らには千空の思考に助言してやれるほどの知能が……」
「残念ながらないな!!」
よし、放置だ!諦めよう!
食べ終わり大樹がお皿を洗いに行っているときでさえ、没頭している。
もはや楽しそうでなによりだけどさ。
外は暗くなってきたし、肌寒い中なにかすることがある訳でもなく。
暇だから部屋の片付けすることにした。
割と散らかっているから暇を持て遊ぶにはちょうどいい
うろちょろと動き回り部屋がだんだん綺麗になっていく。
「ふぅ〜、うん。よし、違う場所も片付けスっか」
1度やり出すと止まらない、あるあるだよね
なんだか楽しくなってきた。
「アサまでもが集中の虜になってしまったぞー!」
とか嘆いている大樹の横を通り過ぎて、片付け魔神と化していった。
すっかり夜に染まる頃にはハウスがこれでもかってほど綺麗になっていた。
「アサ!そろそろねるじかんだぞ!!」
「んー。」
この家具の位置が微妙だな。もう少し均等に…そうそう、アレだ。
なんて言うんだったかな……左右対称の…
「えー、ジオメトリー…じゃなくて…エントロピー…でもなくて……うーん、イベントリ…じゃねえや、左右対称…」
「シンメトリーか?」
「そう!シンメトリーだ!あースッキリした。」
「ジオメトリーな…笑よく出てきたなんな単語。」
「い、いつからそこに……ジオメトリーはまあ、石化まえに名前少し見ただけだけどね、どんな意味かはあんま分からんよ?」
シンメトリー調べる時に出てきた似た用語ってなだけの話だし。
戻り足になりつつ答えた。
「簡単に言や“形”と“位置関係”の話だな。
どこに何があって、どう並んでて、どんなバランスしてるか。世界を感覚じゃなくて、図として見るやつな。シンメトリーとか距離感とか、その辺まとめて扱う考え方だ。むずこい数式抜きにして言うんなら『世界を地図みたいに理解しようとする考え方』だな。」
「ほ、ほぉ〜……?簡単とは……?」
全く持って理解できない。いや、頭弱すぎてごめんだけどほんとに理解できないぞ!?おかしいな!
千空先生の偉大なるご教授理解できないよぉ!!レベル高スギィ!!
「それ大樹は理解できる?」
「あの雑頭がこんなん理解出来ると思うか?」
「なるほど!なら安心!」
「失礼か」
頭にチョップを頂いた。もしかしてこれって割と仲良くなれてきた証拠かな!!?
嬉しい!ジオメトリーの説明はよく分からなかったけど!この距離の縮まりは目に見えてわかるよ❣️
さてそろそろお休みの時間なので、3人分の布団を敷いて仕切りを下ろした。
「千空ありがとう!それじゃあ寝るとしよう!」
寝る前の元気さじゃないだろそれはと心の中でツッコミつつ就寝
─のフリをした
10分ほど経った頃には大樹のいびきが部屋に響く。
(2人とも寝たか)
仕切りを少しだけよかして様子を見る。
規則正しいリズムで呼吸をしながら眠っているふたりを確認するとハウスから出た。
「花、今日も一緒に寝ようか」
まだ未完成の小屋を観察するように見ていた花を見つけて声をかけると、顔をあげて1度瞬きをした。
昨日とは違いかけるものも持ってきたから、少しくらいは寒さをしのげるはずだ。
そう思って花と寄り添ってすぐに物音がした。
「……ッ」
一昨日の記憶が蘇ってくる、途端に心臓が大きく鳴り出した。呼吸が浅くなるのが分かった。
でもその物音の方向は、森の方ではなくハウスから。
冷静になり、もしかして起こしてしまった…?と心配にしながら顔をあげるとそこに居たのは、千空。
「あ、お、起こしちゃった??」
「別に。なにしてんだ?」
「えーっと、花の様子を見にね…」
とはいえ割とでかい布を持っているから、それだけじゃないことくらい千空にはお見通しだろうが。
「……ったく…、もう少しマシな嘘はつけねーのか?」
と言いながらダルそうにゴキと首を鳴らしながらも階段を降りて来る千空。
「??」
「一昨日のが気になんだろ。ライオンがこの辺うろついてんのが」
そのまま隣に腰を下ろして目を瞑った。
「ぁ、え?あの…」
「明日も小屋作りで忙しいんだろーが、はよ寝ろ」
「えあはい。」
いやでも寝ろて、この状況で?私割と乙女よ???結構ときめくんだけどやめて欲しいな!
君作中で惚れたはれたは面倒事の種とか言ってなかった?思わせぶりぃ!いや、気を使ってくれてるのにそんな物言いはないか!
そう、これは気を使ってくれているだけ!気を使ってくれているだけだ!!
スヤァ……
その日から千空は何も言わずに一緒に寝てくれることが多くなった。それを知った大樹も、途中から一緒に寝てくれて、それが普通の日々に変わっていった。
お読み頂きありがとうございました。拙い文章力ながら最後まで目を通していただき感謝です。次の更新がいつになるかは分かりませんが、お待ち頂けたらなと思います。(希望はない)
てか2万文字までなんですね…ここ。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。